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混沌を極める2学期
百十八話
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「結果は子を為す力がなかったのは私の方だったんだ。無精子症だった。私はその事を父に直ぐに報告した。私自身ショックを受けたのは事実だったが、これで透子が責められなくて済むとその時はそう簡単に考えてしまっていた。報告を受け父は相当なショックを受けているようだった。自分が作り上げた歳明治が私の代で終わるかもしれない。父の中では血の繋がりのない者に継がせる気などは到底なかった。そして父の中にどうしても跡継ぎを得なければという、強迫観念のようなものが生まれた。そんな父の狂気に私は気付かずにいた。仕事も忙しかったし、透子も父から小言を言われることも無くなっただろうと私は1人で勝手にそう考えていた。そのまま数ヶ月が過ぎた頃、透子が妊娠したんだ。」
「えっ?」
今まで黙っていた柏木が思わず声を上げた。今の話を聞く限り疑いようがない。自分の本当の父親という存在に思い至ってしまった。
「葵も気づいただろう。お前の本当の父親は私の父だ。彼は私が会社に行っている間に、何度も何度も何度も無理やり彼女を犯していたんだ。」
忌々しそうに歳明治が拳を震わせる。今思い出してもとても享受できない事実だった。
「それでも私は父を信じたかった。まさかそこまでするはずないと、だから彼女を問い詰めた。すると彼女は狂ったように泣き叫んだんだ。ごめんなさい貴方って。何回も謝りながら・・・。そして父に体の関係を強要された事を告白した。恐ろしくてずっと私にも言えなかったと苦しそうに嗚咽を漏らしながらそう言った。私は父が許せなくなった。まさか私の妻に手を出してまで後継を得ようとするなんて普通じゃ考えられない。怒りのままに私は父を罵倒した。でもそんな私を父は嘲笑った。子も作れない出来損ないのくせにって。幼い頃から父に何度も出来損ないと言われてきたが、この時の言葉が1番キツかった。その後も父は在らん限りの言葉で私を愚弄した。だから私はそれ以上反論する事を諦めたんだ。」
「なんでだよ!爺ちゃんがした事は許せる事じゃないだろ。あんたが母さんを守ってあげなかったら誰が母さんを守るんだよ!」
「お前には分からないだろう。幼い頃から何度も暴力を振るわれ罵倒されて育った私は、幼少期に植え付けられた恐怖心が払拭出来なかった。最後に彼はこう言ったんだ。お前に種子がないから代わりに俺があいつを抱いてやったんだって。俺にとっては何の魅力もない女だったが、こうして子を為せた。お前に感謝される事はあっても、憎まれる筋合いはない。憎むならまぁ精々種子のない自分を恨むんだなって。」
そこまで言って歳明治は顔を覆った。
鼻を啜るような音だけが室内に響く。誰も口を開かなかった。寧ろ口を開けるような雰囲気ではなかった。
「父の前で崩れ落ちる私に彼女が駆け寄ってきた。そして、涙を流しながら小さい声で私、産みますって言ったんだ。それで全てが上手くいくなら、貴方が傷つかないのならそれでいいって彼女は言ったんだ。」
母親を思っているのか柏木の目から一筋の涙が溢れた。
「えっ?」
今まで黙っていた柏木が思わず声を上げた。今の話を聞く限り疑いようがない。自分の本当の父親という存在に思い至ってしまった。
「葵も気づいただろう。お前の本当の父親は私の父だ。彼は私が会社に行っている間に、何度も何度も何度も無理やり彼女を犯していたんだ。」
忌々しそうに歳明治が拳を震わせる。今思い出してもとても享受できない事実だった。
「それでも私は父を信じたかった。まさかそこまでするはずないと、だから彼女を問い詰めた。すると彼女は狂ったように泣き叫んだんだ。ごめんなさい貴方って。何回も謝りながら・・・。そして父に体の関係を強要された事を告白した。恐ろしくてずっと私にも言えなかったと苦しそうに嗚咽を漏らしながらそう言った。私は父が許せなくなった。まさか私の妻に手を出してまで後継を得ようとするなんて普通じゃ考えられない。怒りのままに私は父を罵倒した。でもそんな私を父は嘲笑った。子も作れない出来損ないのくせにって。幼い頃から父に何度も出来損ないと言われてきたが、この時の言葉が1番キツかった。その後も父は在らん限りの言葉で私を愚弄した。だから私はそれ以上反論する事を諦めたんだ。」
「なんでだよ!爺ちゃんがした事は許せる事じゃないだろ。あんたが母さんを守ってあげなかったら誰が母さんを守るんだよ!」
「お前には分からないだろう。幼い頃から何度も暴力を振るわれ罵倒されて育った私は、幼少期に植え付けられた恐怖心が払拭出来なかった。最後に彼はこう言ったんだ。お前に種子がないから代わりに俺があいつを抱いてやったんだって。俺にとっては何の魅力もない女だったが、こうして子を為せた。お前に感謝される事はあっても、憎まれる筋合いはない。憎むならまぁ精々種子のない自分を恨むんだなって。」
そこまで言って歳明治は顔を覆った。
鼻を啜るような音だけが室内に響く。誰も口を開かなかった。寧ろ口を開けるような雰囲気ではなかった。
「父の前で崩れ落ちる私に彼女が駆け寄ってきた。そして、涙を流しながら小さい声で私、産みますって言ったんだ。それで全てが上手くいくなら、貴方が傷つかないのならそれでいいって彼女は言ったんだ。」
母親を思っているのか柏木の目から一筋の涙が溢れた。
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