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第三話 運命が変わった日
しおりを挟む朝食を食べ終わって、しばらくすると城の訓練場に呼び出された。
「それでは今から訓練を始める」
彼はこの王国の騎士団長アルス・フォン・リーデンガルドさんだ。
なんか王国最強の騎士と呼ばれているらしい。
「私が武器の使い方や体の動かしかたを教える、そして魔法だが。」
「こんにちはぁ、わたしわぁこの国のぉ魔法師団長をぉつとめていますぅセーラ・フォン・タームですぅ~。」
いかにも天然です、みたいな也と性格をしている緑色の髪に同じ緑色の瞳をもつ大人の女性だ。
「俺たち2名で、これからお前たちを鍛える、午前は俺が午後はセーラが担当する。何か質問はあるか?」
僕たちは黙っていた。
「ないな?それでは今から訓練を開始する!」
訓練が始まってから一ヶ月が過ぎた。
この一ヵ月で変化はなくて、未だに職業は無職のままだ。
この一ヶ月僕は基礎の訓練を必死にやってきたが、成果は余り出なかった。
だけど、良いこともあった。
USとは何かとクリステラ様に聞いてみたら持っている人が少ないと言われているユニークスキルであり、勇者たちは最低でも1つはユニークスキルを持っているらしい。
僕には七つもユニークスキルがあると言ったらすごい驚かれた。
僕にも可能性はある、と思っていたが、ユニークスキルは未だに一つも解放されていなかった。
なんかしらの条件が必要だと思うのだけどその条件が何かは僕には分からなかった。
そしてある日に、
「皆さまはだいぶ強くなられたので今日からダンジョン攻略をしていただきます。」
クリス(クリステラの愛称、何故か僕にはそう呼んで欲しいと言われた。)がそう言った。
ダンジョンとは一攫千金のチャンスがある夢の場所でもあり、命を簡単に失い絶望を味わうところでもある。
この近くのダンジョンはこの国の名前の由来であるアヴァロンと言う名前のダンジョンだ。
このアヴァロンはまだ完全攻略ができていない未攻略ダンジョンである。
今現在は74層まで攻略しており、全100層ではないかと予想されている。
「勇者様がたはこのアヴァロンの完全攻略を目指してもらいたいと思います。」
「うおお!テンション上がってきたぜ!」
「可愛い子がいるかなぁ?」
「おい、ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているんじゃないか?」
僕はこの緊張感のなさに呆れていた。
ダンジョンでは途中まではガイド役として騎士団長アルスと騎士団員数名がついて来てくれるらしい。
だけどそれも74層までだ。
なぜなら74層までは実力的に騎士たちでもついていけるがその先には進めないからだ。
「それでは皆さま、御武運を」
アヴァロン50階層
なんと僕たちはここまで簡単にこれてしまった。
このダンジョンは50階層から5階層ごとにボスが出てくる仕組みだった。
そして、僕たちはこの階層で隠し部屋を見つけた、アルスさんは無視して進もうとしたが、柏原くんが宝箱があるかもしれないと言い勝手に入って行ってしまった。
一人置いていくこともできず、仕方なく全員行くことにした。
「見ろよ、宝箱だ!」
柏原くんは宝箱見つけた嬉しさに勝手に開けに行ってしまった。
「待て!罠かもしれないぞ!」
柏原君はアルスさんの警告を無視して宝箱を
開けた。
その瞬間、この部屋の床全体を覆う魔法陣がが現れた。
「な、なんだこれは?」
「全員、固まれー!転移するぞ!」
そして、僕たちはその場から全員居なくなった。
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「ここは、橋の上か?」
どうやら、僕たちは橋の真ん中に転移したらしい。
「お、おい、なんだありゃ?」
僕たちの目の前にいたのは、巨大な固まりだった。
「なんだ、固まりが、動いている?」
僕がそういうとアルスさんが焦った声で叫んだ。
「地龍だ、全員逃げろ!今はコイツには敵わない!」
アルスさんはそう言い剣を構えた。
そして斬りかかるが、尻尾を振られて僕たちの前まで吹き飛ばされてしまった。
アルスさんの攻撃が通用しなかったことで全員が混乱に陥ってしまった。
「エクスプロージョン!」
賢者の浅井海斗くんが大魔法を撃った。
しかし、地龍に直撃するが、無傷であり、さらに近づいてきた。
「おい、あそこに階段があるぞ!」
騎士団員が言った。
「全員あそこまで走れぇー!私が命をかけて足止めをする!そしてできるなら魔法の準備をして俺ごと撃ってくれ!」
起き上がったアルスさんがそう言った。
その言葉を聞き、全員が走り出した。
だけど、アルスさんを見殺しにできない僕は残ってアルスさんに提案した。
「アルスさん僕は今錬金王の阿笠霧香さんが錬金して作ってくれた爆弾と言うのを持っています。これを仕掛けて一斉に魔法を撃てば橋を落とせるかもしれません。」
アルスさんは考え、結論を出したのか了承した。
「全員聞けー!今から暁様が爆弾と言うのを仕掛けるらしい、仕掛け終わったタイミングで一斉に魔法を撃て!」
その言葉を皮切りに僕は準備を始めた。
爆弾は簡単には爆発しないようになっているが緊張はする。
(急げ、急げ、急げぇー!)
途中で爆発しないようにしながら出来る限り急いだ。
準備が終わったが、地龍は目の前に来ていた。
アルスさんが地龍を後方に追いやり、逃げて一拍遅れて僕も逃げた。
そのタイミングで、
「全員撃てー!」
魔法が一斉に撃たれた。
爆弾も上手く爆発したのか橋は崩れかけていた。
(いける、いけるぞ、橋を落とせる!)
その時だった、僕の方に向かって魔法が飛んできた、おそらく風球だろう。
不意打ちであり、後ろを向いていたたさのでもろに食らってしまった。
そして、地龍の方へ吹っ飛んでいった。
(なんでだ?なんで?なんで?)
明らかにあの魔法は僕に向かって撃たれた。
すでに橋は崩壊していて橋と一緒に地龍が落ちていっていた。
僕自身も一緒に落ちていった。
黒咲さんは助けようと手を伸ばしていたが進藤くんに止められていた。
僕も手を伸ばした、届かないとわかっていながら。
そうして、落ちていった、暗い地の底へ。
最後に僕が見たのは黒咲さんの泣き顔だった。
とても辛そうな顔だった。
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