現代兵器で異世界無双

wyvern

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陸編

 36.ヴァーテ・エレンの苦悩

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 首脳陣やその取り巻きが会議室から出て行ったあと、私は一人、会議室で頭を抱えていた。
 今回のエンペリア王国との軍事援助に関する会談、女王陛下王女殿下の拉致、王宮の警備力の見直し……などなど問題が一気に山積してしまった。
 ただ今や総参謀本部長を務めている以上この問題をいち早く解決に向けて取り組まなくてはならず、そのために各部署とのやり取りも即座に始めなければならない。
 (どうしよう、軍の増員は今や望めないしかといって国王陛下にあんまり頼るわけにもいかないし……、しかもエンペリア王国からの正式な援軍を頼まないと……)

 ひょっと出の国王陛下を信用していないわけではないが、生まれながらの軍人として、私は一般市民と同じように育ってきたようなお方に軍事作戦を指揮してもらうことに少しばかり抵抗を感じている。
 しかし、あのお方がLiSMと呼ばれる物体によって召喚される“銃”というものによって、軍の上層部の考えを変えたのも確かだし、一部で使い始めた兵士たちの戦闘方法も大きく変わった、そしてそれを巧みに扱い、エルベ村でのリザードマンとの戦闘やそこの村の村長の娘を救い出した能力は目を見張るものがあった。
 
 (やはりここは国王の補佐官である私が背中を押していくべきなのだろうか?)

 そんな悩めるエレンの生家であるヴァーテ家は、以前より補佐官などとして代々王家に仕えてきており、普段から王家に一番近い存在だったため他の重臣たちより何かと重宝される傾向にある。
 しかし、エレンは今や総参謀本部のトップに躍り出てきたが、前任の父が先の大戦で戦死したのでその後釜としてその娘であるエレンが半ば強引に配置されただけで、本人は一応父からは参謀になれるように教育は受けてきたが、参謀職の実戦経験はあまりなく、普段からは剣技や魔法の鍛錬を毎日のように行っていた武闘派で、作戦を立案するより前線で戦っていたほうが性に合っているようだ。
 そんなエレンだが、任された職務に対してはどんなことであろうとも必死にこなしていく性格なので、今や軍部の中では一番信頼度が高い。
 しかしエレンは、ここまでそつなく参謀職をこなしてきたが、今や人生で最大の壁にぶち当たってしまい心が押しつぶれてしまいそうになっていた。

 コンコン

考え事で脳みそがいっぱいになり、頭を抱えたまま机に突っ伏していたエレンだがドアを叩く音が聞こえたので平然を装って返事を返す。

「し、失礼しますエレン閣下!こ、国王陛下も御出でです」
「失礼しますよ?」

ドアを開けて入ってきたのは先ほど帰ったばかりのワタ国王陛下と陸軍情報部のポーラだった。
「どうされましたか?国王陛下?」
「いやね、作戦に参加する“メランオピス”のことで気になっていたことがあってね、その部隊はこの王国内でも結構特殊性のあるところだって、今さっきポーラから聞いたんだけど、どうやらポーラはそのことについて知らされていないようなんだけど……」
「ああ、そのことですね、丁度そのお話をしようかと思っていたところでして――」

“メランオピス”とは現代でいうところの特殊部隊のことで、国内での対暗殺・対篭絡・要人救出・ゲリラ対策として設立され任務の上で必要とあらば国外作戦をも展開する、全隊員を設立当初より女性で構成していて、全員が狭い場所での戦闘訓練や攻撃魔法と剣術などを会得している、そのため屋内や町中などの狭い場所での近接戦闘限れば陸軍内で一番の実力を持つ。
この部隊は所属上、情報部だが作戦指揮権はエレン自身が持ち、王宮内での表に出せない事案などもこの部隊が“処理”する要は汚れ仕事担当なのだ、そしてこの部隊もサクラやミントなどと同じように銃を扱えるように全員がなっており、積極的に装備している。

銃はこの部隊のためだけではなかったがある一定の量を召喚し渡している、それも王宮に初めて訪れたときに王宮内にいた官僚たちに銃のことに関して説明した時に「ものによって射程距離と連射速度は魔法や弓より優れ、一兵卒でも訓練すれば歴戦の剣士にも勝る」と高評価であったため、良ければと思い試験的に一部部隊に配備してみるように言ってみた、すると今や国の近衛軍(国王直属)の兵の一部、王国衛視隊(準軍治安組織)の王宮担当部門なども積極的に配備しはじめ、現在ではアルダート城内の駐屯地に射撃場を設置し定期的に訓練を行っているので銃の有用性をはっきりと認識してくれているようだ。
今使われている武器はSIG516、SIG716、SIGP226で、遠距離戦闘が多い歩兵隊はSIG716を近接戦闘が多い衛視隊はSIG516を装備している。

ポーラが話している間に持ってきたのであろう紅茶をすすりながら、陛下は私の説明に耳を傾けてくれていた。
「その部隊に参加してもらえるのは心強くて助かるね」
「ハイ、しかしこの部隊が表に出てしまうのは少々気が引けますが致し方ないことでしょう」
「それでね、もう一つ話があるんだけどね――」
陛下はある程度話を聞いた後、今回新たにLiSMで召喚するものの話をし始めた
どうやら今回、作戦に参加してもらう“メランオピス”には前に渡したSIG516と SIGP226に加え新たにPDWのMP7、拳銃でのマン・ストッピングパワー(被弾させた相手の行動能力などを奪う力のこと、一般的には弾丸の質量が大きく、速度が高速なほどストッピングパワーが高い)も考え45口径(約11.4mm)のHK45もLiSMで召喚し追加するようだ。

MP7はHK416と同じくドイツのH&K社が開発したPDW(Personal Defense Weapon 個人自衛武器)で特徴として、使用弾薬に小銃弾を短縮したような4.6㎜×30弾を使っている、この4.6㎜×30弾は9㎜拳銃弾に比べ小口径高初速なため中距離(200m)でのある程度の命中精度と威力を実現しており、全長も340㎜と短く(ストック展開時540㎜)重量も1.6㎏と比較的軽いほうである(同社のMP5は全長550重量約3㎏)、そしてこの銃は低反動小型軽量(他に比べ)なので片手でも打つことが可能、その為上部についているフリップアップタイプ(折り畳み式)のアイアンサイトは倒している状態では拳銃と同じサイトになっているそしてストックを展開すれば通常のサブマシンガンのように構えることができ、その時にはサイトを立てて使うことにより遠くも狙えるようになる。
この多目的な任務にも対応できるMP7であれば女性のように小柄な人でも扱いやすいだろうし、今回のような作戦もそうだしほかの特殊任務にも対応できそうなので選んでみた

HK45は上記と同じ会社で開発されたダブルアクションオートマチックピストルで.45ACP弾(11.4㎜×32)を使用し、特徴として“スパイダーマングリップ”と呼ばれる握りやすいグリップを持ち、銃後部に左右から操作できるサムセーフティがあり、そのレバーを下まで下げることによってデコッキング(ここでは撃鉄を叩くためのハンマーを倒すこと)もすることができる。
ちなみにダブルアクションというのは、例えばリボルバーでいうと、引き金(トリガー)を途中まで引くと撃鉄(ハンマー)が起き引き切ると撃鉄が落ち同時に撃針(雷管を叩き撃発させる部分)も落ち弾を発射させることのものを指し(一回一回撃鉄を起こして撃つことも可能)、これとは別にシングルアクションというものもありこちらはリボルバーでいうと一発一発指で撃鉄を起こして撃つことを指す、双方の利点として前者は引き金を引くだけで連続して撃つことができ、もし不発があったとしてももう一度引き金を引くだけで撃つことができる、また不意な敵との遭遇の時も素早く対応できる、後者は一発一発撃鉄を起こし撃つことで正確な射撃に向いている、どちらも一長一短なところがあるが、ダブルアクションの場合バネの力で倒れようとしている撃鉄を、引き金を引く力で引くので、強い力で引き金を引く分手が力み、銃本体がぶれてしまい命中精度が落ちてしまう、対するシングルアクションの場合一々撃鉄を起こして打つので昨今の対人戦闘などには向かず競技やハンティング用といえるだろう。
このHK45に至ってはただ単にデザインの良さで選んだだけですが……
 
 「――ということなんだけどどうかな?」
「そうですね!そうすればもとより最強な部隊がさらに強化されること間違いなしですね!」
「そ、それは他の部隊でも、う、運用できれば我が軍もさらに強くなりますね」
普段もの静かなポーラが今の話を聞いてだろうか、少し興奮気味であった。
「それとこれらともう一つ召喚するつもりだけどね、それはまた今度……さて、この後その部隊と会わないといけないし、召喚も行わなくてはならないからここらへんで失礼しますよ」
 話がひと段落ついたので、陛下は席を立ち一人ドアへ向かってゆく。
 「じゃあ、あとは頼みましたよ」
 「ハッ!最善を尽くさせていただきます!陛下に栄光あれ!」
 ポーラと私は素早く立ち上がり敬礼をして陛下を見送った。


 俺はエレンと話が終わるとすぐに部屋を出て“メランオピス”とベルたちの待つ場所へと向かうことにした。
 しかし、扉を開けてすぐそこに一人の女性待っていた、よく見ると猫のような耳が頭の上にのっている。
 「何者だ?」
 俺は敵であることも想定してとっさに腰のホルスターにしまっていたSIGP226に手をかけた
「驚かせてしまい大変失礼しました、私は“メランオピス”の部隊長のレナと申します、この後お会いするのが待ちきれなくて不躾ながらここでお待ちしておりました」
「なるほど、部隊長殿直々にお出迎えとは感心したよ、ありがとう」
「さて早速ですが向かいましょう陛下」

彼女の行動に少々驚かされながらも、その背中についていくことにした。
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