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プロローグ
00 同好の士
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「お前さんわかっておるの!やはり爆破シーンはCGじゃなく爆薬じゃ!迫力が違う」
目の前で威厳のある爺さんが唾を散らしながら熱弁している。
俺はその39年の冴えない人生を終えた筈だった。
仕事帰りの何時もの終電、いきなり電車の中で若い女性が暴漢にナイフで襲われた、俺の大好きな特撮のヒーローならここでカッコ良く暴漢を撃退するのだが俺は冴えないオッさんだ、カッコつけて女性を庇ったのは良いが胸にナイフが刺さり死んでしまった。
死んでしまった俺は気がつけば何故かテレビで特撮ヒーロー、『仮面バイパー』を熱心に見ている爺さんのいる部屋にいたのだ。
「今年のバイパーは爆破シーンをCGから爆薬に変えたみたいですよ、やっぱり俺は爆薬の方が好きですね」
声をかけたら爺さんは物凄く喰いついてきた、それから冒頭の話に戻る。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「空は飛びたいですよね!ハリウッドのアイロンマンなんかも空中戦がカッコいいですもん」
「そうじゃな、儂は昭和のスカイバイパーのアクションが大好きじゃ、初めて見た時シビれたわい、じゃあ空を飛び易い様にもう少し流線型のフォルムにするかの」
俺達は特撮ヒーローの話で意気投合し「ぼくのかんがえた最強のヒーロー」の話に発展していた。
「それにしてもお爺さん絵が上手いですね、そっち系の仕事していたんですか?」
「んにゃ、儂はずっと神様やっとるよ『創造』って点ではクリエイターの範疇じゃな」
ガッハッハと豪快に笑う爺さん、ん?今なんつった?
「神?お爺さん冗談も上手いんですね」
「冗談じゃないぞ、そう言えばお前さんは…」
さっきから爺さんとの話が楽し過ぎて今の自分の状況がどうなっていたかを忘れていた。
「アレ?そう言えばここはどこですか?俺確か刺されて死んだ筈じゃあ…」
「すまん、ついお前さんとの話が楽し過ぎて完全に忘れておったわ、確かにお前さんは死んだ、ここはあの世じゃ、儂はお前さん達が『神』と呼んでいる存在じゃ」
あの世?神様?理解が追いつかない、じゃあ俺は神様と特撮ヒーロー談義で盛り上がっていたのか?
「お前さんが他人を庇って死んだからな、その功績で転生前に希望が有れば儂が聞こうと思っての、何か現世に心残りなどないか?」
「そうですね…、俺は両親も早くに亡くし身内も恋人も友人もいません、会社とアパートの行き来だけの社畜ですので特には…、あっ!俺が庇った女の子は無事でしたか?」
「心配せずともあの女の子は怪我1つないぞ、犯人も捕まりお主以外の犠牲者は出ておらん、お主が救ったんじゃ」
良かった、俺は無駄死にじゃ無かったんだな。
「それと来週のバイパーが気になるくらいですかね?他に心残りは有りません」
「先週は気になる終わり方じゃったからの、儂も展開が読めんわい…、いかんまた話が脱線するところじゃった、お主もかなりの特撮マニアじゃの?」
「神様こそ、まさかデビルイザー3の話が出来るとは思いませんでした、特撮についてこんなに熱く誰かと話ができたのは初めてで楽しかったです」
俺と神様は特撮についての趣味がガッチリ一致した、こんなに楽しく人と話が出来たのは何年ぶりだっただろうか?
「儂もじゃ、部下の天使達なんか特撮を『下賤なモノ』なんていいおって儂の趣味を否定してくるんじゃ、最近は見るのを止めようとしてくる者もおる」
「人の趣味に口出しなんて無粋の極みですよ、俺は特撮の見れない人生なんて考えられない」
「あ~、それについて申し訳ないが転生して欲しい世界は所謂『剣と魔法の世界』で文明も中世レベルなんじゃ、特撮は見れん、すまんが我慢してくれんか?」
世界が音を立てて崩れる気がした、大袈裟に思われるかもしれないが俺にとっては大問題だ。
「そう…ですか…、それで転生ってなんなんですか?」
「善行を積み命を落とした者の中から人を選び問題の有る世界に転生させ救世主となってもらっておる、お主にはとある世界を救って欲しいんじゃ、次の人生はある国に召喚された勇者って立ち位置でのスタートじゃ」
「俺が勇者ですか?自慢じゃ無いけど弱いですよ?」
ナイフを持った暴漢に殺された俺が剣と魔法の世界で勇者なんて生き残れる気がしない。
「心配無用じゃ、転生する前に儂が祝福を授ける事にしておる、今回の様なパターンだと膨大な魔力を授けたり強力な特殊能力を授ける事が多いのぉ…そうじゃ!」
そう言うと神様はさっき2人で考えた『ぼくたちがかんがえた最高のヒーロー』のスケッチを手に取った。
「お前さんコレに変身したくはないか?せっかく2人で色々考えたんじゃ、儂もコレが動くところを見てみたい」
「でも中世ファンタジーの世界ですよね?世界観に合わないっていうか…」
「邪悪な力が強くなり過ぎとる世界での、儂や天使が直接干渉する訳にもいかんし頭を悩ませておったんじゃ、きっとこの力は世界を救える」
本音を云うとこの提案は凄く魅力的だ、前世で何度も妄想したヒーローになれる。
「いいんですかね?実は凄くヒーローに憧れてたんです」
「いいんじゃとも、変身の事は説明せずとも一緒に考えたお前さんが良く知っとるじゃろ?それなら善は急げじゃ、早速準備するわい」
コレ転生先の資料ね、と神様は1枚の紙を渡してきた、ざっと目を通すと転生後のプロフィールや転生先の国の情報が簡単に書かれていた。
「ちょっと待って下さい!この国ヤバいんじゃ無いですか?!」
「それ一応機密文書じゃから返しておくれ、天使達には内緒じゃぞ?大丈夫大丈夫、さぁ新しい人生の幕開けじゃ!見守っておるぞ、同好の士よ!」
神様がそう言うと俺の身体が少しづつ薄くなり、俺の意識は一旦そこで途切れた。
「ちぃとばかり強力過ぎたかのぉ?」
1人になった部屋で神はスケッチを見ながら呟いた。
目の前で威厳のある爺さんが唾を散らしながら熱弁している。
俺はその39年の冴えない人生を終えた筈だった。
仕事帰りの何時もの終電、いきなり電車の中で若い女性が暴漢にナイフで襲われた、俺の大好きな特撮のヒーローならここでカッコ良く暴漢を撃退するのだが俺は冴えないオッさんだ、カッコつけて女性を庇ったのは良いが胸にナイフが刺さり死んでしまった。
死んでしまった俺は気がつけば何故かテレビで特撮ヒーロー、『仮面バイパー』を熱心に見ている爺さんのいる部屋にいたのだ。
「今年のバイパーは爆破シーンをCGから爆薬に変えたみたいですよ、やっぱり俺は爆薬の方が好きですね」
声をかけたら爺さんは物凄く喰いついてきた、それから冒頭の話に戻る。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「空は飛びたいですよね!ハリウッドのアイロンマンなんかも空中戦がカッコいいですもん」
「そうじゃな、儂は昭和のスカイバイパーのアクションが大好きじゃ、初めて見た時シビれたわい、じゃあ空を飛び易い様にもう少し流線型のフォルムにするかの」
俺達は特撮ヒーローの話で意気投合し「ぼくのかんがえた最強のヒーロー」の話に発展していた。
「それにしてもお爺さん絵が上手いですね、そっち系の仕事していたんですか?」
「んにゃ、儂はずっと神様やっとるよ『創造』って点ではクリエイターの範疇じゃな」
ガッハッハと豪快に笑う爺さん、ん?今なんつった?
「神?お爺さん冗談も上手いんですね」
「冗談じゃないぞ、そう言えばお前さんは…」
さっきから爺さんとの話が楽し過ぎて今の自分の状況がどうなっていたかを忘れていた。
「アレ?そう言えばここはどこですか?俺確か刺されて死んだ筈じゃあ…」
「すまん、ついお前さんとの話が楽し過ぎて完全に忘れておったわ、確かにお前さんは死んだ、ここはあの世じゃ、儂はお前さん達が『神』と呼んでいる存在じゃ」
あの世?神様?理解が追いつかない、じゃあ俺は神様と特撮ヒーロー談義で盛り上がっていたのか?
「お前さんが他人を庇って死んだからな、その功績で転生前に希望が有れば儂が聞こうと思っての、何か現世に心残りなどないか?」
「そうですね…、俺は両親も早くに亡くし身内も恋人も友人もいません、会社とアパートの行き来だけの社畜ですので特には…、あっ!俺が庇った女の子は無事でしたか?」
「心配せずともあの女の子は怪我1つないぞ、犯人も捕まりお主以外の犠牲者は出ておらん、お主が救ったんじゃ」
良かった、俺は無駄死にじゃ無かったんだな。
「それと来週のバイパーが気になるくらいですかね?他に心残りは有りません」
「先週は気になる終わり方じゃったからの、儂も展開が読めんわい…、いかんまた話が脱線するところじゃった、お主もかなりの特撮マニアじゃの?」
「神様こそ、まさかデビルイザー3の話が出来るとは思いませんでした、特撮についてこんなに熱く誰かと話ができたのは初めてで楽しかったです」
俺と神様は特撮についての趣味がガッチリ一致した、こんなに楽しく人と話が出来たのは何年ぶりだっただろうか?
「儂もじゃ、部下の天使達なんか特撮を『下賤なモノ』なんていいおって儂の趣味を否定してくるんじゃ、最近は見るのを止めようとしてくる者もおる」
「人の趣味に口出しなんて無粋の極みですよ、俺は特撮の見れない人生なんて考えられない」
「あ~、それについて申し訳ないが転生して欲しい世界は所謂『剣と魔法の世界』で文明も中世レベルなんじゃ、特撮は見れん、すまんが我慢してくれんか?」
世界が音を立てて崩れる気がした、大袈裟に思われるかもしれないが俺にとっては大問題だ。
「そう…ですか…、それで転生ってなんなんですか?」
「善行を積み命を落とした者の中から人を選び問題の有る世界に転生させ救世主となってもらっておる、お主にはとある世界を救って欲しいんじゃ、次の人生はある国に召喚された勇者って立ち位置でのスタートじゃ」
「俺が勇者ですか?自慢じゃ無いけど弱いですよ?」
ナイフを持った暴漢に殺された俺が剣と魔法の世界で勇者なんて生き残れる気がしない。
「心配無用じゃ、転生する前に儂が祝福を授ける事にしておる、今回の様なパターンだと膨大な魔力を授けたり強力な特殊能力を授ける事が多いのぉ…そうじゃ!」
そう言うと神様はさっき2人で考えた『ぼくたちがかんがえた最高のヒーロー』のスケッチを手に取った。
「お前さんコレに変身したくはないか?せっかく2人で色々考えたんじゃ、儂もコレが動くところを見てみたい」
「でも中世ファンタジーの世界ですよね?世界観に合わないっていうか…」
「邪悪な力が強くなり過ぎとる世界での、儂や天使が直接干渉する訳にもいかんし頭を悩ませておったんじゃ、きっとこの力は世界を救える」
本音を云うとこの提案は凄く魅力的だ、前世で何度も妄想したヒーローになれる。
「いいんですかね?実は凄くヒーローに憧れてたんです」
「いいんじゃとも、変身の事は説明せずとも一緒に考えたお前さんが良く知っとるじゃろ?それなら善は急げじゃ、早速準備するわい」
コレ転生先の資料ね、と神様は1枚の紙を渡してきた、ざっと目を通すと転生後のプロフィールや転生先の国の情報が簡単に書かれていた。
「ちょっと待って下さい!この国ヤバいんじゃ無いですか?!」
「それ一応機密文書じゃから返しておくれ、天使達には内緒じゃぞ?大丈夫大丈夫、さぁ新しい人生の幕開けじゃ!見守っておるぞ、同好の士よ!」
神様がそう言うと俺の身体が少しづつ薄くなり、俺の意識は一旦そこで途切れた。
「ちぃとばかり強力過ぎたかのぉ?」
1人になった部屋で神はスケッチを見ながら呟いた。
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