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2章 少女の覚醒
020 油断
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誘拐団のアジトへ辿り着いた俺の目に入って来たのは筋骨隆々の男がローラの腕を乱暴に掴んでいる光景だった。
「待て!その汚い手をローラから離せ!」
「クロス!来てくれたのね!」
ローラが俺の姿を見て声を上げる、良かった、まだ無事な様だ。
「はぁ…はぁ…速すぎるぜクロス」
「な…なんで…鎧を着込んでいる貴方が私達より速く走れるのよ…おかしいわ」
「やっと…追いつけ…ました…」
少し遅れて導きの星の3人も到着した、魔法使いのドゥークなんて息も絶え絶えだ。
「なんだぁ?テメェらは?これからお楽しみって時によぉ!!俺を怒らせたいのか!?」
「頭に来ているのはこっちの方だ、今その子に何をしようとしていた!?許さないぞ!」
「何ってナニさ、せっかく滾ってきたところだったのに邪魔しやがって!ぶっ殺す!」
筋骨隆々の男が勢いよく俺に殴り掛かってくる、中々のスピードだ、避ける事も可能だがここはひとつ受けてみるとするか。
「骨まで砕け散れぇ!剛腕拳!!」
「なんだ?それが必殺技か?ただ力任せに殴りつけてるだけじゃないか?」
殴り掛かって来た腕を掴み男の攻撃を防ぐ、大丈夫だ、あの程度の攻撃ならいくら受けてもクロスの装甲に傷一つ付く事はない。
「なっ!何ぃ!どうなってやがる!グァッ!痛ぇ!離しやがれ!」
掴んだ腕を握り締める、ギチギチと筋肉の繊維が千切れていく感触を感じる、俺は男を力任せに壁へ向かって投げ飛ばした、辺りの物を吹き飛ばしながら男が壁に激突する。
『目標の脅威レベルの仮定を完了、特に警戒するべき点はありません、マスター、今後は敵の脅威レベルを仮定するまでは出来るだけ回避に徹して頂けると助かります』
『すまなかった、ヤツがローラの腕を掴んでいるのを見て頭に血が上ってしまった、次からは気をつけるよ』
「ヨ…クロス!来てくれたのね!怖かった…怖かったよぉ~」
ローラが俺に抱きついて来た、特に怪我をしている様子も無い、危ないタイミングだったが間一髪間に合った様だ、ローラの肩が震えている、緊張の糸が解けたのだろう、俺はローラを優しく抱きしめる。
「無事で良かった、遅くなって悪かったな」
「ううん、きっと来てくれるって信じてたわ」
『マスター、やはり対象ローラはマスターの恋人ではないのですか?私のデータベースに有る情報を参照するに99%の確率でお2人の関係は恋人にあたると推測出来るのですが…』
『アークス、1つ教えておいてやるよ、今のお前みたいなのをKYって云うんだ』
『ありがとうございます、私はKY、勉強になりました』
アークスのヤツめ、良いタイミングで話に割って入ってきやがって、更にお返しの皮肉も軽くスルーか、天然なのかワザとなのかいまいち判断がつかない奴だ。
「お2人さん、良い雰囲気のところ悪いんだけどまだ気を抜くには早い見たいだぜ」
「手配書で見た顔がチラホラいるわね、全員捕まえて騎士団に突き出してやるわ!」
「よくもローラを危険な目に…許せません!」
辺りを見ると先程の男の仲間が俺達を取り囲んでいた、いいだろう、全員纏めて牢屋に送ってやる。
「ローラ、その子と一緒に避難しておいてくれ、すぐに終わらせる」
『敵性反応26体、脅威になると思われる個体はありません、A.C.Sの使用は不要と判断します』
『そうだな、A.C.Sを人間相手に使えば骨も残らないだろう、今回は使わないでおくよ』
今実用化されているA.C.Sは基本的に対魔物を想定して設計した、普通の人間を相手にするなら過剰火力もいいとこだ、今回のレベルの敵なら使う必要もない。
「ロ…ローチ様がやられた!?あの野郎もしかして街で噂の白銀の騎士か!?」
「逃げろ!あんな化け物に叶う筈もねぇ!バラバラににげるんだ!」
誘拐団が我先にと逃げ出そうとする、散り散りに逃げられると面倒だ、今のこの場で捕まえなければ。
「まずい!連中逃げるつもりだ!ドゥーク!魔法の詠唱を!範囲魔法で足止めしてくれ!」
「ダメです!今からでは間に合いません!」
「俺に任せてくれ、逃がすかよ!スタンウェーブ!」
両手の指先から電流が放たれる、対人間用の非殺傷兵器スタンウェーブ、クロスの基本兵装の1つ、今までにも帝国兵崩れを捕らえる際に世話になっている兵装だ。
「ギャァァァァ!!!」
「体…が…うご…かねぇ」
逃げようとしていた男達が次々と倒れていく、これでしばらくは動けないだろう。
『敵性反応の鎮圧を確認、個体差も有りますが少なくとも1時間は活動出来ないと思われ…新たな敵性反応!後ろです!』
「おい!この女がどうなっても良いのか!全員動くんじゃねぇ!」
後ろを振り返ると先程壁に投げ飛ばした男がローラと一緒に捕まっていた女の子を腕に抱えていた、いつの間に回復したのだろうか、完全に俺のミスだ、アイツを甘く見すぎていた。
「いや…死にたく無い…助けて」
「ドリィ!ドリィを離しなさい!貴方はもう逃げられ無いわ!」
「お前達の負けだ!無駄な抵抗をするな!罪が重くなるだけだぞ!」
「俺は捕まる気はねぇよ、最後に笑うのはこの俺だ!」
腕に抱えられている女の子の首が不自然な方向に曲がる、次の瞬間男の腕から離された女の子の体は力無く地面に倒れこんだ。
「待て!その汚い手をローラから離せ!」
「クロス!来てくれたのね!」
ローラが俺の姿を見て声を上げる、良かった、まだ無事な様だ。
「はぁ…はぁ…速すぎるぜクロス」
「な…なんで…鎧を着込んでいる貴方が私達より速く走れるのよ…おかしいわ」
「やっと…追いつけ…ました…」
少し遅れて導きの星の3人も到着した、魔法使いのドゥークなんて息も絶え絶えだ。
「なんだぁ?テメェらは?これからお楽しみって時によぉ!!俺を怒らせたいのか!?」
「頭に来ているのはこっちの方だ、今その子に何をしようとしていた!?許さないぞ!」
「何ってナニさ、せっかく滾ってきたところだったのに邪魔しやがって!ぶっ殺す!」
筋骨隆々の男が勢いよく俺に殴り掛かってくる、中々のスピードだ、避ける事も可能だがここはひとつ受けてみるとするか。
「骨まで砕け散れぇ!剛腕拳!!」
「なんだ?それが必殺技か?ただ力任せに殴りつけてるだけじゃないか?」
殴り掛かって来た腕を掴み男の攻撃を防ぐ、大丈夫だ、あの程度の攻撃ならいくら受けてもクロスの装甲に傷一つ付く事はない。
「なっ!何ぃ!どうなってやがる!グァッ!痛ぇ!離しやがれ!」
掴んだ腕を握り締める、ギチギチと筋肉の繊維が千切れていく感触を感じる、俺は男を力任せに壁へ向かって投げ飛ばした、辺りの物を吹き飛ばしながら男が壁に激突する。
『目標の脅威レベルの仮定を完了、特に警戒するべき点はありません、マスター、今後は敵の脅威レベルを仮定するまでは出来るだけ回避に徹して頂けると助かります』
『すまなかった、ヤツがローラの腕を掴んでいるのを見て頭に血が上ってしまった、次からは気をつけるよ』
「ヨ…クロス!来てくれたのね!怖かった…怖かったよぉ~」
ローラが俺に抱きついて来た、特に怪我をしている様子も無い、危ないタイミングだったが間一髪間に合った様だ、ローラの肩が震えている、緊張の糸が解けたのだろう、俺はローラを優しく抱きしめる。
「無事で良かった、遅くなって悪かったな」
「ううん、きっと来てくれるって信じてたわ」
『マスター、やはり対象ローラはマスターの恋人ではないのですか?私のデータベースに有る情報を参照するに99%の確率でお2人の関係は恋人にあたると推測出来るのですが…』
『アークス、1つ教えておいてやるよ、今のお前みたいなのをKYって云うんだ』
『ありがとうございます、私はKY、勉強になりました』
アークスのヤツめ、良いタイミングで話に割って入ってきやがって、更にお返しの皮肉も軽くスルーか、天然なのかワザとなのかいまいち判断がつかない奴だ。
「お2人さん、良い雰囲気のところ悪いんだけどまだ気を抜くには早い見たいだぜ」
「手配書で見た顔がチラホラいるわね、全員捕まえて騎士団に突き出してやるわ!」
「よくもローラを危険な目に…許せません!」
辺りを見ると先程の男の仲間が俺達を取り囲んでいた、いいだろう、全員纏めて牢屋に送ってやる。
「ローラ、その子と一緒に避難しておいてくれ、すぐに終わらせる」
『敵性反応26体、脅威になると思われる個体はありません、A.C.Sの使用は不要と判断します』
『そうだな、A.C.Sを人間相手に使えば骨も残らないだろう、今回は使わないでおくよ』
今実用化されているA.C.Sは基本的に対魔物を想定して設計した、普通の人間を相手にするなら過剰火力もいいとこだ、今回のレベルの敵なら使う必要もない。
「ロ…ローチ様がやられた!?あの野郎もしかして街で噂の白銀の騎士か!?」
「逃げろ!あんな化け物に叶う筈もねぇ!バラバラににげるんだ!」
誘拐団が我先にと逃げ出そうとする、散り散りに逃げられると面倒だ、今のこの場で捕まえなければ。
「まずい!連中逃げるつもりだ!ドゥーク!魔法の詠唱を!範囲魔法で足止めしてくれ!」
「ダメです!今からでは間に合いません!」
「俺に任せてくれ、逃がすかよ!スタンウェーブ!」
両手の指先から電流が放たれる、対人間用の非殺傷兵器スタンウェーブ、クロスの基本兵装の1つ、今までにも帝国兵崩れを捕らえる際に世話になっている兵装だ。
「ギャァァァァ!!!」
「体…が…うご…かねぇ」
逃げようとしていた男達が次々と倒れていく、これでしばらくは動けないだろう。
『敵性反応の鎮圧を確認、個体差も有りますが少なくとも1時間は活動出来ないと思われ…新たな敵性反応!後ろです!』
「おい!この女がどうなっても良いのか!全員動くんじゃねぇ!」
後ろを振り返ると先程壁に投げ飛ばした男がローラと一緒に捕まっていた女の子を腕に抱えていた、いつの間に回復したのだろうか、完全に俺のミスだ、アイツを甘く見すぎていた。
「いや…死にたく無い…助けて」
「ドリィ!ドリィを離しなさい!貴方はもう逃げられ無いわ!」
「お前達の負けだ!無駄な抵抗をするな!罪が重くなるだけだぞ!」
「俺は捕まる気はねぇよ、最後に笑うのはこの俺だ!」
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