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2章 交易都市の錬金術士
041 赤い書状
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『うっ…なんで、なんでこんな事が出来るんですか!?』
『主さま、怖い…』
目の前に広がる光景は余りに凄惨だった、腕を切断され気を失っている者がいた、顔中火傷で爛れている者がいた、狂気だ、ビズミスは狂っている。
「タリアム!タリアムは無事か!?」
地下室を見渡すがどこにもタリアムの姿は見当たらない。
「確認しましたがこの中にに件の錬金術士殿はいない様です、離れの方に囚われているのでは?」
リーダー格の騎士が俺の様子を見て教えてくれる。
「そうか!離れを見てきます!」
俺が外に出ようと扉を開けると上の方から怒号が聞こえてくる。
「化け物め!大人しく投降しろ!!」
「使用人は館の反対側から逃げろ!負傷者もだ!!」
地上への階段を駆け上がり、声の聞こえる方へと向かうと屋敷の庭は戦場と化していた、騎士達が倒れ号令が飛び交う。
「なんだあの化け物は…?」
庭へ出た俺の目にはカラダ中から無数の触手を伸ばす巨大な赤黒い球体が浮いていた、球体の中心には人の顔がついている、あれはビズミスの顔だ。
「無礼な方々ですね、館に土足で乗り込むとは、私はこの街の領主、絶対的な存在なのですよ?」
間違い無い、アレはビズミスだ、何故あの様な姿になっている?しかし考えている時間はない。
ビズミスから延びた触手が騎士達の鎧を貫く、騎士達も応戦しているが触手は次々と再生して効果が無い様に思われた。
「やめろビズミス!タリアムは何処にやった!?」
「おや、貴方は?何故私を呼び捨てにしているのですか?私は伯爵ですよ、何を考えているのですか?訂正しなさい」
まともな受け答えができていない、正気を失っているのか?違う、こいつは元から狂っていたのだ。
「なんなのですかアレは…もしや…ビズミス伯爵?」
追いついてきたカッパーさんが俺の横に並び困惑の声をあげる、手には赤い手紙の様な物を持っていた。
「ビズミス伯爵、私は国王陛下の命により貴方の悪評の真偽を見極める為にこの街へ来ました、貴方も貴族ならこの書状の意味はご存知でしょう?」
カッパーさんの声を聞いたビズミスは動きを止め手紙を見つめた。
「考えている通りこれは『赤の書状』です、陛下より貴方の悪業が度を超えているのあれば私の判断でお渡しする様に仰せつかっております、現時刻を持ってマグネジアム伯爵家は断絶、以後アイロンスティールの街は王家の管理となります」
ビズミスが雄叫びをあげる。
「嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ!!陛下が私を見捨てる筈がない!私は生まれつきの絶対者なんだ!!何故誰も私を敬わない!?口先だけ敬うヤツは大っ嫌いだ!!だからそんな奴は腕を切って油をかけてやった!私はこの街の領主だぞ!!何故父上は敬われて私はダメなんだ!?何をされても皆私を心から敬うべきだ!」
ビズミスが触手を振り回し滅茶苦茶に暴れ始めた、完全に人ではなくなってしまったのだろう。
「随分勝手な事を言っているな、誰もそんな奴を好きになるかよ」
俺は咲夜の柄を握り駆け出した。
『主さま、怖い…』
目の前に広がる光景は余りに凄惨だった、腕を切断され気を失っている者がいた、顔中火傷で爛れている者がいた、狂気だ、ビズミスは狂っている。
「タリアム!タリアムは無事か!?」
地下室を見渡すがどこにもタリアムの姿は見当たらない。
「確認しましたがこの中にに件の錬金術士殿はいない様です、離れの方に囚われているのでは?」
リーダー格の騎士が俺の様子を見て教えてくれる。
「そうか!離れを見てきます!」
俺が外に出ようと扉を開けると上の方から怒号が聞こえてくる。
「化け物め!大人しく投降しろ!!」
「使用人は館の反対側から逃げろ!負傷者もだ!!」
地上への階段を駆け上がり、声の聞こえる方へと向かうと屋敷の庭は戦場と化していた、騎士達が倒れ号令が飛び交う。
「なんだあの化け物は…?」
庭へ出た俺の目にはカラダ中から無数の触手を伸ばす巨大な赤黒い球体が浮いていた、球体の中心には人の顔がついている、あれはビズミスの顔だ。
「無礼な方々ですね、館に土足で乗り込むとは、私はこの街の領主、絶対的な存在なのですよ?」
間違い無い、アレはビズミスだ、何故あの様な姿になっている?しかし考えている時間はない。
ビズミスから延びた触手が騎士達の鎧を貫く、騎士達も応戦しているが触手は次々と再生して効果が無い様に思われた。
「やめろビズミス!タリアムは何処にやった!?」
「おや、貴方は?何故私を呼び捨てにしているのですか?私は伯爵ですよ、何を考えているのですか?訂正しなさい」
まともな受け答えができていない、正気を失っているのか?違う、こいつは元から狂っていたのだ。
「なんなのですかアレは…もしや…ビズミス伯爵?」
追いついてきたカッパーさんが俺の横に並び困惑の声をあげる、手には赤い手紙の様な物を持っていた。
「ビズミス伯爵、私は国王陛下の命により貴方の悪評の真偽を見極める為にこの街へ来ました、貴方も貴族ならこの書状の意味はご存知でしょう?」
カッパーさんの声を聞いたビズミスは動きを止め手紙を見つめた。
「考えている通りこれは『赤の書状』です、陛下より貴方の悪業が度を超えているのあれば私の判断でお渡しする様に仰せつかっております、現時刻を持ってマグネジアム伯爵家は断絶、以後アイロンスティールの街は王家の管理となります」
ビズミスが雄叫びをあげる。
「嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ!!陛下が私を見捨てる筈がない!私は生まれつきの絶対者なんだ!!何故誰も私を敬わない!?口先だけ敬うヤツは大っ嫌いだ!!だからそんな奴は腕を切って油をかけてやった!私はこの街の領主だぞ!!何故父上は敬われて私はダメなんだ!?何をされても皆私を心から敬うべきだ!」
ビズミスが触手を振り回し滅茶苦茶に暴れ始めた、完全に人ではなくなってしまったのだろう。
「随分勝手な事を言っているな、誰もそんな奴を好きになるかよ」
俺は咲夜の柄を握り駆け出した。
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