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6章 集う力

265 真夜中のドラゴン

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「グギャアァァァッ!!!」

真夜中な静寂を切り裂く様に何者かの悲鳴が聞こえてきました。聴こえて来たのはレッドドラゴンがいる方向からです。

「ちょっとレイ…アレってアンタのペンダントを盗って行ったエテ公じゃない?」

「ちょっと待って下さい、私はアンみたいに夜目が効きませんの…」

目を凝らしレッドドラゴンを見ると人型の何かを丸呑みしようとしているところでした。

「ドラゴンが何かを飲み込んだ様にみえましたがはっきりとはわかりません…アン、貴女には何が起こったのか分かったのですか?」

「えぇ、猿みたいなモンスターがレッドドラゴンに丸呑みされたわ。そしてそいつは食べられる寸前に首飾りを地面に落とした。よーく見てごらんなさい、ドラゴンの脚の辺りよ」

アンに言われドラゴンの脚付近を凝視します。すると何かが月の光を反射しているのを確認できました。アレは恐らくお母様の形見のペンダントです。

「落ち着きなさいよレイ、今出て行ったら確実に見つかるわ。様子を見て回収するわよ」

「わかってますわ。悔しいけど私達だけでレッドドラゴンと戦うのは危険過ぎます…師匠達やユイトがいてくれれば…」

人外の戦闘能力を持つユイト達と行動していたせいで最近感覚がおかしくなっていましたが元々レッドドラゴンは人間が対等に渡り合える存在ではありません。元々1体で騎士団の大隊を壊滅させる様な正真正銘の化け物なのです。

「…アン?私の気のせいで無ければあのドラゴン何かを探している様ではありませんか?」

「そういえばこの前オウルがレッドドラゴンは索敵能力が高いって言ってたわね…」

レッドドラゴンが首を振りながら周囲の臭いを嗅ぎ回りはじめました。かなりの距離が離れていますがまさかこの距離で私達の臭いに気づいたと云うのでしょうか?

「少しこの場を離れましょう。ゆっくりと退がるのよ…キャッ!!」

後ろ向きに距離を取ろうとしたアンが足を縺らせコケてしまいました。近くに有った茂みがクッションになり怪我はなさそうですが…

「グオォォォォォォォ!!!」

レッドドラゴンが雄叫びをあげこちらに向かって来ます。茂みの小枝が折れる音に反応した様です、気づかれずにやり過ごす事は不可能でしょう。

「ごめん…やらかしたわ…」

「もう!アンったら!こうなったら迎え撃つしかありませんわ!早く体勢を整えて下さい!!」

「1対1じゃ無理でもアンタと私の2人がかりならどうにかなるかもしれないわね…行くわよ!レイ!」
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