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6章 集う力

285 祠

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偶然ルナが発見した大空洞、明らかに人の手によって作られ空間だ。大空洞へ他の皆呼び出したが各々この場所の異様さに気圧されている。

「なんだか不思議な空間ですわね。妙に空気が澄んでいると云うか…王都にいた頃通っていた教会を思い出しますわ」

「驚れぇたな。こりゃ人の手で作られたに違い無ぇが硬い岩にこんなデケェ穴を開けるなんて一体どれだけの労力が使われたんだろうな」

「長い時間で今では失われてしまった魔法もあるからね。もしかするとこの空間は古代の人々が魔法によって作ったのかも知れないよ」

真っ暗な空間をサクヤの火球が照らし出す。思っていたよりも遥かに広い空洞の様だ。小さな村くらいなら丸々入ってしまうだろう。

「それより昔の人は何の為にこんな空洞を作ったのかしら?意味も無くこんな場所を作ったとは考えにくいけど…」

「アンの言う通りだ、俺はこの大空洞はルシオンを封じる為に作られた空間だと考えてる。きっとどこかにヤツを封じた大岩がある筈だ」

この大空洞に通じる階段は外部からの侵入者を防ぐかの様に隠されていた。俺達が発見出来たのは幸運だったとしか言いようが無い。

「奥の方から不思議な力を感じるわ。この空間の中でならはっきりと気配を感じる事ができる、きっと結界の内側に入り込めたのね」

「テミス、その反応の発信源へ案内してくれ。多分そこにルシオンが封じられている筈だ」

「もしかしたら何か罠が仕掛けられているかも知れないね。ボクが先頭を行くよ」

「わかった、頼んだぞルメス。サクヤは灯り絶やさない様に気をつけてくれ」

念の為に松明にも火を付け真っ暗な大空洞を進む。長い間誰もこの空間に立ち入った様子は無い。良かった、魔族や偽神の手先に先を越されてはいない様だな。

「!?この先に何かある!サクヤ、灯りをもっと強くしてもらるかな?」

「わかりました、少し大きな火球を出すので皆気をつけて下さいね…それっ!」

サクヤの掛け声で俺達の頭上に巨大な火球が姿を現した。火球は周囲の広い範囲を照らし出す。

「…おいおい、こりゃあ一体…」

「祠…の様だね、それも半端なく古い物だ。この大空洞はユイト君の言った通り本当に邪龍ルシオンが封じられている空間だったみたいだ」

「主さま、アレはドラゴン?ボロボロになっている」

大空洞の突き当たり、テミスが感じた気配の発信源は石造りの祠だった。扉の横に置かれたドラゴンの彫刻は長い年月を経てひび割れながら尚来訪者を圧倒する威厳を放っている。
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