花間の高手

きりしま つかさ

文字の大きさ
199 / 262
0100

第0199話 軍刀閃光

しおりを挟む
「刀哥……秋羽の野郎にやられたんだ……」獾子が口を歪めて言った。

林の中での惨状が脳裏に浮かぶと、思わず身震いが走った。

「あぁ……小刀がやられてる?秋羽、このバカ!お前はどこだ?すぐ連れてこいや!この野郎、叩き潰してやる!」

怒りのあまり声を詰まらせながら、校服のポケットから手首に巻いた金属製の指輪を取り出した。

精鋼で作られたそれは四本の指に装着され、先端には鋭いトゲがついていた。

敵の体に触れれば血みちり、強力な攻撃武器だ。

身長が低いながらも実力があると評判の蛤蟆は格闘の達人だった。

だが教室を出る前に相手が現れた。

秋羽が四大金刚の一人と共に教室内に入ると、胡州が指差した。

「羽哥、その野郎は蛤蟆だ」

秋羽が三角目の大きな口の醜い男を見やると、「蛤蟆か……そっくりだな」と皮肉を込めて尋ねた。

「お前こそ秋羽という小坊主だろう?俺が探してるんだ。

自分で来てくれたのかよ」敵意に満ちた声で罵倒する。

「それでどうすんだ?」

秋羽は冷めた表情で言った。

「手首のトゲなんて、無駄だぜ」

「ならいいや!お前の足を折ってやる!」

赖成強が獰悪な笑みを浮かべて拳を振り上げた。

「そうか……それが俺に言えることか?」

秋羽は頷いた。

廊下には黒々と人影が集まり、教室の様子を見つめていた。

息を殺して観戦する人々の間からはほとんど声も聞こえない。

緊張した空気が漂っている。

怒りに駆られて赖成強が拳を振り上げると、秋羽は足を払って机を蹴飛ばし、相手に向かって放った。

「バーン!」

衝撃音と共に机が当たると、教科書などが散らばった。

突然の重みで腕が痛むと、赖成強は慌てて机を押しやった。

秋羽は矢のように駆け寄り、顔面に拳を叩きつけた。

「バーン!」

鼻血を流す相手を見ると、この野郎も頑丈なのか、痛みなど顧みずに拳を振り回した。

トゲの先端が恐ろしく輝く。

赖成強の腕は速い。

秋羽が身をかわそうとした時、鋭い風切り音と共に拳が近づいてきた。

「バーン!」

左足で相手の顎に蹴りを入れると、赖成強は後退して二つの机を倒した。

明らかにこの敵も侮れない存在だった。

小刀が負けていたのも無理ないかもしれない。



秋羽が優位に立つと、四大金刚たちはバットを振り回しながら「羽哥、よくやった!続けろ!」

と叫び立てた。

「この野郎め……」

清潔な顔立ちの秋羽は笑みを浮かべながら前へ進み、跳躍してくるぶし蹴りを放つ。

リョウセイキョウが相手の頬に当たると、ライセイグンカクの口から血沫が飛び、眼前が暗くなるほどの衝撃で彼は倒れ込んだ。

その瞬間、後ろの女子生徒たちが「あっ!」

と悲鳴を上げ、耳をつんざすような響きが周囲に広がった。

「お前の野郎め……」ライセイグンカクは立ち上がろうとするも、抗打力の高さからすぐに起き上がれそうもない。

秋羽は冷ややかに「お前を辱めるのは許さん」と言いながら、再びバットを振り上げた。

「はぁ……」ライセイグンカクが苦悶の声を漏らす中、秋羽は「お前の野郎め……」と吐き捨ててから、バットを投げ捨てるように振るった。

その一撃で彼の左足が折れ、悲鳴と共に血しぶきが飛び散る。

「あっ!ライ少の足が!」

秋羽は半分に折れたバットを地面に落とし、相手を見下ろす。

「お前が先に言いたいことだろ?今なら聞くぞ」

「秋少……許してください……もう二度と近づきません……このままでもいいです……」ライセイグンカクは震える声で懇願した。

「覚えていろよ」と秋羽が背を向けると、四大金刚たちは彼の後ろに並んで歩き出す。

廊下では人々が道を開け、彼らが去った後にため息が漏れた。

「第一高校も変わったな……雄鶏と蛙が次々にやられちまったんだから」

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

黒瀬部長は部下を溺愛したい

桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。 人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど! 好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。 部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。 スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。

堅物御曹司は真面目女子に秘密の恋をしている

花野未季
恋愛
真面目女子が、やはり真面目で堅物な御曹司と知り合う純愛もの。 サラッと読める短編です♪

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

エリート警察官の溺愛は甘く切ない

日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。 両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

処理中です...