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第0783話 皇帝
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「やっと来たぞ!」
皇甫天罡が完全に変わった姿で宣言すると、全員が一斉に龍爪を眼前に伸ばし、強制的に目を閉じてしまった。
「行こう!」
皇甫天罡は手にした星宿剣を空高く投げ上げ、足元を蹴りながら即座に剣上を滑り、牦之門へと向かっていった。
玄牝の道袍が猛然と縮み、次いで跳ねた瞬間、三対の爪を持つ奇妙な金色の龍が現れ、牦之門を目指して駆け出した。
彼らが去ると同時に、他の者たちも八仙渡海のごとくそれぞれの術を発揮し、牦之門へと突進した。
その動きに合わせて天下の風水霊脈も移動し、彼らは単に龍脈の気運を利用しているだけでなく、全天下的気運まで借りていたのだ。
李火旺が再び目を開けたときには、自分が血まみれで倒れていた。
鼻から大量の血を流し、頭痛と眩暈で立つこともできなかった。
それでも彼は、先程の全ての出来事を鮮明に覚えている。
詳細な記憶すら欠けることがない。
これは単なる秘密の暴露ではなく、李火旺の脳髄に強制的に刻み込まれたのだ。
「ああ、そうだったのか!彼ら自身では司命を助けることもできないし、逆らうこともできなかったからこそ、二龍脈と全天下的地脉を利用することで司命との対決資格を得たんだ。
やはり玄牝には後手があったんだ」
しかしその言葉と共に、李火旺の興奮は次第に収まり始めた。
だがそれでもなお、玄牝たちが死んでいた事実を悼む間もなかった。
すると奇妙な現象が発生した。
彼の頭の中にある鮮明な記憶が、次々と消え始めていたのだ。
「どうしてだ!お前は助けてくれたはずなのに、なぜ取り戻さないんだ!!」
その消滅速度が加速し、玄牝の呪文にも感染し始めたとき、李火旺は頭を抱えて叫び声を上げた。
「帰れ!絶対に消せないぞ!!」
修真能力でこの現象を変えようとしたが、虚ろな記憶そのものには効果がなかった。
「言っただろう!戻ってこいんだ!」
李火旺の額から青筋が浮き上がり、両手を強く握りしめた瞬間、突然頭蓋骨が彼自身の力で砕けた。
颅骨の破片が軋む音と共に、李火旺は驚愕の表情を見せた。
しかしすぐに狂喜の笑みが浮かんだ。
右手を颅骨の隙間に差し込み、脳内で消えかけている記憶を探り始めたのだ。
間もなく彼はその記憶を見つけ出し、死に物狂いで掴み取った。
そして左手でそれを触れた瞬間、地面に速やかに書き始め、満たされれば壁へと移り、ついには体にも文字を刻み始めた。
消滅させないためだ。
全ての記憶を紙面に残すのだ。
可能な限り全ての場所に書く。
記録できる限りの空間を埋め尽くした。
火旺がその記憶を完全に消耗したと気づいた時、彼はゆっくりと手を脳天から引き出した。
屋の中央で周囲の自分自身の記録を見つめながら、彼はため息をつき、ようやくすべて書き留めたことを悟った。
後顧之憂が解決したことで火旺は、周りの記録をじっくりと見詰め始めた。
しかし見るうちに眉根が寄り集まり、何かおかしいと感じた。
「おかしい!ここに矛盾がある!彼らが全て『毛ノ門』へ行ったなら、法教が襲撃したという説は成り立たないはずだ。
玄牝が死んだのは法教の襲撃によるものだと聞いたが…」
「掌壇(しょうだん)は現場にいなかったから知らないかもしれないが、高志堅は明らかにそこにいたではないか。
なぜ彼が知らぬふりをしているのか?」
かつて高志堅を通じて聞いた真実が曖昧になっていく。
「まさか、彼までが私を騙していたのか?」
そう思うと火旺の表情が引き締まった。
まず信じられないと直感したが、確信を得るためには直接聞くしかない。
軍営の外の大通りで高志堅を見付けた。
龍袍を着た彼は十六輿(ぎょ)に引かれる玉輦(ぎょりん)に乗っていた。
周囲は荘厳そのものだった。
百姓たちが道端から避けると、皆が九五の尊き方々にお辞儀をして頭を下げていた。
火旺の姿を見た瞬間、宦官や禁軍の兵士たちが警戒したが、高志堅の一言で彼らは退いた。
「李師兄(りしょく)よ、あとでいいか?私は軍営へ行き、諸将に餞別をしたい。
時間をずらすと彼らが不満を持つのでは」
火旺は玉輦の高い位置まで跳び乗った。
「玄牝たちがどうやって死んだのか、正直に答えろ!」
「司命(しめい)様の法術を助ける際、法教に襲撃され殺されたのだ」
「馬鹿な!彼らは『斬龍斎仙陣』を布いて、あなたの気運と全天下的な気運を借りて『毛ノ門』へ行ったはずだ。
法教がどうやって彼らを襲う?」
高志堅の表情が凍りついた。
「なぜあなたまでそれを知っているのか?」
「どうやったか聞いているのではない!私はただ一つだけ聞くのだ!なぜ私を騙した?現場にいたはずのあなたは、陣法にも関わっていたではないか。
なぜ教えてくれなかった?」
「今あなたはかつて『命を共にする仲』だったあの愚直な男なのか、それとも龍床(りゅうしょう)に座る深謀遠慮で全てを計算する皇帝なのか?」
黄布の垂れ幕が微風でゆらめきながら、玉輦の中の高志堅は黙っていた。
少し間を置いてから彼は口を開いた。
「李師兄よ、玄牝が遺した約束がある。
それをあなたに教えることはできない。
そして私もそう思う」
「私は依然としてかつて『命を共にする仲』だったあの愚直な男だ。
だが君はかつて私に言ったように、良い皇帝とは何か?」
「良い皇帝は何でも言いたい放題ではない。
良い皇帝は城府(じょうぷ)を持ち、噓も平然とつけるものだ」
「良い皇帝は天下の一大事と家事のどちらか一方を優先するものだ」
「良い皇帝とは、自分の民のために無情に帝王術を駆使し、一歩進むと暴君となり緩めると昏君となる存在だ」
「だが良い皇帝と命を預けた愚かな私との衝突が起きた場合、どうすればいいと言う?」
「李師匠、私の命を何度も救ってくれた。
その通りに選べばよい。
二言も言わせない」
李火旺の怒りは消え、複雑な表情で高智堅を見つめたまま黙っていた。
二人が向かい合っていると、隣から悲鳴が響いた。
跪いていた妊婦が突然横倒しになり、血水が流れ出した。
焦った高智堅が指をさした「早く!難産にならないよう手助けせよ」
依仗隊の宦官と女官が数人分かれて駆け寄る。
「良い皇帝」
「はい」
その瞬間、悲鳴と共に接生に当たっていた宦官・女官たちが驚愕で走り去った。
次の一瞬、血水から嬰児の頭を持つ禿鷲のような怪物が這い上がってきた。
爛々と輝く歯を剥き出し笑い始めた。
皇甫天罡が完全に変わった姿で宣言すると、全員が一斉に龍爪を眼前に伸ばし、強制的に目を閉じてしまった。
「行こう!」
皇甫天罡は手にした星宿剣を空高く投げ上げ、足元を蹴りながら即座に剣上を滑り、牦之門へと向かっていった。
玄牝の道袍が猛然と縮み、次いで跳ねた瞬間、三対の爪を持つ奇妙な金色の龍が現れ、牦之門を目指して駆け出した。
彼らが去ると同時に、他の者たちも八仙渡海のごとくそれぞれの術を発揮し、牦之門へと突進した。
その動きに合わせて天下の風水霊脈も移動し、彼らは単に龍脈の気運を利用しているだけでなく、全天下的気運まで借りていたのだ。
李火旺が再び目を開けたときには、自分が血まみれで倒れていた。
鼻から大量の血を流し、頭痛と眩暈で立つこともできなかった。
それでも彼は、先程の全ての出来事を鮮明に覚えている。
詳細な記憶すら欠けることがない。
これは単なる秘密の暴露ではなく、李火旺の脳髄に強制的に刻み込まれたのだ。
「ああ、そうだったのか!彼ら自身では司命を助けることもできないし、逆らうこともできなかったからこそ、二龍脈と全天下的地脉を利用することで司命との対決資格を得たんだ。
やはり玄牝には後手があったんだ」
しかしその言葉と共に、李火旺の興奮は次第に収まり始めた。
だがそれでもなお、玄牝たちが死んでいた事実を悼む間もなかった。
すると奇妙な現象が発生した。
彼の頭の中にある鮮明な記憶が、次々と消え始めていたのだ。
「どうしてだ!お前は助けてくれたはずなのに、なぜ取り戻さないんだ!!」
その消滅速度が加速し、玄牝の呪文にも感染し始めたとき、李火旺は頭を抱えて叫び声を上げた。
「帰れ!絶対に消せないぞ!!」
修真能力でこの現象を変えようとしたが、虚ろな記憶そのものには効果がなかった。
「言っただろう!戻ってこいんだ!」
李火旺の額から青筋が浮き上がり、両手を強く握りしめた瞬間、突然頭蓋骨が彼自身の力で砕けた。
颅骨の破片が軋む音と共に、李火旺は驚愕の表情を見せた。
しかしすぐに狂喜の笑みが浮かんだ。
右手を颅骨の隙間に差し込み、脳内で消えかけている記憶を探り始めたのだ。
間もなく彼はその記憶を見つけ出し、死に物狂いで掴み取った。
そして左手でそれを触れた瞬間、地面に速やかに書き始め、満たされれば壁へと移り、ついには体にも文字を刻み始めた。
消滅させないためだ。
全ての記憶を紙面に残すのだ。
可能な限り全ての場所に書く。
記録できる限りの空間を埋め尽くした。
火旺がその記憶を完全に消耗したと気づいた時、彼はゆっくりと手を脳天から引き出した。
屋の中央で周囲の自分自身の記録を見つめながら、彼はため息をつき、ようやくすべて書き留めたことを悟った。
後顧之憂が解決したことで火旺は、周りの記録をじっくりと見詰め始めた。
しかし見るうちに眉根が寄り集まり、何かおかしいと感じた。
「おかしい!ここに矛盾がある!彼らが全て『毛ノ門』へ行ったなら、法教が襲撃したという説は成り立たないはずだ。
玄牝が死んだのは法教の襲撃によるものだと聞いたが…」
「掌壇(しょうだん)は現場にいなかったから知らないかもしれないが、高志堅は明らかにそこにいたではないか。
なぜ彼が知らぬふりをしているのか?」
かつて高志堅を通じて聞いた真実が曖昧になっていく。
「まさか、彼までが私を騙していたのか?」
そう思うと火旺の表情が引き締まった。
まず信じられないと直感したが、確信を得るためには直接聞くしかない。
軍営の外の大通りで高志堅を見付けた。
龍袍を着た彼は十六輿(ぎょ)に引かれる玉輦(ぎょりん)に乗っていた。
周囲は荘厳そのものだった。
百姓たちが道端から避けると、皆が九五の尊き方々にお辞儀をして頭を下げていた。
火旺の姿を見た瞬間、宦官や禁軍の兵士たちが警戒したが、高志堅の一言で彼らは退いた。
「李師兄(りしょく)よ、あとでいいか?私は軍営へ行き、諸将に餞別をしたい。
時間をずらすと彼らが不満を持つのでは」
火旺は玉輦の高い位置まで跳び乗った。
「玄牝たちがどうやって死んだのか、正直に答えろ!」
「司命(しめい)様の法術を助ける際、法教に襲撃され殺されたのだ」
「馬鹿な!彼らは『斬龍斎仙陣』を布いて、あなたの気運と全天下的な気運を借りて『毛ノ門』へ行ったはずだ。
法教がどうやって彼らを襲う?」
高志堅の表情が凍りついた。
「なぜあなたまでそれを知っているのか?」
「どうやったか聞いているのではない!私はただ一つだけ聞くのだ!なぜ私を騙した?現場にいたはずのあなたは、陣法にも関わっていたではないか。
なぜ教えてくれなかった?」
「今あなたはかつて『命を共にする仲』だったあの愚直な男なのか、それとも龍床(りゅうしょう)に座る深謀遠慮で全てを計算する皇帝なのか?」
黄布の垂れ幕が微風でゆらめきながら、玉輦の中の高志堅は黙っていた。
少し間を置いてから彼は口を開いた。
「李師兄よ、玄牝が遺した約束がある。
それをあなたに教えることはできない。
そして私もそう思う」
「私は依然としてかつて『命を共にする仲』だったあの愚直な男だ。
だが君はかつて私に言ったように、良い皇帝とは何か?」
「良い皇帝は何でも言いたい放題ではない。
良い皇帝は城府(じょうぷ)を持ち、噓も平然とつけるものだ」
「良い皇帝は天下の一大事と家事のどちらか一方を優先するものだ」
「良い皇帝とは、自分の民のために無情に帝王術を駆使し、一歩進むと暴君となり緩めると昏君となる存在だ」
「だが良い皇帝と命を預けた愚かな私との衝突が起きた場合、どうすればいいと言う?」
「李師匠、私の命を何度も救ってくれた。
その通りに選べばよい。
二言も言わせない」
李火旺の怒りは消え、複雑な表情で高智堅を見つめたまま黙っていた。
二人が向かい合っていると、隣から悲鳴が響いた。
跪いていた妊婦が突然横倒しになり、血水が流れ出した。
焦った高智堅が指をさした「早く!難産にならないよう手助けせよ」
依仗隊の宦官と女官が数人分かれて駆け寄る。
「良い皇帝」
「はい」
その瞬間、悲鳴と共に接生に当たっていた宦官・女官たちが驚愕で走り去った。
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