吸血鬼を刺殺した

きりしま つかさ

文字の大きさ
110 / 251
0100

第0110話 今日から走男——北沙王選環島マラソン大会!!

しおりを挟む
王選投票まであと1日;

世論調査、関家:徐家=6:4;

王選最終日前日に周元が大手を振る!

それが全員総動員、王環島マラソン大会!

「おいおーい、小僧、これは何だよ?」

「環島1日一夜で回れないんだろ!?」

すると阿梓は冷やかに笑み、仮想地図をタップした;

すると地図が一瞬揺らぎ、仮想現実投影された——

「これが北沙島の模型じゃないか!?」

と大叔が驚き叫ぶ。

「まさかこの北沙島模型で走るのか!?」

「これなら周回も数百メートルだろ!」

「それこそ環島と言ってもマラソンとは言えない、はははーん——」

「小僧、天才だぜ!」

大叔が周囲を見やった。

すると皆が驚きの表情を浮かべていないことに気づく;

急に違和感を感じた。

そうだ!——

「なぜみんな知ってるんだよ!」

「なぜ俺だけこの企画を知らないんだ!?」

「お前は口が広いからさ」阿梓が鼻で笑った。

「くっ!」

大叔が唾を吐き捨てた。

周元の顔が真っ黒になる。

「1等賞、選王周元との記念撮影券1枚、50名?」

「それだけかよ!?」

「2等賞、超現代風リフォーム体験券1枚、500名?」

「何それーーー!?」

大叔が叫ぶ。

大小姐の顔も真っ黒になる。

1等・2等は彼女が考案したのだ。

唇を噛み締めながら。

「3等賞、拂晓神剣コスプレ日常着1セット、1000名?」

「えーーー!?」

大叔が吐き出すように叫ぶ。

阿梓の顔も真っ黒になる。

3等・安慰賞は彼女が提案したのだ。

「おいおーい、小僧、この景品もおかしいだろ!」

大叔が頬を膨らませ、チラシを見つめながら文句をつけた。

「こんなもので参加者が集まるわけないじゃん!?」

その言葉は明らかに——予算増額を要求する意味だった。

大叔が周囲を見回すと、皆の顔が真っ黒。

特に暴走気味な阿梓。

「うるさい!」

「死ねーーー!!」

阿梓が鼻血を流しながら叫ぶ。

阿梓は鼻血まみれの大叔に指を突き出した;

そこには何人かの子供たちが遊んでいた——

「楽しみだなあ」

「この大会誰でも参加できるから、拂晓神剣日常着1枚欲しい!」

「めっちゃカッコいい!」

「1枚だけでいいよー!」

「2枚欲しけど贅沢か?」

……

「子供に過ぎるよ。

それ証明にならないだろ」大叔が笑う。

しかし隣の親たちの会話も聞こえてくる——

「おい、もう始まるのか?」

「うちの家は全員朝食抜きで、二等賞目指してるんだよ!」

男性村民が友人を説得するように言った。

「馬鹿か?」

「朝食食べないから次に走れないだろ!?」

「大丈夫だよ。

慰めの賞品に卵一個あるんだから!」

「えーっ?」

……

「まあたまには……」大叔が目を合わせながら言い訳する。

しかし——

たちまち事務所前で群集が殺到し、会場スペースは瞬く間に埋まった。

「俺も登録だ!」

「私も!」

「おーい、先に来てたんだぞ!」

「昨日から陣取りをしたんだよ!」

……

村民たちが次々と名乗り出る。

「並んでください!!!」

徐家漁師の兄貴が徐家の幹部たちで場内の秩序を取りなす。

大叔の顔が引きつり、ついに崩壊する。

「ははは——」阿梓が笑いながら続けた。

「周さんもおっしゃってたでしょう。

参加したからといって賞品が出るわけないんだよ!」

「諦めなさい!」

「どうしてだよー?」

「ひどいじゃないか!」

……

「くそー」関家がまたピンチに陥った。

関明は周元の動きをすぐに察知した。

何度か失敗した後、関老怪はもう手を出さなくなった。

彼を自由にさせてやれば、関明も一息ついたものの、プレッシャーは倍増する。

「今回はどうやって妨害しよう?」

関明は傷だらけだった——

大少爷であり選王であり反役の彼は、非常に熱心で、自ら海に飛び込み、何度も敗戦を繰り返した。

周元さえもその精神力に賞賛の言葉をかけた。

「ほめられたよ!」

「ふざけない!」

「褒めるのはやめてくれ!」

関明はリビングでうろうろと歩きながら、しばらく経った後言った。

「みんなが追い詰めたんだから——!」

「みんなが追い詰めたんだから——!!」

関明の顔が一瞬で暗くなり、次にまた変わった。

狂気を孕んだ笑い声を上げる。

「はははー」

「徐家の野郎め!」

「おれがおまえの股間に……」

「周さんよ、おれがおまえの目の前で……」

「はははー」

「爽快だぜ——」

関明は不健全な妄想に浸りきっていた。

……

村民たちの歓声の中、周元と大小姐が礼砲を鳴らした!

「選王環島マラソン大会!正式スタート!!!」

勢いを得た村民たちが走り出す!!

先頭を駆け抜けているのは周元、大小姐、阿梓三人だ。

彼らは参加していないが、みんなのリーダーとして進んでいる。

さて、マラソンでコスプレするのは必須!

王選の宣伝と士気向上に役立つからこそだ。

走る男・周元は天馬座の兜をかぶり、黄金色の鎧を身にまとっている——

まさに!周元が演じているのは、黄金聖衣を纏った天馬聖闘士!

輝く金髪と相まって選王としてふさわしい。

聖闘士の隣には大小姐がいる。

彼女は黄金の装飾品をつけ、ギリシャ風の白いドレスに身を包み、腰には金色のベルト——

まさに!大小姐が演じているのはアテネの女神・アーテミス!

高貴で優雅な姿は彼女の性格にぴったり。

聖闘士と神々の組み合わせは、村民たちの吸血鬼討伐への心理を反映している。

徐家の歴代王への崇敬が雅典娜と一致する。

聖闘士とアテネス、完璧なコンビだ。

さらに後ろには阿梓が続く——

「おーい!」

彼女は赤い髪を風になびかせながら笑顔で走り続ける。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました

しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、 「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。 ――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。 試験会場を間違え、隣の建物で行われていた 特級厨師試験に合格してしまったのだ。 気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの “超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。 一方、学院首席で一級魔法使いとなった ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに―― 「なんで料理で一番になってるのよ!?  あの女、魔法より料理の方が強くない!?」 すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、 天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。 そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、 少しずつ距離を縮めていく。 魔法で国を守る最強魔術師。 料理で国を救う特級厨師。 ――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、 ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。 すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚! 笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。 王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。 15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。 国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。 これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。  

中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています

浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】 ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!? 激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。 目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。 もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。 セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。 戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。 けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。 「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの? これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、 ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。 ※小説家になろうにも掲載中です。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

処理中です...