吸血鬼を刺殺した

きりしま つかさ

文字の大きさ
154 / 251
0100

第0174話 第1回生中継ドキュメンタリー『』完璧なエンディング!

しおりを挟む
フリーテレビ局のインターン記者・肖蕾と周元が協力体制を結んだ——

肖蕾が正確なニュース情報を提供し、一方で周元が吸血鬼を撃破するという役割分担。

肖蕾のもう一つのアイデンティティ、魔法少女小方は宅男層から一定の人気を誇る存在だった。

しかし彼女は人気はあるもののコンテンツ不足に苦しみ、知名度とファン層の拡大が叶わず、またその人気に換金できないというジレンマに直面していた。

この状況を変えようと、肖蕾は今回は「メインキャスターの第二属性を正規化する」という目的で協力体制を構築した。

今日は特に頑張った——

現場での吸血鬼の突然の襲撃に彼女は驚愕したが、次の瞬間にはストーリーが逆転。

吸血鬼が三笠阿梓に瞬殺されたのだ。

双剣が吸血鬼の心臓を突き刺し、その動きと共に血液が飛び散り——

白いベッドシートに、ピンクのスカートに、そして三笠阿梓自身は汚れることなく。

魔法少女小方の心臓は強いものだが、今や驚愕のあまり声も出ない。

彼女はあまりにも強すぎたし冷酷だった——

「これが三笠本人そのものだ!」

「再現度が高すぎる!」

「凄惨過ぎる!!」

視聴者たちも同様に呆然とし、本来のエンターテイメント番組が血なまぐさい殺戮現場になっていた。

しばらくしてようやくチャット欄が埋まった——

「凄惨で残酷で冷酷極まりないのに、なぜか見たくなる!」

「強すぎる吸血鬼を瞬殺とは……?」

「本当か? 吸血鬼は人間のコスプレじゃないのか?」

「逆に三笠がコスプレしているんじゃないか?」

「小方さん、言ってください! これは演技ですか? 迷惑な冗談ですか?」

……

今や生中継——

自身の運命がかかっている——

魔法少女小方は一瞬で我を忘れていた。

彼女は怯まずに冷静になり、これまでの努力が無駄にならないよう必死だった。

「えーと……」

「三笠さん、相手と数回やり取りしていただけませんか?」

「テレビドラマでは300ターン戦闘ですよ!」

「要求レベルは高くないから30ターンでいいんです」

「瞬殺はあまりにも見せ場が足りないわ」

「殺戮はパフォーマンスではない——」三笠阿梓は黒い顔をして冷たく言った。

新しく入手した『副希望』の速度は人間には見えないほど速く、先程は瞬時に白服の吸血鬼の胸に双剣が突き刺さった。

血も死も恐れず、その強大で冷酷な存在感——

観客までが寒気がした。

沈黙が迫り来る!

その時、大叔が前に出てきた:

「あーすみません!」

「先ほど動きが速すぎたので見所を欠いてしまいました——」

「もう一度やり直します!!」

大叔は吸血鬼の遺体の前で叫んだ:

「犯人はただ一人!」

「真実は一つしかない!!

『この聖なる場所で犯罪を犯すなんて……』

『患者さんたちに手をかけるなんて……』

『病気で隠すという罪悪さ——』

「あなたは本当に罪深き存在だ!」

「我々の番組が貴方を処刑する!」

「死刑確定!!!」

おじさんが周元の台詞を真似て、吸血鬼の死体に向かって滑稽な正義感を叫んだ。

そのあと、吸血鬼の遺体を左右に跳ね回りながら、空気相手に30連戦もの動きを見せた。

「ふんふんはーい」

「必殺技——」

「一撃超人!!!」

「ああ、やめてくれ!」

「アレ?不可能だよ——」

……。

小方から周元まで全員が驚愕の表情に。

配信中の視聴者たちは暫く言葉を失った。

「お前は頭がおかしいのか?」

「我々は今放送中だぞ!」

「舞台劇だとでも思ったのか!?」

魔法少女小方さえ怒りを露わにする。

プロとしてのポーズを忘れて罵倒した。

「すみません、ついでに——」おじさんは頭をかいた。

すると配信画面は即座に炎上した。

小方は顔が青ざめながらもすぐに何かを思いついた。

「本日の『吸血鬼を殺した』放送終了!ご覧いただきありがとうございました!」

「愛してるよー」

魔法少女小方はスカートをひらりと回し、深々とお辞儀をする。

可愛さ全開——

視聴者たちはあの馬鹿おじさんをすっかり忘れていた。

小方の愛に包まれていた。

「小方板載!」

「小方最高!!」

「小方干バ爹!!!」

……。

一回目の放送が終わった。

全員が安堵する。

「大丈夫ですか?」

周元は女の子のベッドそばで膝をついた。

麻酔が解けた女の子はようやく話せるようになった。

死ぬ寸前だった彼女は感謝の言葉を述べる。

「私は大丈夫です——」

「ありがとうございます!救ってくださいました!」

「本当にありがとうございました!」

「私の夢が叶いました!!」

「皆様が私のアイドルです!」

感動で言葉に詰まる女の子。

「三笠、小方、銀時——」

「本当に好きです!!」

「どういたしまして、無事でよかったですね。

」小方はプロの笑顔を浮かべながらも本心から満足していた。

助けることで得られる満足感。

「ははは、どういたしまして!我々は人類救済が目的です——」周元も笑った。

「泣いてないね、すごく勇敢だね!」

阿梓も喜んでいた。

おじさんが頭をかく。

自分はただのツッコミ役だったのに——

何か違和感がある!

この子はおじさんに対して感謝していないじゃないか!!

「おい!娘ちゃん!貴方はまだ私を忘れてるのかい?」

「漏れちゃったよ!」

大叔の『存在感0大法』が無意識に発動したのか?

「そうだ、あのコスプレは誰だっけ?」

「青スーツのコナン君ですか?」

女の子が首を傾げる。

「でもコナン君は小学生ですよね?」

女の子は眉をひそめた。

すると女の子の顔色が変わった——

「おじさん!年頃なのにコスプレしてどうすんだよ!?」

「誰かに見つかるから帰ってちゃんと働けよ!」

おじさんが涙目になる。

「おい、娘ちゃん!貴方はなぜ私だけを責めるのかい?」

「そうだ、貴方こそ——」

「娘ちゃんは同じアニメの話をしてるのに私のコスプレが分からないんだぜ?」

「貴方は意図的に隠してるんじゃないのか?」

「私は毛利小五郎だよ!」

「ああ、あの泥棒刑事ね?」

「貴方はアニメを見たことあるのかい?」

……。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結保証】科学で興す異世界国家 ~理不尽に死んだ技術者が、「石炭」と「ジャガイモ」で最強を証明する。優秀な兄たちが膝を折るまでの建国譚~

Lihito
ファンタジー
正しいデータを揃えた。論理も完璧だった。 それでも、組織の理不尽には勝てなかった。 ——そして、使い潰されて死んだ。 目を覚ますとそこは、十年後に魔王軍による滅亡が確定している異世界。 強国の第三王子として転生した彼に与えられたのは、 因果をねじ曲げる有限の力——「運命点」だけ。 武力と経済を握る兄たちの陰で、継承権最下位。後ろ盾も発言力もない。 だが、邪魔する上司も腐った組織もない。 今度こそ証明する。科学と運命点を武器に、俺のやり方が正しいことを。 石炭と化学による国力強化。 情報と大義名分を積み重ねた対外戦略。 準備を重ね、機が熟した瞬間に運命点で押し切る。 これは、理不尽に敗れた科学者が、選択と代償を重ねる中で、 「正しさ」だけでは国は守れないと知りながら、 滅びの未来を書き換えようとする建国譚。

【運命鑑定】で拾った訳あり美少女たち、SSS級に覚醒させたら俺への好感度がカンスト!? ~追放軍師、最強パーティ(全員嫁候補)と甘々ライフ~

月城 友麻
ファンタジー
『お前みたいな無能、最初から要らなかった』 恋人に裏切られ、仲間に陥れられ、家族に見捨てられた。 戦闘力ゼロの鑑定士レオンは、ある日全てを失った――――。 だが、絶望の底で覚醒したのは――未来が視える神スキル【運命鑑定】 導かれるまま向かった路地裏で出会ったのは、世界に見捨てられた四人の少女たち。 「……あんたも、どうせ私を利用するんでしょ」 「誰も本当の私なんて見てくれない」 「私の力は……人を傷つけるだけ」 「ボクは、誰かの『商品』なんかじゃない」 傷だらけで、誰にも才能を認められず、絶望していた彼女たち。 しかしレオンの【運命鑑定】は見抜いていた。 ――彼女たちの潜在能力は、全員SSS級。 「君たちを、大陸最強にプロデュースする」 「「「「……はぁ!?」」」」 落ちこぼれ軍師と、訳あり美少女たちの逆転劇が始まる。 俺を捨てた奴らが土下座してきても――もう遅い。 ◆爽快ざまぁ×美少女育成×成り上がりファンタジー、ここに開幕!

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

過労死した俺、異世界で最強農業チートに目覚める。神農具で荒野を楽園に変えたら、エルフや獣人が集まって最高の国ができました

黒崎隼人
ファンタジー
「君、死んじゃったから、異世界で国、作らない?」 ブラック企業で過労死した俺、相川大地。 女神様から授かったのは、一振りで大地を耕し、一瞬で作物を育てる**最強の『神農具』**だった!? 右も左もわからない荒野でのサバイバル。 だけど、腹ペコのエルフ美少女を助け、頼れるドワーフ、元気な猫耳娘、モフモフ神狼が仲間になって、開拓生活は一気に賑やかに! 美味しいご飯とチート農具で、荒野はあっという間に**「奇跡の村」**へ。 これは、ただの農民志望だった俺が、最高の仲間たちと世界を救い、種族の壁を越えた理想の国『アグリトピア』を築き上げる物語。 農業は、世界を救う! さあ、今日も元気に、畑、耕しますか!

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

「雑草係」と追放された俺、スキル『草むしり』でドラゴンも魔王も引っこ抜く~極めた園芸スキルは、世界樹すら苗木扱いする神の力でした~

eringi
ファンタジー
「たかが雑草を抜くだけのスキルなんて、勇者パーティには不要だ!」 王立アカデミーを首席で卒業したものの、発現したスキルが『草むしり』だった少年・ノエル。 彼は幼馴染の勇者に見下され、パーティから追放されてしまう。 失意のノエルは、人里離れた「魔の森」で静かに暮らすことを決意する。 しかし彼は知らなかった。彼のスキル『草むしり』は、対象を「不要な雑草」と認識すれば、たとえドラゴンであろうと古代兵器であろうと、根こそぎ引っこ抜いて消滅させる即死チートだったのだ。 「あれ? この森の雑草、ずいぶん頑丈だな(ドラゴンを引っこ抜きながら)」 ノエルが庭の手入れをするだけで、Sランク魔物が次々と「除草」され、やがて森は伝説の聖域へと生まれ変わっていく。 その実力に惹かれ、森の精霊(美女)や、亡国の女騎士、魔王の娘までもが彼の「庭」に集まり、いつしかハーレム状態に。 一方、ノエルを追放した勇者たちは、ダンジョンの茨や毒草の処理ができずに進行不能となり、さらにはノエルが密かに「除草」していた強力な魔物たちに囲まれ、絶望の淵に立たされていた。 「ノエル! 戻ってきてくれ!」 「いや、いま家庭菜園が忙しいんで」 これは、ただ庭いじりをしているだけの少年が、無自覚に世界最強に至る物語。

転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする

ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。 リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。 これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

処理中です...