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第2章
君の香り
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※GLが苦手な方は、この話と次の話は回避でお願い致します。
◆◆◆
「・・・・可愛いってどうすれば作れますの。」
部屋で、鏡と睨めっこをしますわ。零れるため息。キツめのつり目。きゅっと引き締まった赤い唇。気の強そうな眉に悪役宜しくなドリルヘアー。ーはぁ。私・・・・可愛いとは、程遠い存在だと痛感しましてよ。笑えば女の子は可愛いっていいますわよね?笑うと企み顔だなんて・・・・どうしろと!誰ですの!可愛いは作れる!だなんてキャッチーな言葉で私に希望なんて持たせたのは!大体、世のメンズもイケナイのですわ!タレ目でほんわかしてて、笑うと花のような愛らしいさを持つ、庇護欲のそそる【ゆるふわ】がモテるだなんて!ええ!私もそういう子が好きですけれど!
「いっそうさぎの被り物でもして過ごそうかしら。ええ。うさぎ可愛いですもの。可愛いは、正義よ。ピンクのうさぎがいいわね。耳は垂れ耳にするわ。片方に水玉のリボンをつけて・・・・・・」
「なーにブツブツいってんのー?ヴィーちゃん。」
「ひゃっ!フィロス!背後から抱きつくのはあれ程お止めになってと!!」
「うふふー。お風呂上りのヴィーちゃん。いい匂い~。」
「やっ。嗅がないで!息が荒いわ!変態ですの!?」
椅子に座っていた私を、フィロスが背後から抱きしめますわ!どさくさに紛れてやりたい放題!ちょっと!この欠陥ヒロイン!私は貴女の攻略対象じゃなくってよ!!
「私が変態なら、ヴィーちゃんだってそうじゃない。」
口を尖らせ、不服そうに抗議するフィロス。何よその顔。ヒロインなだけあって愛らしいですわ!そんな簡単に可愛いを作れるなんて!悔しいですわ!やはり、フィロスは私の天敵ですわー!!!ムッキーー!!!!
「私が変態ですって?貴女・・・・何を根拠に。」
「ヴィーちゃんだってしょっちゅう嗅いでるじゃない。」
「は?」
「ハンスの匂い。」
「はぁあああぁああ!?」
なっ!?ナニをいってらっしゃらるれれ?わわわ私がははハンスの匂いを嗅いでるだなんて!!この阿呆ヒロインは、ナニお馬鹿な事を口走ってるのかしら!!??慌てて拘束から逃れますわ!私にベタベタしすぎよ!フィロス!
「なななナニを!この完璧淑女なヴィクトリア・アクヤックが殿方の香りを嗅いで愉しむなどという淑女に有るまじき行為を嗜んでいると!?貴女、言っていいことと悪いことがありましてよ!」
「ハンスってなんか、甘い匂いするよね。あれ、コロンでもつけてるのかな?」
「いえ、ハンスは酔いやすいから、そういった類のものは苦手で一切つけませんわ。あれは、ハンスから醸し出されるパルファムですわ。」
「へー。具体的に言うならどんな匂い?」
「そうですわね。フルーティーな青リンゴのような瑞々しさ、それでいて少し甘めで・・・・私、うっとりしてしまいますの。まるで咲きたての薔薇のような香りですわ。」
幼い頃は、あの香りに包まれたくて、ハンスにしょっちゅう飛びついて(飛びかかって?)いたのですけれど。ブルーテスお兄様が、「淑女を目指すなら、異性に抱きつくのはダメだよ。ヴィー。あっ、兄弟に抱きつくのは大丈夫だからね?」っと窘められてから、していませんわ。ハンスに避けられるようになった・・・・というのもありますけれど。
「ハンスの匂い好きなんだねー。」
「ええ。ハンスの香りは私をドキドキさせ、優しく包んでくれるのですわ。」
頬に手を添え、ハンスに想いを馳せますわ。一緒にいると落ち着くのに・・・・ドキドキもしますの。こんな想いを抱いてるのは、私だけなのよね。ハンスは私に興味なんてないもの。・・・・せめて嫌わないで。ハンスを失うくらいなら・・・・私・・・・
「うん。ヴィーちゃんも仲間だねー。」
「は?何のですの?」
「へ・ん・た・いのな・か・ま」
至近距離で、フィロスがクスクスと囁きますわ。
「な!私はハンスだけですわ!変態と違いますわ!」
「私だって、ヴィーちゃんだけだよ。ヴィーの甘ったるい女の子な匂い大好きなのに。」
私の髪に触れたフィロスの指先。細く長い指にくるくると絡め弄びますわ。
「ヴィーちゃんってば本当にハンス一筋だよね。そういうとこも好きなんだけど。やっぱり妬いちゃう。」
振り返り、目があった瞬間・・・・息が詰まりそうに・・・・フィロスの瞳がなぜか黒く澱んでいるように見えて・・・・
「ヴィーちゃん。可愛い。食べちゃいたい。」
今度は正面から抱き締められ、身体が固まる。
「フィロス?ねぇ?貴女、おかしいわ?私は女よ?女の子同士でこんな事。貴女、以前ノーマルだって言ってたじゃない。フィロス?」
混乱する思考。強い力で抱き留められ、振り解けない。
「うん。ノーマルだよ。言ってるじゃない。信じてよ。」
静けさの中、フィロスの口から零れる言葉。
「ねぇ。ヴィーちゃん。お姫様になってよ。・・・・ワタシだけのお姫様に。」
抱き締められた背中越しに、フィロスの震えが伝わる。零れる言葉の端に苦し気な色が・・・・
「・・・・好き。好きだよ。・・・・大好き。」
強められた腕の力。しんと静まり返った部屋。フィロスの呟きが、響いて消えていきましたわ。
◆◆◆
「・・・・可愛いってどうすれば作れますの。」
部屋で、鏡と睨めっこをしますわ。零れるため息。キツめのつり目。きゅっと引き締まった赤い唇。気の強そうな眉に悪役宜しくなドリルヘアー。ーはぁ。私・・・・可愛いとは、程遠い存在だと痛感しましてよ。笑えば女の子は可愛いっていいますわよね?笑うと企み顔だなんて・・・・どうしろと!誰ですの!可愛いは作れる!だなんてキャッチーな言葉で私に希望なんて持たせたのは!大体、世のメンズもイケナイのですわ!タレ目でほんわかしてて、笑うと花のような愛らしいさを持つ、庇護欲のそそる【ゆるふわ】がモテるだなんて!ええ!私もそういう子が好きですけれど!
「いっそうさぎの被り物でもして過ごそうかしら。ええ。うさぎ可愛いですもの。可愛いは、正義よ。ピンクのうさぎがいいわね。耳は垂れ耳にするわ。片方に水玉のリボンをつけて・・・・・・」
「なーにブツブツいってんのー?ヴィーちゃん。」
「ひゃっ!フィロス!背後から抱きつくのはあれ程お止めになってと!!」
「うふふー。お風呂上りのヴィーちゃん。いい匂い~。」
「やっ。嗅がないで!息が荒いわ!変態ですの!?」
椅子に座っていた私を、フィロスが背後から抱きしめますわ!どさくさに紛れてやりたい放題!ちょっと!この欠陥ヒロイン!私は貴女の攻略対象じゃなくってよ!!
「私が変態なら、ヴィーちゃんだってそうじゃない。」
口を尖らせ、不服そうに抗議するフィロス。何よその顔。ヒロインなだけあって愛らしいですわ!そんな簡単に可愛いを作れるなんて!悔しいですわ!やはり、フィロスは私の天敵ですわー!!!ムッキーー!!!!
「私が変態ですって?貴女・・・・何を根拠に。」
「ヴィーちゃんだってしょっちゅう嗅いでるじゃない。」
「は?」
「ハンスの匂い。」
「はぁあああぁああ!?」
なっ!?ナニをいってらっしゃらるれれ?わわわ私がははハンスの匂いを嗅いでるだなんて!!この阿呆ヒロインは、ナニお馬鹿な事を口走ってるのかしら!!??慌てて拘束から逃れますわ!私にベタベタしすぎよ!フィロス!
「なななナニを!この完璧淑女なヴィクトリア・アクヤックが殿方の香りを嗅いで愉しむなどという淑女に有るまじき行為を嗜んでいると!?貴女、言っていいことと悪いことがありましてよ!」
「ハンスってなんか、甘い匂いするよね。あれ、コロンでもつけてるのかな?」
「いえ、ハンスは酔いやすいから、そういった類のものは苦手で一切つけませんわ。あれは、ハンスから醸し出されるパルファムですわ。」
「へー。具体的に言うならどんな匂い?」
「そうですわね。フルーティーな青リンゴのような瑞々しさ、それでいて少し甘めで・・・・私、うっとりしてしまいますの。まるで咲きたての薔薇のような香りですわ。」
幼い頃は、あの香りに包まれたくて、ハンスにしょっちゅう飛びついて(飛びかかって?)いたのですけれど。ブルーテスお兄様が、「淑女を目指すなら、異性に抱きつくのはダメだよ。ヴィー。あっ、兄弟に抱きつくのは大丈夫だからね?」っと窘められてから、していませんわ。ハンスに避けられるようになった・・・・というのもありますけれど。
「ハンスの匂い好きなんだねー。」
「ええ。ハンスの香りは私をドキドキさせ、優しく包んでくれるのですわ。」
頬に手を添え、ハンスに想いを馳せますわ。一緒にいると落ち着くのに・・・・ドキドキもしますの。こんな想いを抱いてるのは、私だけなのよね。ハンスは私に興味なんてないもの。・・・・せめて嫌わないで。ハンスを失うくらいなら・・・・私・・・・
「うん。ヴィーちゃんも仲間だねー。」
「は?何のですの?」
「へ・ん・た・いのな・か・ま」
至近距離で、フィロスがクスクスと囁きますわ。
「な!私はハンスだけですわ!変態と違いますわ!」
「私だって、ヴィーちゃんだけだよ。ヴィーの甘ったるい女の子な匂い大好きなのに。」
私の髪に触れたフィロスの指先。細く長い指にくるくると絡め弄びますわ。
「ヴィーちゃんってば本当にハンス一筋だよね。そういうとこも好きなんだけど。やっぱり妬いちゃう。」
振り返り、目があった瞬間・・・・息が詰まりそうに・・・・フィロスの瞳がなぜか黒く澱んでいるように見えて・・・・
「ヴィーちゃん。可愛い。食べちゃいたい。」
今度は正面から抱き締められ、身体が固まる。
「フィロス?ねぇ?貴女、おかしいわ?私は女よ?女の子同士でこんな事。貴女、以前ノーマルだって言ってたじゃない。フィロス?」
混乱する思考。強い力で抱き留められ、振り解けない。
「うん。ノーマルだよ。言ってるじゃない。信じてよ。」
静けさの中、フィロスの口から零れる言葉。
「ねぇ。ヴィーちゃん。お姫様になってよ。・・・・ワタシだけのお姫様に。」
抱き締められた背中越しに、フィロスの震えが伝わる。零れる言葉の端に苦し気な色が・・・・
「・・・・好き。好きだよ。・・・・大好き。」
強められた腕の力。しんと静まり返った部屋。フィロスの呟きが、響いて消えていきましたわ。
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