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気付かないお誘い
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「これが今回分の食材だよ」
「ありがとうございます!」
ログさんから荷物を受け取る。
「なんかバタバタしてるみたいだね」
「そうなんですよね……」
「黒騎士団にはずっと世話になってるからさ。俺に出来ることはなんでもやるよ!」
「ありがとうございます!」
「はは、お嬢さんもすっかり黒騎士団の一員だなぁ」
そう見えるのかな!ふふ、嬉しいな……。
ログさんにお礼を言い別れたところでヴェルストリアくんが来てくれた。
「サキさん、食材届きましたか?」
「うん!今受け取ったところだよ」
「今日はいつもより少ないですね」
「最近人数が少ないから……」
食堂に来てくれる人たちもいるが、流石に三十人分は多いかと思って食材を減らして貰った。
台車で重い荷物を運び、一部ヴェルストリアくんに持ってもらって食堂へ運ぶ。
今日の夕食は余ってる食材使い切ろうかな。
「また皆食べに来てくれたら嬉しいな」
「そうですね。あ、サキさんはこの後どうしますか?」
「北館のほうの掃除に行こうかなって」
「じゃあ途中まで一緒に行きましょう」
他愛もない話をしている時間もとても楽しい。
隣を歩くヴェルストリアくんの腕がチラッと目に入る。夏になり半袖のシャツを着ているのだが、皆流石というか、筋肉が凄いのだ。
ヴェルストリアくんも服を着ていると分からなかったが、綺麗な筋肉が付いていて白めの肌も相まって芸術品のように美しい。
「……もう少し肉付きが良い方が良かったですか?」
見てたのバレてる!
「ち、違くて、その……カッコいいなって思って」
「!……ありがとうございます。僕はなかなか肉が付きにくい体質ですから、どうしようもないんですけどね」
「もし太っても痩せても私はヴェルストリアくんのこと好きだけど、今のヴェルストリアくんは充分過ぎるくらいとっても素敵だよ」
「サキさん……」
ヴェルストリアくんは嬉しそうに微笑む。
「サキさんのこの白くて美しい手も素敵です。本当は誰にも見せて欲しくない」
「っ……」
彼の指が私の腕をなぞる。
その時、不意に人が通りがかって過剰に反応して離れてしまった。
「あ、ヴェルストリア!お前の分の荷物受け取っておいたから!」
「はい!ありがとうございます」
ヴェルストリアくんは私を隠すように立ち、すぐに返事をしてまたこちらを向いた。
「すみません、驚きました?」
「ちょっと……だけ」
「僕たちが付き合ってることはまだ秘密ですから、バレないようにしないとですね」
少し意地悪な笑みで言う。
「部屋の中だったらもっと近くに居れるのに」
「!」
「キスもまた出来ますよ……?」
初めてのキスを思い出す。勿論嬉しかったけど、いざ改めてすると思うと恥ずかしくて……。真っ赤になって首を横にぶんぶん振ってしまう。
「この前、サキさんの部屋に入れてくれた時は良かったんですか?」
「あ、あの時は風邪ひいたら良くないと思って焦ってたの……」
ヴェルストリアくんは私との距離をグッと詰める。
「ね、サキさん……」
口元を私の耳に近づけてそっと言う。
「僕の部屋に来ますか?」
ヴェルストリアくんの部屋……。
「行きたい!」
「えっ」
「どんな感じか凄く気になる!」
「いえ……そういう意味では……」
なんでか急に戸惑う様子で「今日はやめましょう」と取り消されてしまった。
お部屋見たかった……。
ヴェルストリアくんは私の頭をそっと撫で、困った表情で笑う。
「今日はサキさんの勝ちですね」
「?」
「じゃあまた夕方に」
「う、うん」
呆気に取られながら手を振って見送る。
なんか勝っちゃった…。
ふと先程のヴェルストリアくんの言葉を思い出した。
『キスもまた出来ますよ……?』
「あわわ、だめだめ!」
慌ててかき消すように手を振る。
ヴェルストリアくん、なんか…時々雰囲気が変わってちょっと意地悪になる気がする。紳士的で優しいだけじゃない、彼の裏の顔……?
もしかしたら私は彼の意外なところを引き出してしまったのかもしれない。
それを体感するのはまた後の事である。
「ありがとうございます!」
ログさんから荷物を受け取る。
「なんかバタバタしてるみたいだね」
「そうなんですよね……」
「黒騎士団にはずっと世話になってるからさ。俺に出来ることはなんでもやるよ!」
「ありがとうございます!」
「はは、お嬢さんもすっかり黒騎士団の一員だなぁ」
そう見えるのかな!ふふ、嬉しいな……。
ログさんにお礼を言い別れたところでヴェルストリアくんが来てくれた。
「サキさん、食材届きましたか?」
「うん!今受け取ったところだよ」
「今日はいつもより少ないですね」
「最近人数が少ないから……」
食堂に来てくれる人たちもいるが、流石に三十人分は多いかと思って食材を減らして貰った。
台車で重い荷物を運び、一部ヴェルストリアくんに持ってもらって食堂へ運ぶ。
今日の夕食は余ってる食材使い切ろうかな。
「また皆食べに来てくれたら嬉しいな」
「そうですね。あ、サキさんはこの後どうしますか?」
「北館のほうの掃除に行こうかなって」
「じゃあ途中まで一緒に行きましょう」
他愛もない話をしている時間もとても楽しい。
隣を歩くヴェルストリアくんの腕がチラッと目に入る。夏になり半袖のシャツを着ているのだが、皆流石というか、筋肉が凄いのだ。
ヴェルストリアくんも服を着ていると分からなかったが、綺麗な筋肉が付いていて白めの肌も相まって芸術品のように美しい。
「……もう少し肉付きが良い方が良かったですか?」
見てたのバレてる!
「ち、違くて、その……カッコいいなって思って」
「!……ありがとうございます。僕はなかなか肉が付きにくい体質ですから、どうしようもないんですけどね」
「もし太っても痩せても私はヴェルストリアくんのこと好きだけど、今のヴェルストリアくんは充分過ぎるくらいとっても素敵だよ」
「サキさん……」
ヴェルストリアくんは嬉しそうに微笑む。
「サキさんのこの白くて美しい手も素敵です。本当は誰にも見せて欲しくない」
「っ……」
彼の指が私の腕をなぞる。
その時、不意に人が通りがかって過剰に反応して離れてしまった。
「あ、ヴェルストリア!お前の分の荷物受け取っておいたから!」
「はい!ありがとうございます」
ヴェルストリアくんは私を隠すように立ち、すぐに返事をしてまたこちらを向いた。
「すみません、驚きました?」
「ちょっと……だけ」
「僕たちが付き合ってることはまだ秘密ですから、バレないようにしないとですね」
少し意地悪な笑みで言う。
「部屋の中だったらもっと近くに居れるのに」
「!」
「キスもまた出来ますよ……?」
初めてのキスを思い出す。勿論嬉しかったけど、いざ改めてすると思うと恥ずかしくて……。真っ赤になって首を横にぶんぶん振ってしまう。
「この前、サキさんの部屋に入れてくれた時は良かったんですか?」
「あ、あの時は風邪ひいたら良くないと思って焦ってたの……」
ヴェルストリアくんは私との距離をグッと詰める。
「ね、サキさん……」
口元を私の耳に近づけてそっと言う。
「僕の部屋に来ますか?」
ヴェルストリアくんの部屋……。
「行きたい!」
「えっ」
「どんな感じか凄く気になる!」
「いえ……そういう意味では……」
なんでか急に戸惑う様子で「今日はやめましょう」と取り消されてしまった。
お部屋見たかった……。
ヴェルストリアくんは私の頭をそっと撫で、困った表情で笑う。
「今日はサキさんの勝ちですね」
「?」
「じゃあまた夕方に」
「う、うん」
呆気に取られながら手を振って見送る。
なんか勝っちゃった…。
ふと先程のヴェルストリアくんの言葉を思い出した。
『キスもまた出来ますよ……?』
「あわわ、だめだめ!」
慌ててかき消すように手を振る。
ヴェルストリアくん、なんか…時々雰囲気が変わってちょっと意地悪になる気がする。紳士的で優しいだけじゃない、彼の裏の顔……?
もしかしたら私は彼の意外なところを引き出してしまったのかもしれない。
それを体感するのはまた後の事である。
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