7 / 13
いざ、魔王討伐!・・・したいのですが。~その1~
しおりを挟む
一行が王都の門を潜ったのは、王都に辿り着いてから三日が過ぎてからの事であった。
それまでは、城下で過ごし安宿で難を凌いだのだった。
「して、そなた達が此処に訪れた理由は、魔王の動きについて。と申したな?」
「え、えぇ。そうです王様。」
「ふふ、王などと・・・止せ。余はまだ王ではない。」
「で、でも・・・。」
「先代が亡くなり、まだ日も浅い。余が王としての戴冠式も終えておらん事もある。」
漸く、会えた一国の王は先刻亡くなり、その息子である『ロダージャ』が国を纏めていた。
彼は、若干16にして国を治める立場となったのだ。
かつて、自分がそだった世界で、16にして一国を治めるなどあっただろうか。
否、ある訳がない。
年老いた政治家が、老後の資金目当てに築き上げた地位にしがみ付き
国会では足を引っ張り合う事しかしない連中の巣窟だ。
だが、あまつさえ
その政治に違和感を覚えず、「間違っている」と思っても
「どうせ変わらない」と匙を投げて来た俺だ。
16歳の君子を目前に、おいそれと言葉は出てこなかった。
「しかし、諸君が言う魔王の活発化も既に一報は入っていてな。方々に騎士団を派遣し
魔王軍による侵攻を防いでいる状態だ。」
「ですよね・・・。」
「・・・だが、困ったことがあってな。」
「・・・。」
「そう訝しむでない、想像の通りだ。」
「というと・・・?」
「魔王を倒す者を探している。」
「そうなりますよねぇ・・・。」
いやに爽やかな笑顔の青年は、俺を見ているのではなく
俺の後ろに座する精霊たちに視線が向いていた。
無理もない。
何処に行っても、四大精霊を3人も連れ歩く一般人など居ないのだから。
「そなた・・・余程、神に愛されているようだな。」
「そうなんですかねぇ・・・。」
「人は、幸運の中にある時、それに甘んじて胡坐をかくものだ。・・・だが
そなたからはそれを感じないな。」
「・・・ははは、褒められてるのかな・・・。」
「・・・人は、幸運の中に合っても不幸を嘆く生き物だ。」
ロダージャの最後のセリフは、俺の無意識に深く刺さる。
かつての俺がそうだった。
・・・・・。
生活に不満がある訳じゃない。
仕事も一応は真面目にこなしていた。
給料も、実家暮らしで最低限の出費で抑えていたし
友人とも程よくガス抜きをしていた。
何不自由ない生活だった。
だが、俺はどこか不満で、なぜかイラついて生きていた。
出勤の電車で、どこぞのサラリーマンは俯き、暗い顔を晒す。
同じ、電車でも学生は我が物顔でしゃべっているのに。
仕事終わり、駅へ進む中
手をつないで歩くカップル。カフェで優雅に時間を潰すフリーランス。
学校終わりに遊び歩く学生。
目に映る者すべてが、自分より優れている様に見えた。
だが、そんな思いも、この世界に来てからは感じていない。
「で、亮殿。魔王征伐を頼めるであろうか?」
「え?・・・はい?」
「このまま捨て置く訳にもいかん。」
「そ、そうですねぇ・・・。」
「やってくれるか。そうか!」
「は、はははは。」
何が悲しくて、一回り近くも年下の青年にへつらっているのか・・・。
現状のいびつさに気付き、笑うしかなかった。
「魔王征伐に必要な準備は、我が王都で全面的に協力しよう。何かあれば言ってくれ給え。」
「・・・はあ。で、では自分たちは一度下がらせて頂きます。」
「うむ。」
城下町の安宿に戻った一行は、夜の空の許
準備を進めるのであった・・・。
それまでは、城下で過ごし安宿で難を凌いだのだった。
「して、そなた達が此処に訪れた理由は、魔王の動きについて。と申したな?」
「え、えぇ。そうです王様。」
「ふふ、王などと・・・止せ。余はまだ王ではない。」
「で、でも・・・。」
「先代が亡くなり、まだ日も浅い。余が王としての戴冠式も終えておらん事もある。」
漸く、会えた一国の王は先刻亡くなり、その息子である『ロダージャ』が国を纏めていた。
彼は、若干16にして国を治める立場となったのだ。
かつて、自分がそだった世界で、16にして一国を治めるなどあっただろうか。
否、ある訳がない。
年老いた政治家が、老後の資金目当てに築き上げた地位にしがみ付き
国会では足を引っ張り合う事しかしない連中の巣窟だ。
だが、あまつさえ
その政治に違和感を覚えず、「間違っている」と思っても
「どうせ変わらない」と匙を投げて来た俺だ。
16歳の君子を目前に、おいそれと言葉は出てこなかった。
「しかし、諸君が言う魔王の活発化も既に一報は入っていてな。方々に騎士団を派遣し
魔王軍による侵攻を防いでいる状態だ。」
「ですよね・・・。」
「・・・だが、困ったことがあってな。」
「・・・。」
「そう訝しむでない、想像の通りだ。」
「というと・・・?」
「魔王を倒す者を探している。」
「そうなりますよねぇ・・・。」
いやに爽やかな笑顔の青年は、俺を見ているのではなく
俺の後ろに座する精霊たちに視線が向いていた。
無理もない。
何処に行っても、四大精霊を3人も連れ歩く一般人など居ないのだから。
「そなた・・・余程、神に愛されているようだな。」
「そうなんですかねぇ・・・。」
「人は、幸運の中にある時、それに甘んじて胡坐をかくものだ。・・・だが
そなたからはそれを感じないな。」
「・・・ははは、褒められてるのかな・・・。」
「・・・人は、幸運の中に合っても不幸を嘆く生き物だ。」
ロダージャの最後のセリフは、俺の無意識に深く刺さる。
かつての俺がそうだった。
・・・・・。
生活に不満がある訳じゃない。
仕事も一応は真面目にこなしていた。
給料も、実家暮らしで最低限の出費で抑えていたし
友人とも程よくガス抜きをしていた。
何不自由ない生活だった。
だが、俺はどこか不満で、なぜかイラついて生きていた。
出勤の電車で、どこぞのサラリーマンは俯き、暗い顔を晒す。
同じ、電車でも学生は我が物顔でしゃべっているのに。
仕事終わり、駅へ進む中
手をつないで歩くカップル。カフェで優雅に時間を潰すフリーランス。
学校終わりに遊び歩く学生。
目に映る者すべてが、自分より優れている様に見えた。
だが、そんな思いも、この世界に来てからは感じていない。
「で、亮殿。魔王征伐を頼めるであろうか?」
「え?・・・はい?」
「このまま捨て置く訳にもいかん。」
「そ、そうですねぇ・・・。」
「やってくれるか。そうか!」
「は、はははは。」
何が悲しくて、一回り近くも年下の青年にへつらっているのか・・・。
現状のいびつさに気付き、笑うしかなかった。
「魔王征伐に必要な準備は、我が王都で全面的に協力しよう。何かあれば言ってくれ給え。」
「・・・はあ。で、では自分たちは一度下がらせて頂きます。」
「うむ。」
城下町の安宿に戻った一行は、夜の空の許
準備を進めるのであった・・・。
0
あなたにおすすめの小説
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
腹違いの妹にすべてを奪われた薄幸の令嬢が、義理の母に殴られた瞬間、前世のインテリヤクザなおっさんがぶちギレた場合。
灯乃
ファンタジー
十二歳のときに母が病で亡くなった途端、父は後妻と一歳年下の妹を新たな『家族』として迎え入れた。
彼らの築く『家族』の輪から弾き出されたアニエスは、ある日義母の私室に呼び出され――。
タイトル通りのおっさんコメディーです。
異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?
来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。
そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった!
亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。
「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」
「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」
おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。
現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。
お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、
美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる