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いざ、魔王討伐!・・・したいのですが。~その5~
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傷を癒す事、一週間。
この、滅ぼされた村の殺風景さにも慣れが出て来た頃
ある事に気が付いた。
「・・・少ないな・・・。」
「え?何が?」
「あぁ、いや・・・独り言だよ。」
「そこ、誤魔化す所かねぇ~。オッチャン気になるよぉ。」
「・・・オーガ(などの)の襲撃だよ。」
「それは・・・滅ぼされた村だしね。」
「だとしても、普通に考えて、滅ぼした場に誰も残さないってのは・・・。」
「確かに、不自然ではあるけど・・・村なんかに用はないのだろう。」
「・・・。」
『後続の部隊が来ないのはなぜだ・・・。』
「若造、その考えは間違っていないぞ。」
「ぅえ?」
「儂には、人の考えが読める。年寄りの一つの知恵じゃ・・・。」
「で、では・・・やはり、何かあったと考えるべきですかね?」
「じゃろうなぁ・・・。」
土の精霊と名乗る老人は、杖の頭を撫でつつ会話を続けた。
「魔王軍で何か動きがあったのか。はたまた、こんな村など気に出来る余裕がないほど
前線が張り詰めた物となったか・・・。どちらにせよ、喜ばしい事ではないのぉ。」
もし、その意見が正しいものであれば・・・そう考えた時、背筋に冷や水が走った。
「急がないと・・・。」
「しかし、若造。傷はどうなのじゃ。」
「元々、打撲痕ってだけですし痛みなども、もうありません。」
「ほう・・・。」
そうして、その二日後に村を出発した一行は、ある事実を目の当たりにする。
その後、たどり着いた町も、集落も
攻め滅ぼされてはいたものの、魔物一匹の姿も見当たらなかったのだ。
「・・・どういう事だ・・・。」
「お?どうしたよ?リョウ。」
「おかしいと思わないのか?カスール。」
「何が?」
「魔物が一匹も見当たらないなんて・・・。」
「それが?」
「いや、普通・・・兵法うんぬんは詳しくないが、攻め落とした場所は
中継地点として後続が居ても可笑しくない。それなのに・・・。」
「魔物が居ない・・・。と?」
「それどころか、奥に進むにつれて・・・。」
疑問に思った事、それは
魔王城に近づくにつれ、攻め滅ぼされた場の劣化が激しく
攻撃を受けてから時間が経っている様に思えたのだ。
「・・・どういう事だ・・・。」
この状況から察するに、魔王の活発化はだいぶ前から始まっていた事になる。
少なくとも、俺がこの世界に来る前から・・・。
であるならば、なぜ、最初の集落でわざわざ、魔王が「最近」活発化した事になったのか。
説明がつかない。
しかし、ある物の発見により、俺の考えはある仮説を立てた。
「リョーウ!」
「ん?どうした。ディオラ。」
「あっちで、変な物見つけたよ?リョウが履いてる靴と良く似てるの。」
「俺の・・・?」
俺が履いていたのは、革靴だ。
仕事帰りのスーツのまま死んだ俺が、スニーカーなど履いている訳もなく。
しかし、この世界には、革靴という概念はある。
故に、俺の靴を見ても変とは思わないだろうと思っていたが
どうやら、その色・形が特殊な為、革靴だとは認識されていなかったようだ。
「・・・確かに。革靴だ・・・。」
「でしょ?」
「それも、この形状を見るに男物だな・・・。」
「ほう。」
「しかも、この劣化具合・・・。だいぶ昔のだな。」
そのセリフを言い切った時、俺はある事を思い出した。
「・・・!、そうだ。ディオラ!」
「うい?」
「お前、俺と初めて会った時。言ってたな。俺と似たように旅人が迷い込んでくるって。」
「そ、そうだねぇ。でも珍しい事じゃ・・・って、痛い痛い。」
「あ、すまん。その旅人は帰っていく奴もいれば、此処で亡くなる奴も居るって。」
「そうだよ。この世界に馴染んで行くっていうのかねぇ。」
「この世界!?って事は別の世界があるってのか!」
「げ、現にリョウも来てるじゃないか。別の所からぁ。」
「そ、それは・・・。」
ぐうの音も出なくなったところで、俺はその仮説へと行き届いたのだ。
だが、その説には大きな謎があるのだ。
俺は、それをこれから確かめねばならないようだ。
「とにかく、魔王の所へ急ごう。」
そうして、一行は
跡地となってしまった集落を後に、足早に進むのであった。
そして、たどり着く魔王城。
魔王城とは名ばかりで、普通の西洋に良くある古城であった。
「ここに魔王が・・・。」
「急ぐぞ。リョウ。」
「おう。」
門を開け、荒れた中庭を抜け玄関を超える。
冷たい廊下を歩くと、足元から冷気が抜ける。
「外から見るより遥かに陰気な所だな・・・。」
「広そうだなぁ~。オジサン迷子になるよ・・・。」
「おい、扉とか多すぎるぞ。どうするんだ。リョウ」
「手分けしよう。」
10分後、玄関のホールで落ち合う事にした一行は
城の中を散策することになった。
だが、10分を待たずして魔王は発見される。
「・・・貴様、何者だ。」
「アンタが、魔王?」
「いかにも、其方は・・・人か。」
「あぁ、そうだ。遠い村からアンタの噂を聞いてやってきた。」
「・・・そうか。」
薄暗い部屋の中央にカーテンを引き、奥の様子を覗かせまいとする魔王。
だが、その声は弱弱しいものであった。
「近隣の村や町は、アンタの軍のせいで滅茶苦茶だ。」
「フフフ。『愚かな人間』よ。」
「ん?」
「我が最盛期であれば、軍の跳ねっ返りなどどうにでも出来た。」
「・・・。」
「人間よ、今の我をどう捉える?その様な力が遺されている様に思うか?」
「ならなぜ、遠い村までアンタの名前が轟く?」
「異な事よのぉ・・・。」
「・・・まさか・・・台頭が居るのか!」
「もはや、我の知る所ではない。だが、少しは大局が見えるようだな、人間。」
「あ、いたいた。リョーウ。」
「ディオラ。」
「ここは?」
「魔王の部屋だ。」
「ほうほう、陰気な空気がムンムンだのぉ~。」
「ッフ、水霊如きが良く言うわ。実に恐ろしきはその小娘よなぁ。人間。」
「褒められているのか、貶されているのか・・・。」
「一つ、教えよう人間。その水霊は信用に値しない。」
「・・・どういう事だ。」
「その水霊、封印は誰が施したと思う?我ではない。人の手によって。だ」
「・・・それが・・・。何だ。」
「まぁ、いずれ分かるだろう。賢しい人間であれば・・・な。」
「そ、そこまで言っておいて・・・卑怯だぞ!」
「おや?そうか?人間。我から見るに其方、既に答えの一端を掴んでいるとみたが・・・。」
「何を根拠に!」
「直ぐに我に止めを刺さない事よ。ハハハハハ。」
「・・・くそぉ。」
一同が介した時、魔王の衰弱具合に誰もが驚き、開いた口が塞がらなかった。
そして、ある一つの結論が出る。
「魔王軍を動かしているのは別の者である。・・・か。」
「でも、それだけの力があるという事だろう?その台頭にも。」
「それが怖いよねぇ~。」
だが、俺は全く新たな疑問を胸に、この件を報告しに王都へ歩を進めていた。
この、滅ぼされた村の殺風景さにも慣れが出て来た頃
ある事に気が付いた。
「・・・少ないな・・・。」
「え?何が?」
「あぁ、いや・・・独り言だよ。」
「そこ、誤魔化す所かねぇ~。オッチャン気になるよぉ。」
「・・・オーガ(などの)の襲撃だよ。」
「それは・・・滅ぼされた村だしね。」
「だとしても、普通に考えて、滅ぼした場に誰も残さないってのは・・・。」
「確かに、不自然ではあるけど・・・村なんかに用はないのだろう。」
「・・・。」
『後続の部隊が来ないのはなぜだ・・・。』
「若造、その考えは間違っていないぞ。」
「ぅえ?」
「儂には、人の考えが読める。年寄りの一つの知恵じゃ・・・。」
「で、では・・・やはり、何かあったと考えるべきですかね?」
「じゃろうなぁ・・・。」
土の精霊と名乗る老人は、杖の頭を撫でつつ会話を続けた。
「魔王軍で何か動きがあったのか。はたまた、こんな村など気に出来る余裕がないほど
前線が張り詰めた物となったか・・・。どちらにせよ、喜ばしい事ではないのぉ。」
もし、その意見が正しいものであれば・・・そう考えた時、背筋に冷や水が走った。
「急がないと・・・。」
「しかし、若造。傷はどうなのじゃ。」
「元々、打撲痕ってだけですし痛みなども、もうありません。」
「ほう・・・。」
そうして、その二日後に村を出発した一行は、ある事実を目の当たりにする。
その後、たどり着いた町も、集落も
攻め滅ぼされてはいたものの、魔物一匹の姿も見当たらなかったのだ。
「・・・どういう事だ・・・。」
「お?どうしたよ?リョウ。」
「おかしいと思わないのか?カスール。」
「何が?」
「魔物が一匹も見当たらないなんて・・・。」
「それが?」
「いや、普通・・・兵法うんぬんは詳しくないが、攻め落とした場所は
中継地点として後続が居ても可笑しくない。それなのに・・・。」
「魔物が居ない・・・。と?」
「それどころか、奥に進むにつれて・・・。」
疑問に思った事、それは
魔王城に近づくにつれ、攻め滅ぼされた場の劣化が激しく
攻撃を受けてから時間が経っている様に思えたのだ。
「・・・どういう事だ・・・。」
この状況から察するに、魔王の活発化はだいぶ前から始まっていた事になる。
少なくとも、俺がこの世界に来る前から・・・。
であるならば、なぜ、最初の集落でわざわざ、魔王が「最近」活発化した事になったのか。
説明がつかない。
しかし、ある物の発見により、俺の考えはある仮説を立てた。
「リョーウ!」
「ん?どうした。ディオラ。」
「あっちで、変な物見つけたよ?リョウが履いてる靴と良く似てるの。」
「俺の・・・?」
俺が履いていたのは、革靴だ。
仕事帰りのスーツのまま死んだ俺が、スニーカーなど履いている訳もなく。
しかし、この世界には、革靴という概念はある。
故に、俺の靴を見ても変とは思わないだろうと思っていたが
どうやら、その色・形が特殊な為、革靴だとは認識されていなかったようだ。
「・・・確かに。革靴だ・・・。」
「でしょ?」
「それも、この形状を見るに男物だな・・・。」
「ほう。」
「しかも、この劣化具合・・・。だいぶ昔のだな。」
そのセリフを言い切った時、俺はある事を思い出した。
「・・・!、そうだ。ディオラ!」
「うい?」
「お前、俺と初めて会った時。言ってたな。俺と似たように旅人が迷い込んでくるって。」
「そ、そうだねぇ。でも珍しい事じゃ・・・って、痛い痛い。」
「あ、すまん。その旅人は帰っていく奴もいれば、此処で亡くなる奴も居るって。」
「そうだよ。この世界に馴染んで行くっていうのかねぇ。」
「この世界!?って事は別の世界があるってのか!」
「げ、現にリョウも来てるじゃないか。別の所からぁ。」
「そ、それは・・・。」
ぐうの音も出なくなったところで、俺はその仮説へと行き届いたのだ。
だが、その説には大きな謎があるのだ。
俺は、それをこれから確かめねばならないようだ。
「とにかく、魔王の所へ急ごう。」
そうして、一行は
跡地となってしまった集落を後に、足早に進むのであった。
そして、たどり着く魔王城。
魔王城とは名ばかりで、普通の西洋に良くある古城であった。
「ここに魔王が・・・。」
「急ぐぞ。リョウ。」
「おう。」
門を開け、荒れた中庭を抜け玄関を超える。
冷たい廊下を歩くと、足元から冷気が抜ける。
「外から見るより遥かに陰気な所だな・・・。」
「広そうだなぁ~。オジサン迷子になるよ・・・。」
「おい、扉とか多すぎるぞ。どうするんだ。リョウ」
「手分けしよう。」
10分後、玄関のホールで落ち合う事にした一行は
城の中を散策することになった。
だが、10分を待たずして魔王は発見される。
「・・・貴様、何者だ。」
「アンタが、魔王?」
「いかにも、其方は・・・人か。」
「あぁ、そうだ。遠い村からアンタの噂を聞いてやってきた。」
「・・・そうか。」
薄暗い部屋の中央にカーテンを引き、奥の様子を覗かせまいとする魔王。
だが、その声は弱弱しいものであった。
「近隣の村や町は、アンタの軍のせいで滅茶苦茶だ。」
「フフフ。『愚かな人間』よ。」
「ん?」
「我が最盛期であれば、軍の跳ねっ返りなどどうにでも出来た。」
「・・・。」
「人間よ、今の我をどう捉える?その様な力が遺されている様に思うか?」
「ならなぜ、遠い村までアンタの名前が轟く?」
「異な事よのぉ・・・。」
「・・・まさか・・・台頭が居るのか!」
「もはや、我の知る所ではない。だが、少しは大局が見えるようだな、人間。」
「あ、いたいた。リョーウ。」
「ディオラ。」
「ここは?」
「魔王の部屋だ。」
「ほうほう、陰気な空気がムンムンだのぉ~。」
「ッフ、水霊如きが良く言うわ。実に恐ろしきはその小娘よなぁ。人間。」
「褒められているのか、貶されているのか・・・。」
「一つ、教えよう人間。その水霊は信用に値しない。」
「・・・どういう事だ。」
「その水霊、封印は誰が施したと思う?我ではない。人の手によって。だ」
「・・・それが・・・。何だ。」
「まぁ、いずれ分かるだろう。賢しい人間であれば・・・な。」
「そ、そこまで言っておいて・・・卑怯だぞ!」
「おや?そうか?人間。我から見るに其方、既に答えの一端を掴んでいるとみたが・・・。」
「何を根拠に!」
「直ぐに我に止めを刺さない事よ。ハハハハハ。」
「・・・くそぉ。」
一同が介した時、魔王の衰弱具合に誰もが驚き、開いた口が塞がらなかった。
そして、ある一つの結論が出る。
「魔王軍を動かしているのは別の者である。・・・か。」
「でも、それだけの力があるという事だろう?その台頭にも。」
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