20 / 98
廻・葬儀業者「島さん」の話。
消える遺影 1
しおりを挟む
今回の話は第一弾「骸行進」より、再登場の「島さん」の話だ。
彼との関わりは、そちらを参照願いたい。
そして、この話は近年「彼」から相談を受けた話である・・・。
島さんは、ある初老の男性から「ある怪奇現象」について相談を受けた。
その初老の男性は「藤井(仮名)さん」。
数日前、長年連れ添った妻を病で亡くし、葬儀を請け負った顧客だったそうだ。
葬儀の最中、藤井さんは気丈に振る舞っていたそうだが
相談を受けた電話の向こう側で、覇気の無いか細い声で「お願いします、聞いてください。」と
助けを求めて来たという。
藤井さんは言う。
「家内の遺影が・・・消えたんです!
家にはもう、私しか残っていない。だから、誰も弄る事なんて無いのに。」
自宅へ伺い、話を聞いた島さんは
頭を抱えながら話す彼の言葉が良く理解できなかったそうだ。
「でも・・・藤井さん。
此処にちゃんと奥様のお写真・・・あるじゃないですか?
ご自身で探されて、見つかったんでしょう?落ち込まないで下さい。」
「違う!・・・・・違うんだよ!アンタは何も分かっちゃいないのか!
写真を見ても!・・・何も!
もう良い。出て行ってくれ!さっさと出て行ってくれ!」
藤井さんは、涙を流しながら怯え
理解されない苛立ちから島さんを強引に追い出したという。
それから数日、風の噂で藤井さんが精神科に通っている事を聞いたのだそうだ。
気にしていなかった訳ではない。
伴侶を失い、気が動転していたのだろう。
それによって、何か重大なダメージを負っていたとしても不思議ではない。
ここで、島さんから私へ連絡が入った。
そもそも、遺影が消えるという現象。
普通に考えれば、仏壇の手入れなどで無意識の内に移動させていた。
などの言い訳はいくらでもできる。
それを踏まえた上でも、一回や二回程度であれば「気落ち」と言っても良かっただろう。
しかし、大の大人が騒ぎ立てる程「何度も消えていた」としたら?
初老という事も有る。
そして、私は仕事柄「老人」をよく見ている。
ほんの些細な出来事が「認知症」を悪化させる事も有る。
妻を失ったショックは「認知症」の扉を開くに充分な理由である。
だが・・・。
それであれば「遺影だけ」なのが不思議でならない。
これを異常と考えた私は、島さんと共に藤井さんに会いに行く事を提案した。
今回は完全なプライベート訪問である。
互いに予定を調整した上で、島さんから藤井さんへ話を通した事で
この面会は叶った。
しかし・・・。
我々はこの面会で気付かされる事となる。
「自分達が、大きな勘違いをしていた」事に・・・。
彼との関わりは、そちらを参照願いたい。
そして、この話は近年「彼」から相談を受けた話である・・・。
島さんは、ある初老の男性から「ある怪奇現象」について相談を受けた。
その初老の男性は「藤井(仮名)さん」。
数日前、長年連れ添った妻を病で亡くし、葬儀を請け負った顧客だったそうだ。
葬儀の最中、藤井さんは気丈に振る舞っていたそうだが
相談を受けた電話の向こう側で、覇気の無いか細い声で「お願いします、聞いてください。」と
助けを求めて来たという。
藤井さんは言う。
「家内の遺影が・・・消えたんです!
家にはもう、私しか残っていない。だから、誰も弄る事なんて無いのに。」
自宅へ伺い、話を聞いた島さんは
頭を抱えながら話す彼の言葉が良く理解できなかったそうだ。
「でも・・・藤井さん。
此処にちゃんと奥様のお写真・・・あるじゃないですか?
ご自身で探されて、見つかったんでしょう?落ち込まないで下さい。」
「違う!・・・・・違うんだよ!アンタは何も分かっちゃいないのか!
写真を見ても!・・・何も!
もう良い。出て行ってくれ!さっさと出て行ってくれ!」
藤井さんは、涙を流しながら怯え
理解されない苛立ちから島さんを強引に追い出したという。
それから数日、風の噂で藤井さんが精神科に通っている事を聞いたのだそうだ。
気にしていなかった訳ではない。
伴侶を失い、気が動転していたのだろう。
それによって、何か重大なダメージを負っていたとしても不思議ではない。
ここで、島さんから私へ連絡が入った。
そもそも、遺影が消えるという現象。
普通に考えれば、仏壇の手入れなどで無意識の内に移動させていた。
などの言い訳はいくらでもできる。
それを踏まえた上でも、一回や二回程度であれば「気落ち」と言っても良かっただろう。
しかし、大の大人が騒ぎ立てる程「何度も消えていた」としたら?
初老という事も有る。
そして、私は仕事柄「老人」をよく見ている。
ほんの些細な出来事が「認知症」を悪化させる事も有る。
妻を失ったショックは「認知症」の扉を開くに充分な理由である。
だが・・・。
それであれば「遺影だけ」なのが不思議でならない。
これを異常と考えた私は、島さんと共に藤井さんに会いに行く事を提案した。
今回は完全なプライベート訪問である。
互いに予定を調整した上で、島さんから藤井さんへ話を通した事で
この面会は叶った。
しかし・・・。
我々はこの面会で気付かされる事となる。
「自分達が、大きな勘違いをしていた」事に・・・。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】大量焼死体遺棄事件まとめサイト/裏サイド
まみ夜
ホラー
ここは、2008年2月09日朝に報道された、全国十ケ所総数六十体以上の「大量焼死体遺棄事件」のまとめサイトです。
事件の上澄みでしかない、ニュース報道とネット情報が序章であり終章。
一年以上も前に、偶然「写本」のネット検索から、オカルトな事件に巻き込まれた女性のブログ。
その家族が、彼女を探すことで、日常を踏み越える恐怖を、誰かに相談したかったブログまでが第一章。
そして、事件の、悪意の裏側が第二章です。
ホラーもミステリーと同じで、ラストがないと評価しづらいため、短編集でない長編はweb掲載には向かないジャンルです。
そのため、第一章にて、表向きのラストを用意しました。
第二章では、その裏側が明らかになり、予想を裏切れれば、とも思いますので、お付き合いください。
表紙イラストは、lllust ACより、乾大和様の「お嬢さん」を使用させていただいております。
霊和怪異譚 野花と野薔薇
野花マリオ
ホラー
その“語り”が始まったとき、世界に異変が芽吹く。
静かな町、ふとした日常、どこにでもあるはずの風景に咲きはじめる、奇妙な花々――。
『霊和怪異譚 野花と野薔薇』は、不思議な力を持つ語り部・八木楓と鐘技友紀以下彼女達が語る怪異を描く、短編連作形式の怪異譚シリーズ。
一話ごとに異なる舞台、異なる登場人物、異なる恐怖。それでも、語りが始まるたび、必ず“何か”が咲く――。
語られる怪談はただの物語ではない。
それを「聞いた者」に忍び寄る異変、染みわたる不安。
やがて読者自身の身にも、“あの花”が咲くかもしれない。
日常にひっそりと紛れ込む、静かで妖しいホラー。
あなたも一席、語りを聞いてみませんか?
完結いたしました。
タイトル変更しました。
旧 彼女の怪異談は不思議な野花を咲かせる
※この物語はフィクションです。実在する人物、企業、団体、名称などは一切関係ありません。
エブリスタにも公開してますがアルファポリス の方がボリュームあります。
表紙イラストは生成AI
【電子書籍化】ホラー短編集・ある怖い話の記録~旧 2ch 洒落にならない怖い話風 現代ホラー~
榊シロ
ホラー
【1~4話で完結する、語り口調の短編ホラー集】
ジャパニーズホラー、じわ怖、身近にありそうな怖い話など。
八尺様 や リアルなど、2chの 傑作ホラー の雰囲気を目指しています。現在 150話 越え。
===
エブリスタ・小説家になろう・カクヨムに同時掲載中
【総文字数 800,000字 超え 文庫本 約8冊分 のボリュームです】
【怖さレベル】
★☆☆ 微ホラー・ほんのり程度
★★☆ ふつうに怖い話
★★★ 旧2ch 洒落怖くらいの話
※8/2 Kindleにて電子書籍化しました
『9/27 名称変更→旧:ある雑誌記者の記録』
それなりに怖い話。
只野誠
ホラー
これは創作です。
実際に起きた出来事はございません。創作です。事実ではございません。創作です創作です創作です。
本当に、実際に起きた話ではございません。
なので、安心して読むことができます。
オムニバス形式なので、どの章から読んでも問題ありません。
不定期に章を追加していきます。
2026/1/17:『えれべーたー』の章を追加。2026/1/24の朝8時頃より公開開始予定。
2026/1/16:『せきゆすとーぶ』の章を追加。2026/1/23の朝4時頃より公開開始予定。
2026/1/15:『しばふ』の章を追加。2026/1/22の朝4時頃より公開開始予定。
2026/1/14:『でんしれんじ』の章を追加。2026/1/21の朝4時頃より公開開始予定。
2026/1/13:『こえ』の章を追加。2026/1/20の朝4時頃より公開開始予定。
2026/1/12:『あけてはいけない』の章を追加。2026/1/19の朝4時頃より公開開始予定。
2026/1/11:『みきさー』の章を追加。2026/1/18の朝4時頃より公開開始予定。
※こちらの作品は、小説家になろう、カクヨム、アルファポリスで同時に掲載しています。
【完結】百怪
アンミン
ホラー
【PV数100万突破】
第9回ネット小説大賞、一次選考通過、
第11回ネット小説大賞、一次選考通過、
マンガBANG×エイベックス・ピクチャーズ
第一回WEB小説大賞一次選考通過作品です。
百物語系のお話。
怖くない話の短編がメインです。
幻・骸行進
メカ
ホラー
「骸行進」シリーズ・・・第四弾。
四・・・4・・・死・・・。
鬱陶しい位に長く・・・我ら「骸行進ファミリーズ」による
恐ろしい体験談。
この先、何処まで続くかは不明だが、最後まで御憑き合い願いたい・・・。
百物語 厄災
嵐山ノキ
ホラー
怪談の百物語です。一話一話は長くありませんのでお好きなときにお読みください。渾身の仕掛けも盛り込んでおり、最後まで読むと驚くべき何かが提示されます。
小説家になろう、エブリスタにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる