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廻・タクシードライバー「藤原さん」の話。
二人組
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その日、夕方6時を回った頃だった。
藤原さんは、ある二人組の男をタクシーに乗せた。
目的地を言う男は片言の日本語で、バックミラーに映る男たちは
どうやら中国系の外国人だったようだ。
『うわぁ・・・。ヤダなぁ。また当たっちゃったよ。』
藤原さんは、内心ぼやいた。
彼の仕事柄、外国人がお客としてタクシーに乗り込む事は多い。
だが、その中でも「一番、客として乗せたくない外国人」は
断トツで「中国人」だという。
「横柄な人が多いんだよ。
近道ですって説明した上で道を変更したのにクレーム入れる人も居るし
時間が短縮できたのが分かると、もっと短縮できたはずだ。とか無茶言うし
車内に平気でゴミを捨てていく。
昔から、お客様は神様だ~とかって言うけどさ
彼等はやってもらって当たり前の人種だろ?当たり前が普通になる神様ってどんな神様だよって。」
ドライバー仲間には、それでも上手くやっていて
むしろ中国人はいいぞ。と推す声もあるそうだが・・・。
藤原さんの性格上、そういう相手は神経が磨り減るから嫌なのだそうだ。
目的地に出発して少し経った頃。
彼は不思議に思った。
『この乗客達、妙に静かだな。』
大概、日本人でも外国人でも二人以上となれば、それなりに会話がある。
その言葉が理解できる物かは別として、表情で大体の感情は察しが付く。
しかし、客の二人組は前を真っ直ぐ見据えたまま微動だにしない。
それが、妙に恐ろしかった。
それから約5分。
長い沈黙の後、一人の男が口を開く。
短い中国語だ。
意味は分からない。
だが、もっと分からないのは
もう片方の相手が「無反応」だった事だ。
『え、今のって会話の切り出しじゃないのか?俺に話しかけて来たのか?』
そんな思考が余計に彼を混乱させた。
冷や冷やしながら乗客を目的地に下ろすと
先ほど何かを囁いた男が一言述べた。
「ドライバーサン、カエリ・・・キヲツケテネ。」
その一言に、我慢していた感情が、汗となって噴き出した。
『何だ?何を言ってるんだ、この人は。一体何に気を付けろと・・・。」
それ以降の仕事も、漠然とした不安に襲われたまま続けた。
数日後
偶々、休憩が重なった中国語に詳しいドライバー仲間に尋ねた。
「○○って中国語でどういう意味なんです?」
「ん?どうしたの?急に。」
「いやぁ、数日前にのっけた中国人が呟いてたもんで。」
「へぇ~・・・。」
ドライバー仲間は相槌以降、口を開こうとしない。
「・・・あの・・・?」
「『見えてるんでしょ?』って意味だよ。」
「え?」
一瞬時が止まった。
「何かの会話の時にふっと母国語が出ちゃったんじゃないの?」
昼食を終えたドライバー仲間はそう笑いながら席を後にした。
一体、何の事だったのだろうか・・・。
とにかく「中国人」だけはもう御免だ。
彼はそう話をまとめた・・・。
藤原さんは、ある二人組の男をタクシーに乗せた。
目的地を言う男は片言の日本語で、バックミラーに映る男たちは
どうやら中国系の外国人だったようだ。
『うわぁ・・・。ヤダなぁ。また当たっちゃったよ。』
藤原さんは、内心ぼやいた。
彼の仕事柄、外国人がお客としてタクシーに乗り込む事は多い。
だが、その中でも「一番、客として乗せたくない外国人」は
断トツで「中国人」だという。
「横柄な人が多いんだよ。
近道ですって説明した上で道を変更したのにクレーム入れる人も居るし
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彼等はやってもらって当たり前の人種だろ?当たり前が普通になる神様ってどんな神様だよって。」
ドライバー仲間には、それでも上手くやっていて
むしろ中国人はいいぞ。と推す声もあるそうだが・・・。
藤原さんの性格上、そういう相手は神経が磨り減るから嫌なのだそうだ。
目的地に出発して少し経った頃。
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『この乗客達、妙に静かだな。』
大概、日本人でも外国人でも二人以上となれば、それなりに会話がある。
その言葉が理解できる物かは別として、表情で大体の感情は察しが付く。
しかし、客の二人組は前を真っ直ぐ見据えたまま微動だにしない。
それが、妙に恐ろしかった。
それから約5分。
長い沈黙の後、一人の男が口を開く。
短い中国語だ。
意味は分からない。
だが、もっと分からないのは
もう片方の相手が「無反応」だった事だ。
『え、今のって会話の切り出しじゃないのか?俺に話しかけて来たのか?』
そんな思考が余計に彼を混乱させた。
冷や冷やしながら乗客を目的地に下ろすと
先ほど何かを囁いた男が一言述べた。
「ドライバーサン、カエリ・・・キヲツケテネ。」
その一言に、我慢していた感情が、汗となって噴き出した。
『何だ?何を言ってるんだ、この人は。一体何に気を付けろと・・・。」
それ以降の仕事も、漠然とした不安に襲われたまま続けた。
数日後
偶々、休憩が重なった中国語に詳しいドライバー仲間に尋ねた。
「○○って中国語でどういう意味なんです?」
「ん?どうしたの?急に。」
「いやぁ、数日前にのっけた中国人が呟いてたもんで。」
「へぇ~・・・。」
ドライバー仲間は相槌以降、口を開こうとしない。
「・・・あの・・・?」
「『見えてるんでしょ?』って意味だよ。」
「え?」
一瞬時が止まった。
「何かの会話の時にふっと母国語が出ちゃったんじゃないの?」
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とにかく「中国人」だけはもう御免だ。
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