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砦
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「・・・遅い。虹色の奴、何してるんだ。」
「もしかして、失敗して捕まったとか・・・?」
「バカ言え、小島。あいつはタダじゃ転ばない。何を考えてるか、俺ですら解らないんだから。」
正春たち一行は、時間稼ぎに出た虹色と合流する為、例のコンビニに篭っていた。
校内放送を聞き、憤慨する者たちを宇宙船へと誘導し、虹色が助けを求める最後の砦として残ったのである。
「そ、そういえば正春君。君らはやけに親しいじゃないか?前からの知り合いなのかい?」
「え?あ、あぁそうだ。」
「付き合いはどれ位になるの?」
「・・・そうだな・・・。」
正直、覚えてはいなかった。俺の家庭は裕福ではない物のごく普通の一般家庭だった。
ノアの居住区の一角。そこに身寄りのない子供を育てている孤児院があった。
俺の家はその孤児院と近く、休みの日になると決まって近所の子と孤児院の子がごっちゃになって
そこら辺の空き地で遊びまわっていた。
虹色はその孤児院の子供だったのだ。
初めて見た時は、不思議と親近感の湧く雰囲気ではあった。
だが、如何せんアイツの性格は昔から寡黙で頑固で最初こそ喧嘩ばかりであった。
いや・・・喧嘩にすらなっていなかった。俺が一方的に文句をいっていただけで
アイツは俺の言葉なんて右から左だ。
今思えば、アイツはあの時から俺より遥かに大人びた性格だったんだろう。
親も居ない・兄弟も居ない。全ての決断は自分の責任。
そんな中、大人にならない方が可笑しい。
でも、俺はそれが気に入らなかった。子供らしくないアイツを見る度
自分の惨めさを知る事になる。
ロクな環境で育っていないくせに。と嫉妬する自分が疎ましかっただけなんだ。
月日が流れ、俺もある程度思考が成熟した時
そこで初めて、隣に立てた気がした。
考えている事は分からないが、その結果について納得もできるし共感も出来るようになった。
共に働くようになり、珍しくアイツから連絡が来た。
用件は、孤児院の養母から送られてきたという一枚の写真だ。
そこには、二人の赤ん坊の姿が映されていた。
養母の話によると、虹色はある日施設の前に捨てられていたのだという。そして、その写真が
唯一添えられていた手がかりなのだ。と
その話を聞いた虹色は、孤児院の出身者に兄弟が居るのでは?と考えたようで
俺に、関わりのあった出身者について何か知らないか?と訪ねて来たのだ。
結果だけいえば、その兄弟探しは早々に頓挫した。
写真を見る限り双子の様にも見えるが、そうであれば何故片割れだけ棄てられたのか。
そもそも、その証拠を残す意味も解らない。
そして、写真以上の情報が得られなかった事。
そうして、何年も経ってしまったのだ。
「へぇ~、リーダーって意外と苦労人だったんだぁ?あ、でも、人相に出てる節あるよねぇ?ウケる。」
「木島さん、失礼でしょ!」
「とかいって、恵ちゃんちょっと噴き出してたじゃん。」
「いや、まぁ。意外と木島さんのいう事は的を得てると思う・・・。」
「志村君まで!」
「あ、いやアイツ。何時も仏頂面だから・・・誤解されやすいんだよ。」
「・・・確かに・・・。」
その直後、コンビニの中では嬌声が響いた。
まるで、今までの鬱憤を晴らすかのような大きな笑い声の数々。
それは、今の虹色に届く事は無い・・・。
「もしかして、失敗して捕まったとか・・・?」
「バカ言え、小島。あいつはタダじゃ転ばない。何を考えてるか、俺ですら解らないんだから。」
正春たち一行は、時間稼ぎに出た虹色と合流する為、例のコンビニに篭っていた。
校内放送を聞き、憤慨する者たちを宇宙船へと誘導し、虹色が助けを求める最後の砦として残ったのである。
「そ、そういえば正春君。君らはやけに親しいじゃないか?前からの知り合いなのかい?」
「え?あ、あぁそうだ。」
「付き合いはどれ位になるの?」
「・・・そうだな・・・。」
正直、覚えてはいなかった。俺の家庭は裕福ではない物のごく普通の一般家庭だった。
ノアの居住区の一角。そこに身寄りのない子供を育てている孤児院があった。
俺の家はその孤児院と近く、休みの日になると決まって近所の子と孤児院の子がごっちゃになって
そこら辺の空き地で遊びまわっていた。
虹色はその孤児院の子供だったのだ。
初めて見た時は、不思議と親近感の湧く雰囲気ではあった。
だが、如何せんアイツの性格は昔から寡黙で頑固で最初こそ喧嘩ばかりであった。
いや・・・喧嘩にすらなっていなかった。俺が一方的に文句をいっていただけで
アイツは俺の言葉なんて右から左だ。
今思えば、アイツはあの時から俺より遥かに大人びた性格だったんだろう。
親も居ない・兄弟も居ない。全ての決断は自分の責任。
そんな中、大人にならない方が可笑しい。
でも、俺はそれが気に入らなかった。子供らしくないアイツを見る度
自分の惨めさを知る事になる。
ロクな環境で育っていないくせに。と嫉妬する自分が疎ましかっただけなんだ。
月日が流れ、俺もある程度思考が成熟した時
そこで初めて、隣に立てた気がした。
考えている事は分からないが、その結果について納得もできるし共感も出来るようになった。
共に働くようになり、珍しくアイツから連絡が来た。
用件は、孤児院の養母から送られてきたという一枚の写真だ。
そこには、二人の赤ん坊の姿が映されていた。
養母の話によると、虹色はある日施設の前に捨てられていたのだという。そして、その写真が
唯一添えられていた手がかりなのだ。と
その話を聞いた虹色は、孤児院の出身者に兄弟が居るのでは?と考えたようで
俺に、関わりのあった出身者について何か知らないか?と訪ねて来たのだ。
結果だけいえば、その兄弟探しは早々に頓挫した。
写真を見る限り双子の様にも見えるが、そうであれば何故片割れだけ棄てられたのか。
そもそも、その証拠を残す意味も解らない。
そして、写真以上の情報が得られなかった事。
そうして、何年も経ってしまったのだ。
「へぇ~、リーダーって意外と苦労人だったんだぁ?あ、でも、人相に出てる節あるよねぇ?ウケる。」
「木島さん、失礼でしょ!」
「とかいって、恵ちゃんちょっと噴き出してたじゃん。」
「いや、まぁ。意外と木島さんのいう事は的を得てると思う・・・。」
「志村君まで!」
「あ、いやアイツ。何時も仏頂面だから・・・誤解されやすいんだよ。」
「・・・確かに・・・。」
その直後、コンビニの中では嬌声が響いた。
まるで、今までの鬱憤を晴らすかのような大きな笑い声の数々。
それは、今の虹色に届く事は無い・・・。
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