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葬儀業者「島さん(仮名)」の話。
桜のある家 終
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後日、島さんが自宅を訪ねた際
庭に植えてあった一本の木が目に入った。
人間大にまで成長した桜の木だったという。
その木に近づいた瞬間、後悔の念に苛まれ、涙が溢れて来たという。
程なくして、長男が出てきてリビングまで通されたという。
「島さん。でしたよね?先日はどうも・・・。」
「いえ、こちらこそお手間を取らせてしまい申し訳ありません。」
挨拶も程ほどに本題に入ろうとした時
長男からある事を聞かれたそうだ。
「葬儀の件、父から連絡があったそうですね?」
「え?えぇ。そうですが・・・。」
「・・・変だな。」
「え?」
「・・・実は五年前に、親父は亡くなってるんです。」
「はい?」
「母と離婚した直後に・・・。」
「ど、どういう事ですか?」
この一家は、珍しく
妻が外に仕事に出て、夫が専業主夫をしていたそうだ。
それが、五年前に妻の浮気が発覚。
離婚騒動に発展した後、自殺を図ったという。
しかし、島さん自身は「夫」と会っている為
納得できなかったという。
「こ、この間だって息子さんの前で・・・3人でお話しましたよね?」
「・・・。」
息子曰く
この家には、もう兄弟3人しか住んでおらず
あの日は偶々、仕事を半休にし帰って来たのだという。
玄関を入るとスーツ姿の男が家に上がり込んでおり驚いていたのだという。
「通報」の一文字が脳裏を過ったそうだが
そのスーツの男は葬儀屋を名乗り、亡くなった父が二階に上がって下りってこないというのだ。
もし、ソレが本当であれば
親父を語ったもう一人の誰かが居る事になる。
それを確認するために、二階に上がったのだという。
「自称葬儀屋」も、逃げる為に口から出まかせを言ったのだろうと思い
一階に戻れば逃げているだろうと下りてきたが
その男は律儀にもずっと待っていた。
此処で初めて、本物の葬儀屋なのだと悟ったという。
改めて話を聞く為に、リビングへと招いたそうだが
その男はずっと、誰も座っていない席へ向かい、熱心に書類を開き説明を行っていたのだという。
その男こそ「島さん」だ。
息子からみれば、島さんこそが精神異常者の様に映る事だろう。
だが、息子にはある事が思い当たる節があったという
それが、庭に植えてある桜の木だ。
アレは、自身の高校入学を期に父が庭に植えた物だ。
昔から父は桜が好きだった。
桜の花が咲く時期に、受験を乗り切った事を思い出し初心に帰ってほしい。と
父が植えた物だ。
そして、彼の「思い当たる節」それは
「父が亡くなってから、葬儀が出来ていなかった」事だという。
父の死後、発覚した「浮気調査」名目の探偵費
そして、裁判費用
其処に、自身や兄弟の学費
さらには、兄弟3人の当面の生活費
先々の事を見越すと葬儀に当てられるだけの金額は捻出できなかったのだという。
そして、最後に息子が語った事実。それが
「あの桜の木の下に、父が眠っているんです・・・。」
全ての話を聞き終えた後、島さんは桜の木の根元に手を合わせ
その家を後にしたという。
庭に植えてあった一本の木が目に入った。
人間大にまで成長した桜の木だったという。
その木に近づいた瞬間、後悔の念に苛まれ、涙が溢れて来たという。
程なくして、長男が出てきてリビングまで通されたという。
「島さん。でしたよね?先日はどうも・・・。」
「いえ、こちらこそお手間を取らせてしまい申し訳ありません。」
挨拶も程ほどに本題に入ろうとした時
長男からある事を聞かれたそうだ。
「葬儀の件、父から連絡があったそうですね?」
「え?えぇ。そうですが・・・。」
「・・・変だな。」
「え?」
「・・・実は五年前に、親父は亡くなってるんです。」
「はい?」
「母と離婚した直後に・・・。」
「ど、どういう事ですか?」
この一家は、珍しく
妻が外に仕事に出て、夫が専業主夫をしていたそうだ。
それが、五年前に妻の浮気が発覚。
離婚騒動に発展した後、自殺を図ったという。
しかし、島さん自身は「夫」と会っている為
納得できなかったという。
「こ、この間だって息子さんの前で・・・3人でお話しましたよね?」
「・・・。」
息子曰く
この家には、もう兄弟3人しか住んでおらず
あの日は偶々、仕事を半休にし帰って来たのだという。
玄関を入るとスーツ姿の男が家に上がり込んでおり驚いていたのだという。
「通報」の一文字が脳裏を過ったそうだが
そのスーツの男は葬儀屋を名乗り、亡くなった父が二階に上がって下りってこないというのだ。
もし、ソレが本当であれば
親父を語ったもう一人の誰かが居る事になる。
それを確認するために、二階に上がったのだという。
「自称葬儀屋」も、逃げる為に口から出まかせを言ったのだろうと思い
一階に戻れば逃げているだろうと下りてきたが
その男は律儀にもずっと待っていた。
此処で初めて、本物の葬儀屋なのだと悟ったという。
改めて話を聞く為に、リビングへと招いたそうだが
その男はずっと、誰も座っていない席へ向かい、熱心に書類を開き説明を行っていたのだという。
その男こそ「島さん」だ。
息子からみれば、島さんこそが精神異常者の様に映る事だろう。
だが、息子にはある事が思い当たる節があったという
それが、庭に植えてある桜の木だ。
アレは、自身の高校入学を期に父が庭に植えた物だ。
昔から父は桜が好きだった。
桜の花が咲く時期に、受験を乗り切った事を思い出し初心に帰ってほしい。と
父が植えた物だ。
そして、彼の「思い当たる節」それは
「父が亡くなってから、葬儀が出来ていなかった」事だという。
父の死後、発覚した「浮気調査」名目の探偵費
そして、裁判費用
其処に、自身や兄弟の学費
さらには、兄弟3人の当面の生活費
先々の事を見越すと葬儀に当てられるだけの金額は捻出できなかったのだという。
そして、最後に息子が語った事実。それが
「あの桜の木の下に、父が眠っているんです・・・。」
全ての話を聞き終えた後、島さんは桜の木の根元に手を合わせ
その家を後にしたという。
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