骸行進

メカ

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警官の友人「荻野(仮名)」の話

消えた詐欺師

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数年前の話だ。
警官である私の友人「荻野」が担当したとある事件。
その事件の犯人と目される詐欺師が消えた。・・・いや正確には・・・。

始まりは、1件の相談だった。
40代後半のスーツ姿の男が、窓口にやってきたという。
これが「被害者Aさん」だ。

彼の話によると
結婚相談所にて、婚活をしていたそうだ。
そこで、紹介された女性と話を進める事になったそうだ。
最初こそ、流れはいい方向へ向いていた。
しかし、結果からいえば彼は300万もの大金をだまし取られた。という。

ここで察しの良い方はお気付きだろう。
なぜ、あえて「被害者Aさん」と呼称したのか・・・。
そうです、被害者は他にも居たのです。

後日、「被害者Aさん」以外に、3名の男性が被害の名乗りを上げた。

被害者たちの証言により
同じ結婚相談所を使っていた事や犯人の人相が浮き彫りとなった。

だが・・・。
犯人は、4人の男性に合わせ、性格や外見・名前などを少しずつ変えていた様で
最初こそ、聞き取りには手間がかかったそうだ。

警官たちは、その犯人を
結婚相談所にて登録されていた「実里(みのり)」という名前で呼んでいたという。

地道な捜査を続け、漸く調べ上げた「実里」の住まい。
それを暴くだけでも、2ヶ月はかかったそうだ。
その後、警官たちは24時間体制での張り込みに移ったという。

当然、目に見える逃走経路などは警官の張り込みによって潰れている。
裏口や窓といった物は、封鎖されているも同然だ。

そして・・・
張り込みから4日目の事だ。
「実里」が自宅へ姿を見せたというのだ。

張り込んでいた荻野達警官一行は、姿を確認した時が一番緊張するそうだ。
張り込みがバレていないか?犯人の視線や挙動は不自然ではないか?
一挙手一投足、気が抜けない。

だが「実里」にはそんな素振りは見えなかった。
自宅へ入った姿を確認し、5分後
突入の号令が入る。

インターホンを鳴らすが「実里」は出てこない。
ドアノブに手を伸ばすが、鍵が掛かっている。
・・・ここに来て陳腐な抵抗など無意味ではある。

警官の一人が、大家を連れて戻って来た。

「な、何なんですか!?一体!」

「此処に住んでいる女性。彼女には詐欺の容疑が掛かっています。鍵を開けて貰ってもいいですか?」

「か、鍵を開けるのは構いませんけど・・・この部屋、誰も使ってませんよ?」

その一言に、警官たちは驚いた。
無理もないだろう、自分たちの目で人間が部屋に入っていくのを確認しているのだ。
それが「使っていない」の一言で済んでは溜まらない。

・・・だが
大家の言う通り
その部屋には、誰も居なかったという。
人は愚か、家具の一つも・・・。

後の調査で分かった事だが
その部屋は、当時から数えて3年前まで女性が住んでいたそうだ。
だが、闇金との金銭トラブルの末、自殺した。
その金銭トラブルの最中、借りた金額を返す為に
その女性が結婚詐欺まがいの手法で金銭を手に入れていた事が発覚したのだ。

結婚詐欺師は消えた・・・。
そう思い、被害にあった男性たちは泣き寝入りするしかなかったそうだ。
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