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視える友人「絢女」の話
行きずりの親子 3
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調査を開始して数日。
私は、一向に「親子」を眼にする事は無かった。
・・・無理もない。
私は「聴こえる人種」であっても「視える人種」ではないのだから。
この時点で気付けば良かった。
寒さを避ける為、車内で時間を潰していた私だが
その時間、本当は外に居て「音なり声なりを探ればよかったのに。」
車内でうたた寝をしていた私の耳に強烈な高音が響いた。
その音で目を覚ました私だが、目を覚ました直後
聴こえていた筈の音は一切せず、車内は静まり返っていた。
「・・・踏切の警報音・・・。」
確かに、あの特徴的な高音が耳元で鳴っていた筈なのだ。
しかし、肝心の踏切はやや遠くにあり、車内で音が聞こえたとしても
気になる程の大きさではない。
にも拘らず、私はまるで真横で踏切を待っているかのように
大きな音を聞いたのだ。
その時刻が、21時57分。
そう・・・「親子」が通る時間帯だ。
だが、それ以降
目立った変化もなく夜が明けた。
私は、ほんの興味本位で周辺を歩いて散策する事にした。
時刻は朝7時。
住宅街だというのに、通りは静かな物だった。
自販機で飲み物を買い、進行方向に迷っていると
ある一人の老人が目に留まった。
齢70は越えているであろう男性だ。
「あのぉ・・・。」
「んぁ?・・・あぁ、すまんね。家じゃ娘が五月蠅くてな。」
その老人は、自宅前と思しき塀の前で煙草を吸っていた。
「昔からここら辺に住まわれてる方ですか?」
「ん?・・・まぁそうだな。40年くらいは経ってると思うが。」
「そこの砂利の駐車場って前は何かあったんですか?」
「いや、小っちゃな果樹園だったぞ。27年くらい前までね。・・・ソレが何か?」
「あそこで何かあった。とか覚えてますか?事故か、事件か・・・。」
「聞いた事ねぇな・・・。」
老人は、奇妙な質問をするこちらを怪しみつつも答えてくれた。
そこで・・・私はある「賭け」に出たのだ。
「昔、ここら辺に住んでた事があったんですが・・・母と兄がこの近くで亡くなってしまって。」
最後の一言を聞いた老人は、目を見開いた。
しかし、老人は黙ったまま煙草を吸い続ける。
私はダメ押しの一言を添えた・・・。
「自分もまだ赤ちゃん位小さな頃で、父に聞いても詳しく教えてくれなくて・・・。
せめて、花を添えに行ければと、ずっと場所を探してるんですよ・・・。」
「お兄ちゃん、悪い事は言わない。辞めた方が良い。そっとしといてやりな・・・。」
「・・・何か知ってるんですか!?」
「確かに、兄ちゃんの言う通りあの駐車場はちょっと曰くがある。
でもな、それだけじゃないんだよ・・・。」
老人は、吹かした煙草を携帯灰皿に収め、続きを語り出した・・・。
私は、一向に「親子」を眼にする事は無かった。
・・・無理もない。
私は「聴こえる人種」であっても「視える人種」ではないのだから。
この時点で気付けば良かった。
寒さを避ける為、車内で時間を潰していた私だが
その時間、本当は外に居て「音なり声なりを探ればよかったのに。」
車内でうたた寝をしていた私の耳に強烈な高音が響いた。
その音で目を覚ました私だが、目を覚ました直後
聴こえていた筈の音は一切せず、車内は静まり返っていた。
「・・・踏切の警報音・・・。」
確かに、あの特徴的な高音が耳元で鳴っていた筈なのだ。
しかし、肝心の踏切はやや遠くにあり、車内で音が聞こえたとしても
気になる程の大きさではない。
にも拘らず、私はまるで真横で踏切を待っているかのように
大きな音を聞いたのだ。
その時刻が、21時57分。
そう・・・「親子」が通る時間帯だ。
だが、それ以降
目立った変化もなく夜が明けた。
私は、ほんの興味本位で周辺を歩いて散策する事にした。
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ある一人の老人が目に留まった。
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「あのぉ・・・。」
「んぁ?・・・あぁ、すまんね。家じゃ娘が五月蠅くてな。」
その老人は、自宅前と思しき塀の前で煙草を吸っていた。
「昔からここら辺に住まわれてる方ですか?」
「ん?・・・まぁそうだな。40年くらいは経ってると思うが。」
「そこの砂利の駐車場って前は何かあったんですか?」
「いや、小っちゃな果樹園だったぞ。27年くらい前までね。・・・ソレが何か?」
「あそこで何かあった。とか覚えてますか?事故か、事件か・・・。」
「聞いた事ねぇな・・・。」
老人は、奇妙な質問をするこちらを怪しみつつも答えてくれた。
そこで・・・私はある「賭け」に出たのだ。
「昔、ここら辺に住んでた事があったんですが・・・母と兄がこの近くで亡くなってしまって。」
最後の一言を聞いた老人は、目を見開いた。
しかし、老人は黙ったまま煙草を吸い続ける。
私はダメ押しの一言を添えた・・・。
「自分もまだ赤ちゃん位小さな頃で、父に聞いても詳しく教えてくれなくて・・・。
せめて、花を添えに行ければと、ずっと場所を探してるんですよ・・・。」
「お兄ちゃん、悪い事は言わない。辞めた方が良い。そっとしといてやりな・・・。」
「・・・何か知ってるんですか!?」
「確かに、兄ちゃんの言う通りあの駐車場はちょっと曰くがある。
でもな、それだけじゃないんだよ・・・。」
老人は、吹かした煙草を携帯灰皿に収め、続きを語り出した・・・。
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