骸行進

メカ

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葬儀業者「島さん(仮名)」の話。

屋根裏の物の怪 3

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それは、まだ清水さんが小学生の低学年だった頃。
ある事がきっかけで、三つ年上の兄が父に怒られ
屋根裏へと放り込まれた時の話だそうだ。

最初こそ、兄は抵抗の意思を見せ大泣きしながら助けを求めていた。
そして、それは次第に激しさを増し
屋根裏で地団駄を踏んだり、暴れまわったりと多くの物音が聞こえていた。

しかし・・・20分程度過ぎた頃だろうか。
屋根裏からの物音はピタッと止まったそうだ。

それでも彼等の父は、許さず
1時間以上は屋根裏に閉じ込められていたそうだ。

灯りもない屋根裏で1時間以上も耐えなければならない恐怖。
子供なら気が狂っても可笑しくないだろう。

屋根裏から解放された兄を見た時、清水さんは心底恐怖したという。

なぜなら・・・号泣し畏怖や反省の色に染まっているハズの兄が
ニヤニヤと笑みを浮べながら戻って来たからだ。

それと同時に、屋根裏を誰かが小走りで通り過ぎていくのだという。

その出来事以降、兄は父と不仲となり
兄や両親も時折、屋根裏で誰かが物音を立てるのを耳にしているのだそうだ。

一時期、野生の動物が侵入しているのか?と話になり
業者を呼んで徹底的に点検を行ったそうだが、動物の侵入形跡は見つからなかった。

その頃からだ。
父にも多少の変化が起きたそうだ。

それまで厳格だった父が、途端に清水さんに対して
接し方がマイルドな物に変わった。
清水さんからすれば、それも気味の悪い変化だったそうだ。
にも拘らず、兄との関係は凍り付いたまま。
顔を合わせれば、数秒間睨み合う様な関係だったという。

兄は高校進学と共に、一人暮らしを始めた。

すると、家庭内は以前の様な引き締まった空気に戻ったそうだが
清水さんは、本能的に
「あぁ、もう以前の家庭ではないのだ。」と察していたそうだ。

なぜなら・・・。

兄が出て行ったタイミングに合わせ、父は定年間近にも関わらず退職。
絵に描いたような「飲んだくれ親父」へと変貌した。

だが、相変わらず教育などには厳しく
母と共に父の顔色を伺う毎日だったそうだ。

そんなある日・・・。

清水さんは、定期テストで一つの赤点を取ってしまう。

「あぁ、また暴力的な境域が始まる。」

そう覚悟していた彼だが
その彼に対し、父は・・・。

「外に出ろ。」その一言だけだった。

呆気に取られた。

何時もなら、烈火の如く怒りだす父。
決まって「屋根裏」を引き合いに脅迫めいた叱責を繰り出す父が
外で立っているだけ。という軽い罰を与えたのだ。

この時、清水さんは悟ってしまった。

「屋根裏には『本当に』何かが居るのだ。」と。

そして、父はソレを「怖がっているのだ。」と・・・。
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