東京が消えたなら。

メカ

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5話目 激震2

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そのニュースは、直ぐに方々へと広まった。

首都直下で起きた「地震」
震度は「6弱」

そのニュースを固唾を飲んで見守るは
千葉県にある新聞社。そこに勤める紗代である。

千葉県にも、「震度5強」という大きな地震が起きた。
幸いにも、ライフラインには影響はなく、上司が慌ててテレビを点け
従業員一同は、報道に釘付けだ。

リモコンを手にした上司が、我に返り騒ぎ始める。

「大変だ・・・!おい、誰かこの記事を書け!急げ!」

その一言に、我先へと皆一様に机に向かった。
ある者は立ち上がり
「俺、現地に取材行ってきます!」
ある者はパソコンを素早く操作し
「見出しとか作っちゃいますね!」

自身の身の安全は、何処吹く風だ。

しかし、この時
現場において最も冷静に物を見ていたのは「紗代」だ。

「ぶ、部長!今記事なんて書いても間に合いませんよ!
それに、これだけ大きな地震ですよ?電車も止まってる!
今から取材なんて・・・。第一、ここも危ないかも知れません!避難を・・・。」

「何言ってんの!そんな悠長な。
君だって一応はジャーナリストの一部だろうに。
こういう時だからこそ、報道に命張らないと全国に伝わらんでしょうが。」

「でも、部長!せめて家族の安否確認の時間位は!」

「君もくどいね。じゃあ、もし仮に此処が病院で
我々が医者だったとしよう。駆け込んでくるケガ人や病人の前で同じ事が言えんの⁉」

「そ、そんな・・・。」

「それと一緒だよ。分かったらさっさと仕事に戻る‼」

結論から言えば、紗代の杞憂は泡沫に消える。
それ以降「何か」が起きる事もなく
都内に起きた電車のストップによる交通制限も
夜半には改善された。

紗代は帰りの電車内で、ネットニュースを見ていた。

相変わらず、地震一色と言っていい見出しだ。
しかも、都心は大規模な停電と断水によって深刻な被害が出ているらしい。
この夏場に・・・。
停電とは、運が無さすぎる。しかも半日以上もソレが続き
明日以降もソレが続く・・・。

考えただけでも、目眩が起きそうな状況だ。

現に、この半日だけでも二桁を越える人々が、体調不良を訴え
病院に運ばれたらしい。
その殆どが、脱水や日射病・熱中症による罹患者だ。

そして、それに因んで
都心部のコンビニやスーパーでは
飲料水や日持ちのするインスタント食品などが飛ぶように売れ
既に品薄状態だというのだ。

しかし、この時はまだ誰も知る由もないだろう。

この「地震」によって引き起こされる
更なる災害と、大きな損失に。

今まさに、災厄の幕が下りてしまった事を。
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