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黒の魔術師は迷惑を被る
「は?何でだ?
大方、備品補充でもしようとして、
箱の中身をぶちまけただけだろう?
風の魔術を使えばそれぐらい
一人で大丈夫じゃないか。」
風の魔術は、
出力を大きくすれば攻撃にもなるが、
小さく絞れば、物を運んだり、
移動させたりと、生活面で役に立つ魔術だ。
この国の人間なら、ほとんど誰でも使える。
先程はそう思い、立ち去ろうと思ったのだが。
「実は、風の魔術の出力が安定しなくて、
何故か毎回、竜巻レベルの風を起こしちゃうんです。
なので、自力で片付けるしかなくて、、」
申し訳なさそうな表情で言う
彼女の言葉が理解出来ず、
思わず怪訝な表情で尋ねる。
「はぁ?あんた、王国魔術師団にいた頃、
光の魔術を使いこなせるくらいの膨大な魔力で、どんな魔法も扱えてたじゃないか!」
ちなみに魔法には、
闇、光、火、水、風の5種類あって、
特に闇と光を扱うには、膨大な魔力を要する。
王国魔術師団に入れるのは、
そんな化け物レベルの魔力をもった奴らばかりだった。
そんな人間に、
生活レベルの魔術が使えないわけないだろう?
という思いを込めて見つめる。
しかし彼女は、眉を下げながら、
申し訳なさそうにこう答える。
「はい。そうですね。
でも私、光の魔術以外はそんなに得意でもなくて、、
特に家事のような、小出力で魔術を使うのが、苦手なんです。」
そんなことがあるか??
しかし、戦場で彼女の作った料理が
あまりにも酷かったことを思い出す。
一度、丸焦げになった肉の塊を供されたこともあったか。
「はぁーーー。」
俺は盛大にため息を吐くと、
風の魔術の呪文を唱えながら
散乱した医療用具に手をかざす。
大きな段ボール箱に、次々と、
用具が仕舞われていく。
「わっ!スゴイ!流石ですね!!」
ハンナはキラキラとした瞳で、
両手を小さくパチパチと叩きながら
俺を見つめる。
俺は、そんな彼女を軽く睨みつけながら尋ねる。
「必要な備品はもう取ってあるのか?!」
「あ、そうでした!」
パチン!と両手を打ち鳴らし
彼女はその中から包帯を3つ手に取る。
それを確認した俺は全ての用具を箱に収めた。
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