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へぇ〜異世界ってマジであるんだ。

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〝やっぱり海里氏とのパーティーは最高ですな〟

〝いやいやいや…私なんか①殿の足元にも及びませぬよ〟

〝①殿、海里氏の活躍のおかげでレアなアイテムも入りホクホク〟

〝〝〝そだねー〟〟〟

〝おっ、そろそろリアルに戻らないと行けなくなりましたのでわたくしめは、これにてアウトします〟

〝〝〝〝おやすみなさいませー海里氏ぃ〟〟〟〟

私はネトゲ仲間とイベントを終え先にログアウトして就寝する。

ーーーーーーーー

R R R R…
「はい〇〇です。お世話になります」

カタカタカタカタカタカタ…
ザワザワ…ガヤガヤ…

コール音とキーボードを叩く音、飛び交う数字を追いかけ、顧客へ提案や相談と騒がしいフロアが私の職場。

「海堂君、A社の企画書、出来てる?」

「海堂さーん‼︎急ぎでB社の提案書作ってくれる?」

「海堂先輩、分からない所があるので教えてください」

「海堂。悪いけど14:00にC商事に一緒に行ってくれないか?」

「「「「ちょっと〇〇さんの海堂さん連れて行かないでぇ」」」」

「仕方ないだろ!C商事の社長がご指名だから」

「「「「え~」」」」

「お前ら海堂に頼りすぎだぞ」

「いやいや偉そうに言ってる〇〇お前も同類だからな?」

「そりゃないよ海堂~」

「しかし海堂さんマジ〝できる女〟で〝男前〟だから、つい頼ってしまう」

「「「わかるー。」」」

「プライベートはナゾに包まれてるし」

「仕事以外の付き合いは一切しない主義だけど嫌味もないから妬む人間も少ないしね」

「いや妬んで嫌味を言う奴が私が天誅を下す‼︎」

1人の若い女子社員が、下細い腕を捲り腕を上げ戦闘ポーズをとる…可愛いなぁ…。

「海堂、お前、職場内外、老若男女にモテるねー口悪いけど。俺の顧客の数人、お前のファンだし」

でな(笑)」

「なぁ、マジな話、結婚とか考えてないの?」

「仕事から、いきなり話飛ぶねぇ…」

「実際どうなんだよ」

「秘密」

「ケチぃ」

「(笑)こんなにクソ忙しい会社にいて恋愛だの結婚だのって考える人のスタミナが羨ましいよ」

「いや…お前みたいに鬼の様に仕事捌く奴いないよ」

正直〝結婚〟ってワード耳が痛い…先日、実家の親とも言い合いになったし。

ーーーー数日前ーーーーー

〝ねぇ世里香せりかあんたもう35よ‼︎良い人いないの?あんたの同級生の〇〇ちゃんだって先日、赤ちゃん産んだし…〟

「また、その話?」

〝お母さん、あんたのことが心配なのよ〟

「いや、母さんが心配なのは私ではなくでしょ!もう良い?切るよ」

〝ちょっ…世里っ〟プツ

「あ''~めんどくさっ!」

私はスマホをベッドに放り投げた。

バブル時代の象徴、3高
・高身長
・高学歴
・高収入

令和に変わった時代では包容力+家事能力を搭載した〝スパダリ〟と呼ばれ、憧れる女はいるだろうが私は、その〝女版〟173㎝の身長に公務員より高い給料…モテるわけねーだろ‼︎

しかし名前だけは漫画に出てきそうな名前で名前負けしてるし。

海堂世里香かいどうせりか(35)に先日なりました。

趣味はネトゲ、時々、恋しくなると乙ゲーを少々。
後、アニメに聖地巡礼とイベントに行って〝薄い本〟で欲求を満たす。

ハイ。オタクですよ…何か?

別に推しキャラが居れば恋人いらないし。

てか職場で、嫌って言う程、人と関わるからプライベートまで人間と過ごしたく無いわけですよ(但しネトゲのチャットは除く)

ーーーーーーーー

「∑(゚Д゚)あっ。今日は集結のイベがあったんだ」

私は、起きれる時間ギリギリまでパソコンに向かいゲームに勤しんだ。

「海堂さんが、案を出した企画、通ったの。ありがとう」

「そう。良かった。これからが大変だから頑張って」

いつもと変わらない毎日…疲れた身体を引きずり、新しく私の元に嫁に来たフィギュアを愛でたい気持ちを抑え自宅の扉を開けた瞬間…

          何
          故
          か
          落
          ち
          た

「?…えっ?どゆこと?」
       
真っ白な世界に戸惑う…
いやいやいやいや…待って待って…
私は自宅の扉を開け入った筈だよね?
辺りを見回しても何にも無く、唯々真っ白。

「まさか…」

「はい。そのまさかでーす」

「ぉうわぁ‼︎ビビったぁ」

「いきなり声を掛けて済まない」

振り向くと水色の髪の男?…多分。

「あんた誰よ?名前は?」

「まぁ世間では神と呼ばれてるが名はシヴェル」

何かイタい人キター‼︎

「で、ここはどこ?」

「ここは世界を繋ぐ中間地点」

ハイ。イタい人確定。

「…私を、ここに読んだ理由は?」

「世界を…」

「あー無理無理無理無理。そう言うの漫画とゲームだけで間に合ってますから」

「最後まで聞いて‼︎」

「あの、よくあるヤツでしょ?〝異世界に行って世界を救って下さい〟って」

「何で知ってるの?」

「いや、逆に何で知らないの?」

このシヴェルって名乗る〝自称神様〟はこの世界を繋ぐ中間地点で危機に見舞われる世界へ救う能力の素質がある人間を送り込んでるとの事。

「一通り話聞いたけどさ、シヴェルさん。世間では〝人攫い〟って言って悪い事だと知ってる?」

「みんな喜んで世界を救いに行くよ」

「いや~それって若い人だけでしょ?」

シヴェルは私をマジマジと見た後

「確かに君より若かった」

殴ろうかな?コイツ。

「あのさぁ、聞きたい事が幾つかあるんだけど、答えてくれる?」

「できる範囲でなら」

「できる範囲って何?」

「教えなーい」

マジ殴っていいですか?
私は右手をグーで握りゲンコツを作る。

「私が貴方が送ろうとする世界に行ったとします。そうしたら、今まで住んでいた私の世界では、どうなりますか?」

「今まで聞かれた事なかったから分からない」

✴︎ゴンっ✴︎
私はイラッとしてゲンコツをかました。

「っっったぁい(涙)私は神様だよ!普通、殴る?」

「殴られて当然だろ?勝手に人を此処に呼び付け、あんたの都合でよその世界を救えって横暴意外に何がある?」

「〝個の犠牲で幾千、億の人の命が救われる〟貴女はどちらを選ぶ」

いい顔して言うなよ‼︎

「何、脅し?知りもしない世界に何の恩があるかよ?」

「そこは〝私1人の犠牲で多くの人が救われるなら…〟って言うところじゃない?」

「あのさぁ、10代から20代前半の夢見がちな人には通じるけど間も無くアラフォーに入るんだよ?私、今住んでいる世界が私には大事なの!分かる?どうせ、あんたが送り込もうと思っている世界って電気、ガス、水道整備は疎か医学も進んで無い、中世ヨーロッパ時代みたいな所で〝魔法が全て〟って言う様な世界じゃ無いだろな?」

「すっごい .。.:*☆当たり‼︎もしかして君って予見の神?」

「うっゎマジかよ?」

シヴェルは私が送り込もうと思っている世界を言い当て興奮する。

「行ってくれるよね?」

「絶対、行かないよ‼︎」

「君だけが世界を救えるんだよ?」

「いや救う意味が分からない」

「〝聖女〟と崇められ思うままの生活が約束されるんだよ」

「思うままってパソコン、スマホとかネット自体、存在しない世界だよね?」

「現世界への執着がすごいねぇ。どうしてもダメ?」

シヴェルは感心した後、首を傾け上目遣いで私を見つめる。

「絶・対・イ・ヤ‼︎今の生活が大事で好きなの。それに男が可愛こ振っても苛つきしか湧かないから」

「ねぇ、お願いぃ」

プチっ

「またゲンコツ食らわすぞ」

「痛いのイヤー」

この下らない押し問答が暫く続く…で、最終的には、どうなったかって?

それは、ご想像に任せます。


              おわり。
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