3 / 18
3
しおりを挟むえ~…。
ボンクラ王子の誕生日パーティーの日がきました。(毒舌)
ゼクシアは屋敷ではなく、王城に居たので、王子の下手クソなエスコートで既に会場入りしております。
王子の斜め左後ろに立ち、貴族連中から祝いの言葉を無限ループかと思うほど受け、いい加減、立ってるのも疲れてきた。
あまりにも挨拶が長いので、皆に気付かれないよう、目だけで貴族令嬢が王子に色目を使っている者がいないかチェックしているゼクシアであった。
「やっと終わったか、私が国王になったら貴族の数を半分ぐらいに減らすか。」
「お疲れ様でしたリーグラム様。」
(こいつ…減らすんなら悪徳貴族だけを選べよ?)
「お前は横で立っているだけだから楽でいぃな。」
(ずっと笑顔を固定して立ってるだけだからキツいんだよ!!)
「私の誕生日パーティーで、立ってるだけで退屈だって仰って、席を外しておりましたよね?」
「そんな事あったか?」
(あの時、かなり王子の評判が落ちたのだが?あんた、まだ王太子じゃないんだから、アホな事してたら第2王子派に蹴落とされるよ?)
パーティーは何事もなく終了し、城の使用人達が後片付けをしている間に王妃様とお茶する事になっている。
王妃様はお優しい方で、ラベンダー色の髪とマゼンタ色の瞳。
王子のイタズラがバレた時に、なぜか一緒に叱られた事がある。
その叱り方も、なんか、ふんわりな感じで、叱られてる感じがしなかった。
アルテのイメージが強烈すぎるのか?
声も綺麗だし、話し方も優しいので、癒し系王妃様だ。
「今日はリーグラムのサポートで疲れたでしょ。」
「いえ、特に何もしておりません。」
「リーグラムが嫌になったら、スグ言ってちょうだいね。」
(それは?婚約を解消してくれるって事?)
「これからリーグラムを教育し直さなければなりませんから、貴女には負担をかけるかも知れません。」
(あぁ、メンタルケアしろってか?他の女の子をあてがって下さいw)
「出来る限り努力します。」
取り止めのない話しをしていたら、急に変な話題を出してきた王妃。
「そうそう、最近、神殿に聖女が迎えられたそうよ。」
(聖女、そんなの居るのか?)
「何か多大な貢献をしたのでしょうか?」
「街で怪我人を無償で治して回っていたらしいわ、魔法で。」
(街で見たアイツか?聖女って何か得な事あんのか?)
「回復魔法が使えるのですね、なかなか居ない能力ですので、神殿が取り込んだのでしょうか?」
「だと思うわ、貴女が能力を隠していてくれて助かったわ、普通に人前で使っていたら神殿に盗られてたかも。」
(ぇ…なんで俺が回復魔法を使えるって知ってんの?)
「そんなに驚く事でもないでしょ、貴女もそんな顔するのね、剣術でついた打ち身や傷を治してたじゃない。」
「…見られてましたか…。」
「たまたま見ただけよ、部屋まで痛みを耐えられなかったのでしょ?一緒に居た侍女達には、口止めをしておいたわ、知られれば神殿関係者が来るでしょうから。」
「有難うございます。」
「貴女を神殿の道具になんてさせませんよ、使い潰させるもんですか。」
(王妃様、神殿が嫌いなのか?なんか毛嫌いしてない?)
最後に、決まった侍女を付けなさいね。との言葉を貰い、迷い無く頭に浮かんだのはシャンテだった。
王妃様とのお茶も終了し、王城で与えられた部屋へ下がる。
決まった侍女と言われても、シャンテ以外の人を傍に置く気にはなれない。
王城勤務なら、国が雇ってくれるだろうが、必ずシャンテを採用してくれるとは限らない。
自身が国に貢献して爵位持ちになれば、また違ってくるのかもだが、十分な給料を渡してあげられない貧乏貴族だったら悲しいので、そっちはパス。
◇◆◇◆◇◆◇◆
神殿で聖女のお披露目をするらしく、なんか祭のような雰囲気の街を馬車で裁縫店へ向かっている。
聖女が国王に挨拶するのに城へ来るんだとか。
王子の婚約者に何の関係があるのか知らないが、聖女の謁見の際には立ち会ってほしいと言われ、派手ではない服を作ってもらうのだ。
店に入ってシャンテの匂いを嗅ぎ、胸にスリスリしていると、いつもと店の空気が…なんか違う?
「どうかしたの?」
「ぁ…ぃぇ…。」
「私には言えない事なのね。」
「ぃぇ、来月に閉店するんですよ、この店。」
なんと!?
ここ潰れたらシャンテの居場所が無くなるではないか!!
(もしかして、シャンテを無理に雇ったから?金額次第では店を買う事も出来なくはないだろうが、利益を出すと考えたら、ムリかも…。)
「来月まで店はあるのよね?」
「はい。」
「じゃ、服の注文は出来る?」
服を注文して、王都の屋敷に戻り、自分の自由に出来る資金を、あるだけ掻き集めた。
(店を買ったとして、デザイナーが要るよな…俺か?w)
数日後、注文した服が出来たらしく、取りに行く事にした。
「オーナーは居るかしら?」
「呼んで来ます。」
「いえ、私が行きますよ。」
オーナーの居る部屋へ案内され、さっそく店を買いたいと言ってみた。
「店を買う…ですか?」
「はい、売っていただく事は出来ないでしょうか?」
「買って何をなさるので?」
「服屋さんですが?」
「このまま使うのですか?」
「建物内の物も譲っていただけるのですか?」
「なかなかの金額になりますよ?」
「いかほどになりますか?」
「ざっと見積もって、金貨500枚ですかね。」
(5000万円か、店ごと中の物も買うとしたら安い金額だが、カネか足りないw)
「3日、頂ければ正式な金額を提示いたしますが。」
「では3日後に伺います。」
注文した服を受け取り、シャンテの匂いを嗅いで帰宅。
◇◆◇◆◇◆◇◆
聖女が城へやってきた。
(やっぱアイツじゃん、タメ歳だったのか。)
聖女が国王と話しているのだが、なんかチラチラと見てくるのが気になった。
(ん?いま目が合った?国王と話してるのに余所見するか普通?なんか…何か企んでんのか?この王子なら差し上げますよ~?w)
何事も無く聖女イベは終わり、ゼクシアは私物を売り払ったりして資金の調達を急いだ。
約束の日は明日だ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)
大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。
この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人)
そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ!
この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。
前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。
顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。
どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね!
そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる!
主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。
外はその限りではありません。
カクヨムでも投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる