公爵令嬢に転生した…俺…。

真條 沙織

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え~…。
ボンクラ王子の誕生日パーティーの日がきました。(毒舌)

ゼクシアは屋敷ではなく、王城に居たので、王子の下手クソなエスコートで既に会場入りしております。

王子の斜め左後ろに立ち、貴族連中から祝いの言葉を無限ループかと思うほど受け、いい加減、立ってるのも疲れてきた。
あまりにも挨拶が長いので、皆に気付かれないよう、目だけで貴族令嬢が王子に色目を使っている者がいないかチェックしているゼクシアであった。


「やっと終わったか、私が国王になったら貴族の数を半分ぐらいに減らすか。」

「お疲れ様でしたリーグラム様。」


(こいつ…減らすんなら悪徳貴族だけを選べよ?)


「お前は横で立っているだけだから楽でいぃな。」


(ずっと笑顔を固定して立ってるだけだからキツいんだよ!!)


「私の誕生日パーティーで、立ってるだけで退屈だって仰って、席を外しておりましたよね?」

「そんな事あったか?」


(あの時、かなり王子の評判が落ちたのだが?あんた、まだ王太子じゃないんだから、アホな事してたら第2王子派に蹴落とされるよ?)


パーティーは何事もなく終了し、城の使用人達が後片付けをしている間に王妃様とお茶する事になっている。

王妃様はお優しい方で、ラベンダー色の髪とマゼンタ色の瞳。
王子のイタズラがバレた時に、なぜか一緒に叱られた事がある。

その叱り方も、なんか、ふんわりな感じで、叱られてる感じがしなかった。
アルテのイメージが強烈すぎるのか?
声も綺麗だし、話し方も優しいので、癒し系王妃様だ。


「今日はリーグラムのサポートで疲れたでしょ。」

「いえ、特に何もしておりません。」

「リーグラムが嫌になったら、スグ言ってちょうだいね。」


(それは?婚約を解消してくれるって事?)


「これからリーグラムを教育し直さなければなりませんから、貴女には負担をかけるかも知れません。」


(あぁ、メンタルケアしろってか?他の女の子をあてがって下さいw)


「出来る限り努力します。」


取り止めのない話しをしていたら、急に変な話題を出してきた王妃。


「そうそう、最近、神殿に聖女が迎えられたそうよ。」


(聖女、そんなの居るのか?)


「何か多大な貢献をしたのでしょうか?」

「街で怪我人を無償で治して回っていたらしいわ、魔法で。」


(街で見たアイツか?聖女って何か得な事あんのか?)


「回復魔法が使えるのですね、なかなか居ない能力ですので、神殿が取り込んだのでしょうか?」

「だと思うわ、貴女が能力を隠していてくれて助かったわ、普通に人前で使っていたら神殿に盗られてたかも。」


(ぇ…なんで俺が回復魔法を使えるって知ってんの?)


「そんなに驚く事でもないでしょ、貴女もそんな顔するのね、剣術でついた打ち身や傷を治してたじゃない。」

「…見られてましたか…。」

「たまたま見ただけよ、部屋まで痛みを耐えられなかったのでしょ?一緒に居た侍女達には、口止めをしておいたわ、知られれば神殿関係者が来るでしょうから。」

「有難うございます。」

「貴女を神殿の道具になんてさせませんよ、使い潰させるもんですか。」


(王妃様、神殿が嫌いなのか?なんか毛嫌いしてない?)


最後に、決まった侍女を付けなさいね。との言葉を貰い、迷い無く頭に浮かんだのはシャンテだった。
王妃様とのお茶も終了し、王城で与えられた部屋へ下がる。

決まった侍女と言われても、シャンテ以外の人を傍に置く気にはなれない。

王城勤務なら、国が雇ってくれるだろうが、必ずシャンテを採用してくれるとは限らない。
自身が国に貢献して爵位持ちになれば、また違ってくるのかもだが、十分な給料を渡してあげられない貧乏貴族だったら悲しいので、そっちはパス。


◇◆◇◆◇◆◇◆


神殿で聖女のお披露目をするらしく、なんか祭のような雰囲気の街を馬車で裁縫店へ向かっている。

聖女が国王に挨拶するのに城へ来るんだとか。
王子の婚約者に何の関係があるのか知らないが、聖女の謁見の際には立ち会ってほしいと言われ、派手ではない服を作ってもらうのだ。

店に入ってシャンテの匂いを嗅ぎ、胸にスリスリしていると、いつもと店の空気が…なんか違う?


「どうかしたの?」

「ぁ…ぃぇ…。」

「私には言えない事なのね。」

「ぃぇ、来月に閉店するんですよ、この店。」


なんと!?
ここ潰れたらシャンテの居場所が無くなるではないか!!


(もしかして、シャンテを無理に雇ったから?金額次第では店を買う事も出来なくはないだろうが、利益を出すと考えたら、ムリかも…。)


「来月まで店はあるのよね?」

「はい。」

「じゃ、服の注文は出来る?」


服を注文して、王都の屋敷に戻り、自分の自由に出来る資金を、あるだけ掻き集めた。


(店を買ったとして、デザイナーが要るよな…俺か?w)


数日後、注文した服が出来たらしく、取りに行く事にした。


「オーナーは居るかしら?」

「呼んで来ます。」

「いえ、私が行きますよ。」


オーナーの居る部屋へ案内され、さっそく店を買いたいと言ってみた。


「店を買う…ですか?」

「はい、売っていただく事は出来ないでしょうか?」

「買って何をなさるので?」

「服屋さんですが?」

「このまま使うのですか?」

「建物内の物も譲っていただけるのですか?」

「なかなかの金額になりますよ?」

「いかほどになりますか?」

「ざっと見積もって、金貨500枚ですかね。」


(5000万円か、店ごと中の物も買うとしたら安い金額だが、カネか足りないw)


「3日、頂ければ正式な金額を提示いたしますが。」

「では3日後に伺います。」


注文した服を受け取り、シャンテの匂いを嗅いで帰宅。


◇◆◇◆◇◆◇◆


聖女が城へやってきた。


(やっぱアイツじゃん、タメ歳だったのか。)


聖女が国王と話しているのだが、なんかチラチラと見てくるのが気になった。


(ん?いま目が合った?国王と話してるのに余所見するか普通?なんか…何か企んでんのか?この王子なら差し上げますよ~?w)


何事も無く聖女イベは終わり、ゼクシアは私物を売り払ったりして資金の調達を急いだ。

約束の日は明日だ。








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