18 / 18
18
しおりを挟む次の日の朝
朝食を王妃様と取る事になった。
「おはようございますグロッサリー様。」
「おはよう2人とも。したの?」
「グロッサリー様お下品ですよ?してませんけどね。」
「私は2人が城で暮らしてくれればいぃだけだから。」
「侍女と話してみます。」
「侍女ね。で、昨日、話せなかった本題です。」
「あの話しが本題だとは思っていませんでしたが、その為に来たんでした。」
「教会、まぁ教皇ね、以前より怪しい動きはあったのよ。」
「そうなのですか?」
「気が付いてなかったのね、教会が貴族を従えていたのよ。」
「そんな事が可能なのですか?」
「あの教皇、ワイグストって名前なんだけど、ジョムレー公爵家の者なのよ。」
「ジョムレー公爵家と言いますと、先々代の国王陛下の弟だった方が初代の家ですね。」
「そう、ワイグストは初代ジョムレー公爵の三男で、かなりの野心家だったの。」
「王位簒奪を企んだ?」
「教会の力でね。」
「ムリがありませんか?」
「そうでもないのよ、時間をかければね。」
「貴族を取り込んで勢力図を書き換える、とか?」
「まさにソレよね、時間はかかるけど、不可能ではないわ。」
「成し遂げる前に寿命が来そうですね。」
「そうね、おじいちゃんだしねw で、痺れを切らして教皇は聖女を使って強硬手段に出たのよ。」
「精神干渉魔法ですか?」
「そう、貴女からの手紙で陛下が動いたの。」
「あの手紙が引き金になったんですね。」
「その前から期を狙ってたんだけど、なかなか動けないで居たのよ。」
「精神干渉魔法は、かなり広範囲でしたが、魔力じたいは微量のモノでした、そこそこの効力もあったと思います、あんな微量の魔力で広範囲の魔法を使えるモノなんでしょうか…。」
「それね、1人に精神干渉魔法をかけて操り、次も別の者に同じ事して、糸みたいに魔力で人を繋げるんだそうよ。繋げた後は、繋がれた者の魔力を使って別の者に魔力を流していたらしいわ。」
「そうすると、一人が一人に繋げているから、消費魔力量は微量になると。」
「そゆこと。それを全貴族にされたら教皇の勝ちだったんだけど、術者の聖女は学院でしか活動できなかったから、学院内の者しか操れなかったのよね。」
「お粗末ですね。」
「見切り発車したんでしょう、自身の寿命を考えたら、のんびり出来ないしね。」
「あ、おじいちゃん」
「そw 時間が無かったから強硬手段に出られたってのもあるでしょうね。 で。教皇の名簿にはアーレンツ家もあったわ。」
「えッ 」
「国王陛下や元老院と話した結果、今回の貴女の功績により、現当主を解任、グリシーズ・アーレンツが家督を継げる15歳になるまで、アーレンツ家長子であるゼクシア・アーレンツを繋ぎの当主とする。未成年であるゼクシア・アーレンツの後見人には、グロッサリー・ファルナストを起用する。だそうよ。」
(王妃が後見人? 監視役じゃなさそうだけど。)
「罪人となったアーレンツ家元当主コルディウスは、王城へ出頭命令を出し、捕らえて牢に幽閉しています。市井にアーレンツ家の事は広まっていないはずですので、家名に影響はないでしょう。そしてコルディウスの引き渡しには条件付きで応じます。」
「コルディウスの引き渡しは致しません、生涯幽閉でお願いします。」
「あら、イジメられてたの?」
「いえ、中途半端な野心を持っていますので、国の監視下で置いておこうかと。」
「中途半端な野心w」
「私を王妃にすると息巻いていて、シャンテを解雇した愚か者ですから。」
「そうだったわね、アルテに聞いたわ。」
「邪魔になったら殺処分して下さい。」
「父親よね?(^^;)」
「シャンテより大切な者はおりませんので、彼女を傷付ける者は容赦しません( ・ㅂ・)و ̑̑」
「また衝立の後ろで聞いてるわよ?」
「口説き中ですので問題ありませんよ。」
ゼクシアがアーレンツ家の仮当主となり、コルディウスの居なくなった屋敷には、シャンテも来てくれるようになった。
裁縫店ゼクシードは、コルセットをメインパーツに使用し、ソリッドフリルスカートのコルセットドレスを王妃様へ心臓バクバクしながら献上した
侍女達は、見たまんま胸から上に生地が無く、上半身が下着のコルセットに見えたようで、コメカミをピクピクさせていたが、グロッサリーは見た事のないデザインで、派手なワリに意外とシックなグレーカラーが気に入ったと歓喜し、ゼクシードは王妃御用達店の称号を獲得。
その影響もあってなのか、店名がそのままブランド名と認識され、ファルナスト国だけでなく、他国からも客が来るようになり、誰でも行けるリーズナブルな王妃の御用達店という、他には無い店として、とんでもなく忙しい店になった。
どんどん従業員が増え、ゼクシードのデザイナーに憧れる人達も居て、ゼクシアがデザイナーの指導をしている。
元染色工房は、ゼクシードワークスと呼ばれ、生産部門、教育部門に染色部門と、様々用途に使用され、多岐に渡り重宝されている。
孤児院はと言うと、ゼクシードで働いている11人が、孤児院に寄付という形で仕送りしているので、貧しい食卓を囲む事なく過ごせている。
そしてこれからもグイグイ人材をゼクシードに捩じ込みたいと考えた院長は、必死の形相でミルトに縋り付いて土下座までされたらしい。
ゼクシアが店を買収した当初の、シャンテを除く5人は、ゼクシードの主中として経営者側の重役になっている。
そしてアルテは、仲間の裏切りにより、英雄アールテストがゼクシードの従業員だと暴露され、店の宣伝に使われブチギレたアルテに、ギリ死なない程度にエグい仕事量を振られまくられ、仕事量と魔王の威圧で精神破壊寸前でゼクシアに救われた全従業員。
ゼクシアもビビる魔王だというのを真実だと思っていなかった報いである。
『アルテはけして怒らせてはイケナイ』と肝に銘じる職員達であった。
その影響により、更にゼクシードが巨大化する事件となった。
そしてゼクシアは学院を卒業し、アーレンツ家の屋敷でシャンテを追い回し、やっとキスを許してもらえる程度に進展していた。
「いぃぢゃんちょっとぐらい、先っちょだけ♡」
「なんですか先っちょってッ イヤですッ!!」
二章へ続くの?
(なぜ疑問形?)
1
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)
大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。
この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人)
そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ!
この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。
前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。
顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。
どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね!
そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる!
主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。
外はその限りではありません。
カクヨムでも投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる