可愛いは正義 では男前は?

丹葉 菟ニ

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王子様で出発

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コスプレ同好会は35人とかなり大人数だけあっていつも賑やかだけど幾つかのグループに分かれてる。アニメのキャラクター、戦隊モノ、ゲームキャラ、オリジナルキャラ皆それぞれ強い思いを持って自らの手でキャラの衣装や小道具を作る。悩んだ時には仲間が相談に乗り意見を出し合ったりもするので1人で悩んだりしなくてもいい。自分でもいい所に入ったなと思っている。新しい友達もできつつ順調に大学生活にも慣れてきた。
そして時間あれば道場に顔を出してはハッちゃんに稽古をつけてもらったり颯馬と組み手をしたりもしてる。

「もうすぐ夏休みなのに部の合宿なんだよなぁ」

「お疲れ様、俺は、プリンセスとプリンスのお茶会ってのに行ってみようかなって思ってる」

「は?何それ」

「お姫様と王子様のコスプレで優雅にお茶会、参加資格が王子様とお姫様ペアでの参加なんだって」

「なんか凄いな、っで、あさはどっちで出るの」

「もちろん王子に決まってるだろ」

何がなんでも行きたいからとセンパイに衣装は用意するから私とペアで出て欲しいと頼まれた。
なんでも、伝説のコスプレイヤーがこのお茶会に参加するらしいと情報をゲットしたからには絶対に行くと、コスプレイヤーの神様だと熱烈な告白を聴きながらお昼ご飯を食べたのは3日前。

「コスプレの神ね、奥が深い」

お互いの夏休み企画を話しながら道場に着いたら下級生達に囲まれ、それぞれに合ったメニューで少し稽古をつけたりも最近ではし始めた。





高校生の時より少し早い夏休みに入って直ぐに3ヶ月に1度のヒートも狂うこともなく1週間後には無事にシェルターから出ることが出来た。
そしてセンパイとの約束の日は朝から大忙しだ。何度も練習した化粧をして髪を整えて先輩から借りた衣装を家族に披露する。両親と兄からはかなり褒めちぎられ色んなポーズを取らされてはかなりの数の写真を取られた。
会場までは兄が車を出してくれる事になってるが、家から外へ出ると直ぐに衣装を脱ぎたくなる。

「暑い」

「その格好だ、そりゃ暑いだろうな」

冷房をガンガンにしてくれた3つ上の兄は数少ない希少なαだ。将来は弁護士と決めて司法試験にも1発で合格した自慢の兄だ。
我が家は両親共にβにも関わらず、父方の先祖にαとΩの子がいたとの事で先祖返りと見られてる。
12歳のバース検査で兄がαだとわかった時は親戚からも祝福の嵐だった。そして僕がΩだとわかった時は皆が困惑した。同じ屋根の下でもし間違いが起きたらどうすると。親戚からは兄を養子に引き取るとまで言われたが、両親と祖父母が反対し、家の一部をシェルターに作り替えてくれた家族と祖父母に何よりも感謝している。

「お茶会が終わったら連絡しろよ、迎えに行くから」

「本当に、やったね。この暑い中帰りはバスか電車かって思ったらうんざりしてた所」

「 あのなぁ 朝は2日前にシェルターから出てきたばかりなんだから少しは体のこと考えろ」

そうなのだ。3ヶ月に一度は必ずやってくるヒート。普通だったら13か14歳で起こるヒートも先祖返りのΩだからか15歳になってもヒートなく、このままなにも起こらず普通のβと変わらずに過ごしていけるかもと思っていた16歳の時に突如兄に臭いと言われ、シェルターに押し込まれた次の日には初めてヒートの辛さを味わった。
ほぼ飲まず食わずのままシェルターから出ると必ず4、5キロは痩せてしまうのだ。

「いつもだったら車なんて出してやらないけど、ヒート明けだからな特別待遇」

「えへへっ、ありがとうございます」

特別待遇なんて言いながらも兄は僕に対してかなり甘い所が多いのは僕自身がよく知っている。
そして我が家では当たり前になってしまった行ってきますのハグの習慣、僕が車から降りる前にいつものように僕にハグをしてくれる。僕も慣れたもので自然と受け入れハグをし返す様になっていた。
兄曰く僕を守る為らしい。
αの兄の説明ではαにも順位があるらしく、αである兄の順位は中の中で、兄よりも格下相手には兄の匂いはキツく脅威になる為に簡単にΩである僕に手が出せない?との事。
そもそも直接α様に出会えるのは奇跡に近い。その証拠に僕は兄以外のαに会った事は無いのに何を警戒してるのかさっぱり分からないけど、兄に逆らうなんて全くもって意識がない。ハグの儀式を僕は一度も嫌がったことはないのだ。
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