可愛いは正義 では男前は?

丹葉 菟ニ

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身内と初対面

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目の前のシェルターの中に大事な番が居るとわかっているので動けずにいる。諸々の報告や手続きは申し訳ないが父に丸投げして今は朝陽の身内がこちらに来るとの報告でなにもせずにただ待っていると1時間もしない内に朝陽の身内が来たと連絡を受けた。

何事にも動揺することなく今日まで来たが、生まれて初めて言い知れぬ恐怖を味わってる。番になるご両親に嫌われたらどうしようと心臓が爆発しそうな思いで待っていると明らかにαだとわかる20歳前後の長身男と30代前半の男の2人がやって来た。
本当に朝陽の身内なのかと疑っているとαが駆け寄ってきた。

「藤代朝陽の身内の者です。朝陽がご迷惑をおかけして申し訳ございません」

2人の男性が同時に頭を下げてきた。

身内だと言われても、はいそうですか。とは引き下がれない。どう見積もっても朝陽の親だとも思えないしもう1人は朝陽にベッタリ付いていた匂いと年齢的に恋人です。と言われたらどうやって別れさせるか瞬時に思い浮かべながらも本当に身内だとしたら失礼のないようにしなければならないと、無理やり顔に笑みを浮かべながら応える。

「大変失礼ですが、お身内と言われてもヒートを起こしている朝陽にαの方が来るのはどうかと、それと朝陽とはどの様な関係なのか教えもらえますか」

「初めての方にはよく間違われてしまうのですが、私が朝陽の父親で、この子は朝陽の兄のまひるです」

よく間違われると言いながら、父親は手馴れた手つきでパスケースの中から写真と免許証を出しながら説明してきた。
藤代真広、30代前半にしか見えないのに本来の年齢は45歳だ。そして父さんが手渡してくれた書類に書かれていた朝陽と同じ住所、写真を見れば両親の間に今目の前に居るα男性と笑顔を浮かべる朝陽が写っている。
いい笑顔、この写真欲しいなと思いながらもαも免許証を取りだした。
藤代真陽、年齢21歳、父親と住所が同じ、疑いようが無いとわかれば自然に警戒も緩和出来た。

「お恥ずかしい話ですが私も妻もβなんですが」

「恥ずかしくないから。俺がαで弟がΩなんです。だからいつも親子なのかとか疑われてしまうから父さんと母さんは写真を持ち歩いてるんです。それも毎年更新したものを。コレでわかって貰えましたか?
それで貴方は?朝を助けてくれた人がシェルターの前に居ると聞いてたんですが」

αには余り出逢える事は少ないと思われがちだがα同士は良く出会う傾向が多い。逆を言えばΩに出会える方が少ないのだ。
それもそのはず、全世界のΩの数は全人口の1%も居ない事がわかってるが世界的に隠されてる事実である。

昔、魔女狩りならぬΩ狩りは当然の権利とされ、罪に問われない時代があった。Ω狩りの時代が終わったかと思えばΩはそのまま軽視され続け、迫害されてきた時代、そして自ら死を選ぶ者が多くなっていたが、誰もが目を背けていた。
そんな中、女性は子を産まない、産みたくない。同性愛の権利を叫ぶもの達で溢れて来た。
小さな訴えは段々と規模が大きくなり、世界的問題へと繋がった。女性が子を産みたくないのであれば子宮を持つ男も居る、それがΩだと目を向けた時に初めてバース性の数を調べた時にわかった。
βが97%、そしてαよりも多いのがΩだと思われていたが事実は残酷なもので細かく調査をした結果、αが2.8%に対してΩは0.2%と圧倒的に少ないと初めて知った時に保護活動が急速に始まり約50年でオメガの数が0.3%増えた事がわかったがαの俺達からしたらΩは雲の上の人、尊い存在なのだ。
そして、αがいる家にΩが居れば自然と守るべき存在になるだろう。

目の前のαを改めてよく見てしまった。
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