妖怪社長の伴侶は下僕

丹葉 菟ニ

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話をする。

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2人が仕事に行ってから気がついた。そもそも、一緒に暮らしてた設定、どこから来てんだ?

説明がないって1番辛い。
そもそも話し合いする暇はあったはずなのに騰貴が全部 ぶち壊す。俺にも責任はあるけど、最初に触ってくる方に責任はがあるはずだ。

天気のいい中シーツが緩くパタパタ靡くのを目の端に入って来る度にため息を吐きそうになる。
時計を見るとまだ8時少し過ぎ。今日は俺以外はもう家を出てる。二度目の洗濯を回してる間に掃除機でも掛けるか。






「昨日は喜ばれましたか?」
「ああ、催眠術もしっかりと掛かっていて 問題なかった」
「当然です。それに、人間は我々と違い基本は信じやすい種族ですので、疑り深い奴らと違い催眠術は1番掛けやすいですよ」
「確かにそうだな。ふっ、かわいいものだな。掃除機を掛け始めた花嫁修業でも始めたか」
「それは素晴らしいですね。伴侶様としての自覚がめばえたのでは?」
「自覚があれば良いのだが、なんにも役に立ちそうもない寄り合いに顔を出したがるからな 油断ならん」
「あぁ、サークルですか。あの集りは趣味を共有し共に語り合う仲間を集める場所つくりから始まった筈なのにいつの日からか、男女の出会いの場とされ、本来の意味を無くして乱れてしまってますからね」

「乱れた場所の出席など 許さん」

手の平の上の輪っかの中ではせっせと掃除機をかけてる茂を会社に着くまで飽きずに眺めてた。




大学について講義に出席 午後からも1つあるからカフェテラスに出てる山川 雛が声を掛けてきた。

「やっぱりココに居た、お昼一緒にしてもいい?」
「いいよ?どうしたの」

明太パスタ チーズケーキセットコーヒーで

真理子様の説だと、栄養は全部胸に吸収されてると語ってたが嘘ではないと思う。

「昨日はみんなが居たから 言いそびれちゃった。まずは ちゃんと謝ろうと思って。ごめんね。私達 ヤスに酷いことしてたよね。お母さんに話したら 怒られちゃった。人の話も大事だけど 先ずは本人からも話を聞きなさいって。20歳過ぎた子供に言うことでもないけどってのも 言われたな。情けなくなっちゃった、何見てたんだろうって」

「そんな事、気にしてないからいいよ。でも、社会人に なってからは気をつけないとね。俺も人の事は言えないしね」

「優しすぎだよ、もっと怒って良いんだよ」

「怒るのってさ、エネルギー居るんだよね。腹減ってると怒れない」

「あははは、たしかに、怒るにもエネルギーいるよね。でも 満腹になったら 眠くなるよ」

「そうだよねぇ~、怒る気力もなくなるよね~。皆が 分かってくれたから きっとどうでもいいことに思えてる証拠だよ」

「ありがとうヤス」

「ああ~、ヤスー、やっとあえた!!先ずはごめん!!」
ゴツ

勢いよく近づいて来て頭をテーブルにぶっつけてしまった。

「優衣!頭 大丈夫?」
「わぁ~ ゆぃ大丈夫」

「イテテテ うん、大丈夫」

「そそっかしいのは変わらないよねぇ~」
「ホントに」

「なによォ~」

「優衣もお昼まだなんだろ?一緒にたべない?」

一緒に食べながら 卒業旅行の計画を立てた。

俺が行けるのは騰貴との話し合いをしなければならない。今から気が重いな。







講義の後 外のベンチに座ってスマホと睨めっこしてる図はかなり滑稽だろう。

ポチとタップすれば電話は簡単にかけられる。なのに出来ない自分が情けない。

電話番号しかアドレスに入れてない自分がなさけない。

「大丈夫 話せば分かる・・・と、思う」

信じてスマホをタップして、ツーコールで相手が出た。

「もしも、俺だけど」
『なんだ?授業は終わったのか?』
「うん、・・」
『ならば さっさと 真っ直ぐ帰って来い』
「あのさ、少し遅くなる」
『なぜだ』
「えっと、・・・サークルで少しだけ遅くなる」
『それが 理由か?態々 聞いてやる必要は私には無かった。お前がすべき事は トットと帰ってくることだけだ』

あっ!切れた。
理由を言っても  取り合えってもらえないなら話し合いにもならない。

なんなんだよ。サークル込みで 大学だろ。なんで 講義が良くてサークルが駄目なんだよ?!

「よっ、このあと呑みにいこうかって言ってんだけど、行くか?」

東が気軽に誘ってくれるのは嬉しいけど無理だ。

「ごめん今日はいけない」

「どうした?金欠?」

気軽に肩に腕を回して 周りな聞こえないように配慮しての行動だ。
金欠か、1番無難なんだよな。

「ごめん その通り。だかr・・・」
「何かゾッとしないか!?」

俺の肩をグッも抱きしめて来る東。

それは俺も感じた。物凄く感じた。慣れ親しんだと言っても過言では無いだろ。
何時もはオレを包み込んでくれる感じのモノが、鋭くとがって斬りかかって来そうでこわい。

この感じを知ってるのは1人しか居ない。

「東 ごめんチョット離して」
「や、いやいや 俺は正体の解らんもんが1番 苦手なんや」

おー 方言初めて聞いたかも。確か元は京都って言ってたから。滑らかやなぁー。
って、感心してる場合違うだろ!

「大丈夫、悪さはしないと思うから信じて離して」

「ほんまかあー!」

「ほんまほんま」


ソロソロと離れて行くけど見えないなにかに威圧されて気分が良いとは言えないよな。

「こぉ~、うまい事言えへんのやけど 子どもん頃から なんやジーっと見なれてる感覚があったりしたもんで ワイはこんな感じが ごっつい苦手なんや」

そうなんだ。子供の頃からか ソレはすごいな。

「でも、ほら 悪いもんでは無いっていうか 害がなければ、ね」

「確かに おかんが良く おキツネ様に悪さしてへんか 見に来よるんよ。ちゅーて よーワイをからかいよった」

ポリポリ頭をかいてる東。
子供の頃からかぁ~。凄いな 、そーゆーの感性?って言うんだろうな。



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