ヴァーチャル美少女キャラにTSおっさん 世紀末なゲーム世界をタクティカルに攻略(&実況)して乗り切ります!

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Chapter2:「ガン&バニー」

Part15:「巨大なイレギュラー」

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 モールの中央ホール空間を後にし、三人はモールの正面玄関を通り外へと抜けた。
 玄関を抜けて広がったのは、モールの建物に隣接する広場空間。
 中央にモニュメントを有し、出店屋台や食事休憩空間が並び設けられるフードコートが存在。
 その向こうには通路や階段を挟んで隣接する、巨大な駐車場施設が見えた。

「――」

 星宇宙等は視線を走らせてその光景状況を掌握しながら。少し駆け出て手近な屋台や柱などを遮蔽物として身を隠した。

「手前に2~3、奥に数体――」

 そして零す星宇宙。
 広がる広大な空間の所々には、オータントがポツポツと見えた。
 モール内での騒ぎには流石に気づいていたのだろう、星宇宙等の出現にすぐさま気づき、こちらに動きと敵意を向けて来る。

「っ――残る数は、多くは無いな」

 こちもそれぞれ火器を突き出し、それを相手取る戦闘行動を始めながらも。しかし星宇宙は余裕のある口調でまた零す。
 今しがた相手取った群れと比べれば、その数は多くとも両手で数えて余る程度。そう多くはない。
 後はこれを排除して突破する、脱出は容易かと思われた。

「――っ!星ちゃん!」

 しかし。
 直後、モカが何かの〝気配〟を感じ取り。知らせる声を張り上げる。

「ッ――!?」

 そしてほぼ同時に、星宇宙も〝それ〟を感じ取っていた。
 それは微かな振動、地響き。一定のリズムを取る、巨大な〝足音〟のようなそれ。

「この音は……ッ!」
「これ……まさか……!?」

 ファースも同じくそれを感じ気づく。
 そして星宇宙は、その正体に思い当たる節があり、また声を零す。

 ――衝撃音が。
 爆破のそれとも聞きまがう、凄まじい音が響いたのはその瞬間であった。

 音源は、星宇宙等より側方の向こう。
 そこにあるモール施設のまた別ブロックの建物の一棟。大きなその建物のその側面が、しかし内側より爆破したように崩落している。
 そしてもうもうと立つ土煙を割る様に――その巨大な存在は姿を現した。

 それはオータント――しかし、その体はここまで見て来たものと見て、あまりに巨大過ぎた。
 オータントが巨体といえども、しかしその体長は平均2m程。しかし現れたそのオータントは、目測7~8mはあった。
 まるで銅像。その手足胴体は、まるで樹齢数百年の大木のように太い。
 二足歩行であるが、その自重を支え切れていないのか姿勢は大分猫背気味。
 得物、武器の代わりなのか。その大木のような腕に持たれるは、束ねた電柱だ。

 そんな、脅威であることは見るに明らかな存在が出現したのだ。

「あれは……!」
「ッ、やっぱり……――オータント・フォートッ!」

 ファースは現れたその巨大な存在に目を剥き。そして星宇宙は嫌な予感の敵中に苦い色を作りながら、そんな名称を発し上げた。

 オータント・フォート――要塞級オータント。
 その名の通り要塞級の巨体と強靭さを持つ、オータントの突然変異体。
 TDWL5にあっては大ボス級の敵モンスターだ。

《は……えええっ!?》
《うっそだろ……っ!?》
《なんでここに……!?》

 そのオータント・フォートの出現に、コメント欄には驚愕の色のコメントが流れる。

「なんで……ッ?これもDWAの影響……ッ?だけど、こんな演出まで……!?」

 そして星宇宙も同じく目を剥き、驚愕に声を零す。
 各々の驚愕も無理はない。
 オータント・フォートは本来この段階では出現しないはずのモンスター。いや、現在はモンスターの出現頻度を始めとする難易度調整のMOD、DWAが有効となっている事は承知の上。
 しかし。DWAはあくまでランダムエンカウントの制限を解放し、高難易度モンスターとのエンカウント率を変更する効果に留まるものだ。
 今のような、まるでこのタイミングを狙ったかのような、まして破壊演出を伴ってのイベントの如きそれを体現するものでは無い。

 そう、これは明らかなイレギュラーだ。

《いや、DWAは演出イベントの追加は無いっ、これはDWAの影響だけじゃないよっ!》
《ガチのイレギュラーってコト……!?》

 それを急き伝えるように、コメント欄に視聴者からのコメントが流れる。

「ッゥ……!」

 それに。薄々と考えていないでは無かった、自身の事前知識がいよいよ通用しない脅威の登場に。星宇宙の愛らしい顔は、しかし一層苦くなる。

「星ちゃんっ!来るよ!」

 しかしそこへ掛かる、モカの呼びかけの声。
 そして再び意識視線を向こうへ向ければ、件のオータント・フォートがノッシノッシと、ズシンズシンと動きの音を立てて。こちらへと向かってくる姿が見える。
 さらに、オータント・フォートの出現により崩壊した向こうのモール建物の内からは。まるで戦車に随伴する歩兵のように、多数のオータントが湧き出て散開する姿光景が見えた。

「驚き悩む時間もくれないか……モカっ、相手取るしかないッ!」
「だよね……!おっけっ!」

 その光景を向こうに、星宇宙は一言ニヒル気味に零した後に、意識を切り替える。
 そしてモカに訴え、モカからは当然と言うように了承の返事が返る。

「戦うつもりかい……!?」

 そこへ、ファースからは少しの驚き交じりの言葉が寄越される。

「一応、デカブツを相手にできる得物はあるから――ファースさん、できれば露払いをお願いできる?」
「!――もちろん、ToBの騎士として断る選択があろうかッ」

 星宇宙はそれに勝算をまず答え、合わせてファースに援護を求める。
 それにファースは、当然と引き受ける返答を返す。

「お願い。モカもファースさんと一緒に援護を、正面衝突は俺が引き受けるッ」

 星宇宙はファーストモカにそれぞれ願うと。
 SCAR-Hを下げ仕舞ってからインベントリのウィンドウを開いて、その内より新たな一つの火器装備を見つけて選択。
 次にはスッと、ゲーム中のエフェクトで星宇宙の手中に巨大な得物が。前にも救われたMOD武器、フィンランド製のラハティL-39対戦車銃が現れる。

「承知!」
「任せてっ!星宇宙ちゃんマスターに、エネミーは近づけさせないっ!」

 その星宇宙に、二人から返るは頼もしい声。

「任せたよ――戦闘開始ッ!」

 二人に託し、そして高らかに発し上げ。
 星宇宙は遮蔽カバーしていた屋台を、L-39を抱えたまま軽やかに飛び越えて。お約束のようにウサ耳と尻尾を可愛らしく揺らして。
 オータント・フォートを迎え撃つべく向かっていった。
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