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Chapter2:「ガン&バニー」
Part17:「トゥレート・アップデート、そして――」
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届いたモカからの、張り上げての伝える声。
「ッ!」
それを聞いた星宇宙は、次には遮蔽していた崩落看板を飛び越え。声の方向に向けて駆けだした。
駐車場を駆けてここまで来た道を戻り、モール前広場へと踏み入る星宇宙。
「ッ!?」
そして瞬間、目に飛び込んで来たのは。
今先に自分等も出て来たモールの正面玄関、その壁が上階部分に至るまで崩壊して大穴が開いた光景。
そしてそこより、まさに今踏み出て来たのであろう――二体目のオータント・フォートの巨体であった。
「!――モカ、ファースさん!?」
次には慌て、その近くにカバー配置していたはずのモカとファースの姿を探す星宇宙。
側方、視界の端に動く人影と気配を見て、そちらへ視線を向ければ。
幸いにも健在ではあったが。慌て急く様子で、駆けてオータント・フォートの前より逃げ離脱するモカとファースの姿があった。
「ッ!」
それを見た星宇宙は、直後には要援護の考えを脳裏に浮かべ。
そして瞬間には手中のL-39を腰だめで突き出し構え、オータント・フォートに向けて我武者羅に引き金を引いて、数発を叩き込んだ。
その堅牢な巨体は恐るべきことに20m弾を受け止めて尚、健在の様子を見せたが。
目論見通り、その意識をこちらへ逸らすことには成功する。
そしてチラと再びモカたちの方を見れば、側方の少し離れた所で。二人はモール内を彩っていた大きめの石造りの花壇の影に、飛び越え飛び込み遮蔽する姿を見せた。
「――よしっ!」
二人の退避に少しの安堵を覚えつつ。星宇宙は、再び向こう相対する二体目のオータント・フォートを見る。
「――!?」
そしてしかし直後、星宇宙はそのオータント・フォートが片腕に備えるある〝得物〟の存在に気づき。そして同時にそこより向けられる殺気が星宇宙の本能的危機を刺激して走る。
そこに見えたのは――ミニガン。
7.62mm口径の銃身を束ね、電動で無数の弾丸を打ち出す、凶悪過ぎるガトリング砲。
それを見て、認識した瞬間。星宇宙は地面を思いきり蹴って側方へと飛んだ。
その直後だ。
そのミニガンより吐き出された銃火火線が、まるで豪雨のように注いで襲い来た。
一瞬前まで星宇宙が立っていた地面を、まるで銃弾で耕すかのように壊し削ぎ、荒れ地の様相へと変えて見せた。
「――ッぅ!」
間一髪、それより逃れた星宇宙は。またモカたちと同じように、近場に在った石造りの花壇に転がり込むように飛び込みカバー。
「ッ、冗談……!」
背を預けつつ、一瞬前まで自分が立っていた場所の有様を見て。背筋を寒くしながら一言を零す。
「星ちゃんっ!?」
今の様子がモカたちの側からも見えていたのだろう。モカから星宇宙の身を案じ、尋ねる旨の声が張り上げ来る。
「大丈夫、俺は無事だっ!」
届いた声に、自分は無事である事を張り上げ返しつつ。遮蔽したカバーより視線を最低限出して、様子を伺う星宇宙。
オータント・フォートはモール前広場の中央まで進み出て来て暴れている。
その腕には今に見た通りミニガンが。もう片腕には、航空機等に搭載される無誘導のロケットランチャーポッドまで装備されているではないか。
先の電柱を打撃武器として持っていた一体目と比べて、その攻撃力と脅威度は破格。
そして次にはそれを見せつけるかのように、そのロケットポッドがロケットを撃ち出した。
「ッぅ!?」
撃ち出された数発のロケットは、星宇宙のカバーする花壇の手前で。もしくは頭上を飛び越えて後方向こうで炸裂。
幸い、整備状態が良くないのかその全てはてんでバラバラの個所に着弾。星宇宙に直接の被害はなかったものの。
しかし飛び抜けていったロケットや、近くで巻き起こった炸裂に星宇宙は肝を冷やす。
「おっかな……――おぁッ!?」
ロケット攻撃を凌ぎ、もう一度遮蔽より視線を出して向こうを観測しようとした星宇宙。
しかしその頭上を、ウサ耳を。また斜めの別方向よりの。凄まじい銃火が掠め飛び抜けだしたのはその直後瞬間だ。
「んなッ!?」
慌てて頭を引っ込め。そして姿勢を這うような姿に変えて、花壇の側面から改めて慎重に視線を出す星宇宙。
オータント・フォートより側方の向こう。
そこにまた新手のオータントの一団が見える。オータント・フォートに合流しようと向かっている姿は、疑いようも無く増援のそれ。
そして、問題はその内に見える2~3体。
そのオータント個体が装備するは、マイクロガン。
5.56mm口径の銃身を束ねた電動ガトリングガン、ミニガンのスケールダウン版。しかしその名称に反して、脅威度はえげつないそれだ。
そんな重装備のオータントたちの向けて来る、マイクロガンによる銃火火線が。こちらの周辺を掠め、そして身を隠す花壇を叩いていた。
「ひゃぇーーっ!?」
「掃射を受けている……ッ!頭を上げられないッ!」
向こうからは、モカの悲鳴とファースの張り上げる声が聞こえて来る。
増援のオータントからのマイクロガンの掃射や、暴れるオータント・フォートのばら撒く攻撃に。二人も釘付けにされてしまっている様子であった。
「冗談ッ……ヤロッ!」
状況に、しかしやられっ放しではいられないと。星宇宙はL-39を遮蔽より突き出して、ブラインドで我武者羅に引き金を引いて数発を撃ち込む。
内、二発ほどがオータント・フォートの巨体表面を掠め傷付けたが。それはオータント・フォートを返って怒らせただけとなり、オータント・フォートは唸り声を上げる。
そしてその怒りを表現するように、再び数発のロケットが近場を掠めて星宇宙の周辺で炸裂した。
「っぁ……チクショウ……ッ!」
攻撃に悪態を吐きながら、星宇宙は一度L-39を引き込んで寄せ。
遮蔽する花壇に背を預けながら、その20mm砲弾の収まる大きな弾倉を交換する再装填行動を行う。
「星ちゃんっ!これまずいかも……っ!ピンチかもっ!」
モカのほうからも、切羽詰まった色での声が寄越される。
モカは星宇宙と同じように、MG34だけを突き出して照準など度外視のブライド射撃で、なんとかオータントたちに対抗している。
ファースはその流石ToBと言える俊敏な動きで、一瞬の隙を利用して向こうのオータントを一体、また一体と仕留めるが。
しかしオータントたちの火力は圧倒的であり、こちらの状況不利は明確であった。
「無理して頭を上げるなッ!なんかっ……なんか考えるッ!」
それに、訴えと知らせる言葉を張り上げ返す星宇宙。
「ッ、どうする……なんかっ、なにか策は……ッ!」
しかし、モカたちを少しでも安心させようと発したはいいものの。
現状、自分等は敵と比べて物理的な面で圧倒的に不利。このイレギュラーを乗り越える、一発逆転の策はそう簡単には多い浮かばない。
下手に身を晒して集中砲火でも食らえば、今纏う高防御のMODバニースーツでさえ、持って数秒であろう。
「ッぅ……!」
万事休すか。そんな考えすら浮かぶ星宇宙。
――しかし、その星宇宙が。オータントたちの攻撃の音の中に、別種の何かの音を捉え聞いたのはその時であった。
「――ッ!」
それは、何か羽ばたきに似た音。しかしそれは次第に、加速度的に大きくなり連続的な轟音へと変わる。
同時に、背後上空を見上げた星宇宙が目に捉えたのは、駐車場の向こうに広がる大空の中に。大空を背景にする二つの何かのシルエット。
直後、そのシルエットの一点から小さく何かの光が瞬き。かと思った次の瞬間には、何かが白煙を吐いて独特の音を立てて、星宇宙の真上上空を高速度で通過。
――そして、背後で爆音が上がった。
「ッぅ……!?――!」
それに一瞬身を竦ませ。しかし次には振り向き遮蔽より視線を出して、その向こうを見る星宇宙。
そして目に飛び込んで来たのは、大きな爆炎に包まれ身を焼かれる、オータント・フォートの姿だ。
「これは……ッ!」
光景、突如の事態現象に驚きつつも。しかし星宇宙はその正体に思い当たる節があり、声を零す。
瞬間、星宇宙の真上を轟音を立てて。二つのシルエットが立て続けに飛び抜けた。
「!」
視線をまた別方に上げて、飛び抜けた物体を追いかける星宇宙。
目に映ったそれは――航空機。
正確にはヘリコプター。
大きな二重反転ローターを機上に備え、それをエンジンで回して揚力を得る回転翼機。
そのローターにより浮かび運ばれるは、堅牢な装甲を備える機体胴体。その機首や大きなスタブウィングには、チェーンガンやミサイル等といった凶悪な得物を備えている様子が見える。
そして何より、その胴やスタブウィングに描かれるは――ToBの記載を伴うエンブレム。
「やっぱり……――ToBの〝ストライク・ヴァルチャー〟ッ!」
飛び抜け、旋回行動を始めていたそれを見て、確信を得て発する星宇宙。
その言葉のまま。現れた二機のヘリコプターは、ファースの所属であるToBの機体であった。
そのストライク・ヴァルチャー(以降SV)と呼んだ二機のヘリコプター。作中では正式には戦闘降下ヘリコプターと呼称される、ヘリボーン作戦用である二機は。
旋回から散会し、戦闘行動を開始。地上のオータントの一団に、備える25mmチェーンガンを用いての容赦の無い掃射、航空攻撃を開始する。
「ハハっ、ハンパねぇッ」
思わぬ増援、味方の到着に。その見せつける雄姿に、上ずった声を上げてしまう星宇宙。
「っ!」
しかし。星宇宙が地上の向こうに、別の不穏な動きを感じ見止めたのはその時。
見れば、SVの対戦車ミサイル攻撃によって焼かれたはずのオータント・フォートは。しかしその身を痛ましく焦がしつつも、未だに健在で立ち構えており。
次には苦しさと怒りの混じった雄叫びを上げながら、上空のSV機の内の一機を仰ぎ。その腕に備えるミニガンを突き上げ構えたのだ。
「っ!狙いを――ッぅ!」
SV機を狙っている。
それに気づいた星宇宙は、それを阻止するべく跳ね起きる速さで、膝を突き構える姿勢を取り。L-39を遮蔽から突き出し構える。
今にあっては、その照準行動を邪魔するものはいなくなった。
星宇宙が、構えたL-39の照準にオータント・フォートの頭部を捕まえたのは一瞬。
――直後には、そのトリガーが力強く引かれた。
撃ち出された20mm弾はオータント・フォートの眼、眼孔に見事に命中した。
いくらオータント・フォートと言えども、ミサイルに焼かれた瀕死に近い状態で。脆弱なその一点を撃ち抜かれては堪らなかった。
20mm弾は眼を、眼孔を貫通してオータント・フォートの脳へと届き――その内で、炸裂。
オータント・フォートはその頭部頭蓋の一部をその内より爆ぜ損傷させ、脳症をぶちまけ。SV機に向けて突き上げていた、ミニガン装備の片腕をガクンと降ろし垂れる。
そして、一拍の後にはその巨体をグラリと傾け――地面にズシンと土煙を巻き上げ立てて落ち崩れ。
最後には、その大山の如き巨体の一切を動かす事は無くなった。
「――……っァ」
オータント・フォートを仕留め、無力化を確か確認し。
そして周囲に攻撃の脅威の無くなった気配を確認して、星宇宙は遮蔽を解いて立ち上がり、一声を零す。
まずモカとファースのほうを確認すれば。二人も警戒の意識は保ちつつも遮蔽を解いて、一変した周囲の光景を驚きと倦怠感交じりの様子で眺めている。
そして向こうを見れば、新手の重武装のオータントフォートの一団は。しかしSV機からの残酷なまでに強力な航空攻撃の雨によって壊滅。
わずかに残る数体が、逃走を図ろうとしてしかしチェーンガンを背中に浴びせられ、排除されて行く光景が見える。
「――いいトコ持ってかれちまったッ」
その光景を見た後に、星宇宙はL-39を降ろしつつ再び上空を見上げ。上空を旋回、ないし滞空する姿を見せるSV機を目に留め。
ありがたさ半分、やるせなさ半分といった色の言葉を零した。
「ッ!」
それを聞いた星宇宙は、次には遮蔽していた崩落看板を飛び越え。声の方向に向けて駆けだした。
駐車場を駆けてここまで来た道を戻り、モール前広場へと踏み入る星宇宙。
「ッ!?」
そして瞬間、目に飛び込んで来たのは。
今先に自分等も出て来たモールの正面玄関、その壁が上階部分に至るまで崩壊して大穴が開いた光景。
そしてそこより、まさに今踏み出て来たのであろう――二体目のオータント・フォートの巨体であった。
「!――モカ、ファースさん!?」
次には慌て、その近くにカバー配置していたはずのモカとファースの姿を探す星宇宙。
側方、視界の端に動く人影と気配を見て、そちらへ視線を向ければ。
幸いにも健在ではあったが。慌て急く様子で、駆けてオータント・フォートの前より逃げ離脱するモカとファースの姿があった。
「ッ!」
それを見た星宇宙は、直後には要援護の考えを脳裏に浮かべ。
そして瞬間には手中のL-39を腰だめで突き出し構え、オータント・フォートに向けて我武者羅に引き金を引いて、数発を叩き込んだ。
その堅牢な巨体は恐るべきことに20m弾を受け止めて尚、健在の様子を見せたが。
目論見通り、その意識をこちらへ逸らすことには成功する。
そしてチラと再びモカたちの方を見れば、側方の少し離れた所で。二人はモール内を彩っていた大きめの石造りの花壇の影に、飛び越え飛び込み遮蔽する姿を見せた。
「――よしっ!」
二人の退避に少しの安堵を覚えつつ。星宇宙は、再び向こう相対する二体目のオータント・フォートを見る。
「――!?」
そしてしかし直後、星宇宙はそのオータント・フォートが片腕に備えるある〝得物〟の存在に気づき。そして同時にそこより向けられる殺気が星宇宙の本能的危機を刺激して走る。
そこに見えたのは――ミニガン。
7.62mm口径の銃身を束ね、電動で無数の弾丸を打ち出す、凶悪過ぎるガトリング砲。
それを見て、認識した瞬間。星宇宙は地面を思いきり蹴って側方へと飛んだ。
その直後だ。
そのミニガンより吐き出された銃火火線が、まるで豪雨のように注いで襲い来た。
一瞬前まで星宇宙が立っていた地面を、まるで銃弾で耕すかのように壊し削ぎ、荒れ地の様相へと変えて見せた。
「――ッぅ!」
間一髪、それより逃れた星宇宙は。またモカたちと同じように、近場に在った石造りの花壇に転がり込むように飛び込みカバー。
「ッ、冗談……!」
背を預けつつ、一瞬前まで自分が立っていた場所の有様を見て。背筋を寒くしながら一言を零す。
「星ちゃんっ!?」
今の様子がモカたちの側からも見えていたのだろう。モカから星宇宙の身を案じ、尋ねる旨の声が張り上げ来る。
「大丈夫、俺は無事だっ!」
届いた声に、自分は無事である事を張り上げ返しつつ。遮蔽したカバーより視線を最低限出して、様子を伺う星宇宙。
オータント・フォートはモール前広場の中央まで進み出て来て暴れている。
その腕には今に見た通りミニガンが。もう片腕には、航空機等に搭載される無誘導のロケットランチャーポッドまで装備されているではないか。
先の電柱を打撃武器として持っていた一体目と比べて、その攻撃力と脅威度は破格。
そして次にはそれを見せつけるかのように、そのロケットポッドがロケットを撃ち出した。
「ッぅ!?」
撃ち出された数発のロケットは、星宇宙のカバーする花壇の手前で。もしくは頭上を飛び越えて後方向こうで炸裂。
幸い、整備状態が良くないのかその全てはてんでバラバラの個所に着弾。星宇宙に直接の被害はなかったものの。
しかし飛び抜けていったロケットや、近くで巻き起こった炸裂に星宇宙は肝を冷やす。
「おっかな……――おぁッ!?」
ロケット攻撃を凌ぎ、もう一度遮蔽より視線を出して向こうを観測しようとした星宇宙。
しかしその頭上を、ウサ耳を。また斜めの別方向よりの。凄まじい銃火が掠め飛び抜けだしたのはその直後瞬間だ。
「んなッ!?」
慌てて頭を引っ込め。そして姿勢を這うような姿に変えて、花壇の側面から改めて慎重に視線を出す星宇宙。
オータント・フォートより側方の向こう。
そこにまた新手のオータントの一団が見える。オータント・フォートに合流しようと向かっている姿は、疑いようも無く増援のそれ。
そして、問題はその内に見える2~3体。
そのオータント個体が装備するは、マイクロガン。
5.56mm口径の銃身を束ねた電動ガトリングガン、ミニガンのスケールダウン版。しかしその名称に反して、脅威度はえげつないそれだ。
そんな重装備のオータントたちの向けて来る、マイクロガンによる銃火火線が。こちらの周辺を掠め、そして身を隠す花壇を叩いていた。
「ひゃぇーーっ!?」
「掃射を受けている……ッ!頭を上げられないッ!」
向こうからは、モカの悲鳴とファースの張り上げる声が聞こえて来る。
増援のオータントからのマイクロガンの掃射や、暴れるオータント・フォートのばら撒く攻撃に。二人も釘付けにされてしまっている様子であった。
「冗談ッ……ヤロッ!」
状況に、しかしやられっ放しではいられないと。星宇宙はL-39を遮蔽より突き出して、ブラインドで我武者羅に引き金を引いて数発を撃ち込む。
内、二発ほどがオータント・フォートの巨体表面を掠め傷付けたが。それはオータント・フォートを返って怒らせただけとなり、オータント・フォートは唸り声を上げる。
そしてその怒りを表現するように、再び数発のロケットが近場を掠めて星宇宙の周辺で炸裂した。
「っぁ……チクショウ……ッ!」
攻撃に悪態を吐きながら、星宇宙は一度L-39を引き込んで寄せ。
遮蔽する花壇に背を預けながら、その20mm砲弾の収まる大きな弾倉を交換する再装填行動を行う。
「星ちゃんっ!これまずいかも……っ!ピンチかもっ!」
モカのほうからも、切羽詰まった色での声が寄越される。
モカは星宇宙と同じように、MG34だけを突き出して照準など度外視のブライド射撃で、なんとかオータントたちに対抗している。
ファースはその流石ToBと言える俊敏な動きで、一瞬の隙を利用して向こうのオータントを一体、また一体と仕留めるが。
しかしオータントたちの火力は圧倒的であり、こちらの状況不利は明確であった。
「無理して頭を上げるなッ!なんかっ……なんか考えるッ!」
それに、訴えと知らせる言葉を張り上げ返す星宇宙。
「ッ、どうする……なんかっ、なにか策は……ッ!」
しかし、モカたちを少しでも安心させようと発したはいいものの。
現状、自分等は敵と比べて物理的な面で圧倒的に不利。このイレギュラーを乗り越える、一発逆転の策はそう簡単には多い浮かばない。
下手に身を晒して集中砲火でも食らえば、今纏う高防御のMODバニースーツでさえ、持って数秒であろう。
「ッぅ……!」
万事休すか。そんな考えすら浮かぶ星宇宙。
――しかし、その星宇宙が。オータントたちの攻撃の音の中に、別種の何かの音を捉え聞いたのはその時であった。
「――ッ!」
それは、何か羽ばたきに似た音。しかしそれは次第に、加速度的に大きくなり連続的な轟音へと変わる。
同時に、背後上空を見上げた星宇宙が目に捉えたのは、駐車場の向こうに広がる大空の中に。大空を背景にする二つの何かのシルエット。
直後、そのシルエットの一点から小さく何かの光が瞬き。かと思った次の瞬間には、何かが白煙を吐いて独特の音を立てて、星宇宙の真上上空を高速度で通過。
――そして、背後で爆音が上がった。
「ッぅ……!?――!」
それに一瞬身を竦ませ。しかし次には振り向き遮蔽より視線を出して、その向こうを見る星宇宙。
そして目に飛び込んで来たのは、大きな爆炎に包まれ身を焼かれる、オータント・フォートの姿だ。
「これは……ッ!」
光景、突如の事態現象に驚きつつも。しかし星宇宙はその正体に思い当たる節があり、声を零す。
瞬間、星宇宙の真上を轟音を立てて。二つのシルエットが立て続けに飛び抜けた。
「!」
視線をまた別方に上げて、飛び抜けた物体を追いかける星宇宙。
目に映ったそれは――航空機。
正確にはヘリコプター。
大きな二重反転ローターを機上に備え、それをエンジンで回して揚力を得る回転翼機。
そのローターにより浮かび運ばれるは、堅牢な装甲を備える機体胴体。その機首や大きなスタブウィングには、チェーンガンやミサイル等といった凶悪な得物を備えている様子が見える。
そして何より、その胴やスタブウィングに描かれるは――ToBの記載を伴うエンブレム。
「やっぱり……――ToBの〝ストライク・ヴァルチャー〟ッ!」
飛び抜け、旋回行動を始めていたそれを見て、確信を得て発する星宇宙。
その言葉のまま。現れた二機のヘリコプターは、ファースの所属であるToBの機体であった。
そのストライク・ヴァルチャー(以降SV)と呼んだ二機のヘリコプター。作中では正式には戦闘降下ヘリコプターと呼称される、ヘリボーン作戦用である二機は。
旋回から散会し、戦闘行動を開始。地上のオータントの一団に、備える25mmチェーンガンを用いての容赦の無い掃射、航空攻撃を開始する。
「ハハっ、ハンパねぇッ」
思わぬ増援、味方の到着に。その見せつける雄姿に、上ずった声を上げてしまう星宇宙。
「っ!」
しかし。星宇宙が地上の向こうに、別の不穏な動きを感じ見止めたのはその時。
見れば、SVの対戦車ミサイル攻撃によって焼かれたはずのオータント・フォートは。しかしその身を痛ましく焦がしつつも、未だに健在で立ち構えており。
次には苦しさと怒りの混じった雄叫びを上げながら、上空のSV機の内の一機を仰ぎ。その腕に備えるミニガンを突き上げ構えたのだ。
「っ!狙いを――ッぅ!」
SV機を狙っている。
それに気づいた星宇宙は、それを阻止するべく跳ね起きる速さで、膝を突き構える姿勢を取り。L-39を遮蔽から突き出し構える。
今にあっては、その照準行動を邪魔するものはいなくなった。
星宇宙が、構えたL-39の照準にオータント・フォートの頭部を捕まえたのは一瞬。
――直後には、そのトリガーが力強く引かれた。
撃ち出された20mm弾はオータント・フォートの眼、眼孔に見事に命中した。
いくらオータント・フォートと言えども、ミサイルに焼かれた瀕死に近い状態で。脆弱なその一点を撃ち抜かれては堪らなかった。
20mm弾は眼を、眼孔を貫通してオータント・フォートの脳へと届き――その内で、炸裂。
オータント・フォートはその頭部頭蓋の一部をその内より爆ぜ損傷させ、脳症をぶちまけ。SV機に向けて突き上げていた、ミニガン装備の片腕をガクンと降ろし垂れる。
そして、一拍の後にはその巨体をグラリと傾け――地面にズシンと土煙を巻き上げ立てて落ち崩れ。
最後には、その大山の如き巨体の一切を動かす事は無くなった。
「――……っァ」
オータント・フォートを仕留め、無力化を確か確認し。
そして周囲に攻撃の脅威の無くなった気配を確認して、星宇宙は遮蔽を解いて立ち上がり、一声を零す。
まずモカとファースのほうを確認すれば。二人も警戒の意識は保ちつつも遮蔽を解いて、一変した周囲の光景を驚きと倦怠感交じりの様子で眺めている。
そして向こうを見れば、新手の重武装のオータントフォートの一団は。しかしSV機からの残酷なまでに強力な航空攻撃の雨によって壊滅。
わずかに残る数体が、逃走を図ろうとしてしかしチェーンガンを背中に浴びせられ、排除されて行く光景が見える。
「――いいトコ持ってかれちまったッ」
その光景を見た後に、星宇宙はL-39を降ろしつつ再び上空を見上げ。上空を旋回、ないし滞空する姿を見せるSV機を目に留め。
ありがたさ半分、やるせなさ半分といった色の言葉を零した。
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