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Chapter5:「ワン モア プレイヤー」
Part33:「新たな主人公」
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「え、ぁ……!」
思わぬ、いや実は少なからずの想像はしていたが。しかしそれでも驚くべきヴォートからの発言に、星宇宙は少なからず困惑する。
「クロンス・タウンを通過しようとしていた所を見るに、〝メインクエストに沿って〟RPと合流しようとしていた所かな?」
その星宇宙の様子を見ながらも、ヴォートはさらに言葉を続ける。
「〝MOD〟装備が充実しているね。私はいくらか整理して減らしてしまった状態で〝この世界に飛ばされた〟から、うらやましいよ」
「あ、あなたは……」
さらに続けられた、「ゲーム中のキャラクター」であれば知りえない事に触れる言葉。
それに星宇宙は驚愕しつつ、探る言葉を返す。
「ヴォート ドーン少佐――というのは、〝この体、キャラクターになった時〟にすでにあった名前だった」
それに、ヴォートは静かに明かす言葉を紡ぐ。
「越結 寿有亜――というのが自分の本名だ。日本人で、君と同じTDWL5のプレイヤーだよ――」
そしてヴォート――寿有亜の口から紡がれたのは、そう明かす言葉であった――
驚く星宇宙等に、詳細が語られた。
ヴォート ドーン少佐――と言うキャラクターとなった、本名は越永 寿有亜という人物が彼のその正体だと言う。(以降もヴォート表記で継続)
聞くに、星宇宙(星図)より2~3つ程年上の三十路越えの男性。容姿は、彼にあっては今に見える姿と全く同じとの事。
彼がこのTDWL5の世界に転移したのは、ゲーム中時間で今より数週間前。現実時間でおそらく一週間ほど前。
なかなかのヘヴィユーザーであるらしき彼は、その日はまた新たな周回プレイを始めようとTDWL5を起動。
しかしその際に、星宇宙の身にあった時の動揺、意識が遠のき。
次に意識が覚醒した時には、このゲーム中世界に身を置き。そしてヴォートの姿に、その身分背景の記憶を伴いなっていたらしい。
これにあっては、元よりプレイヤーの初期の身分出自・ゲームスタート地点を変更する大型拡張MODを導入しており。その効果・設定が反映されたものらしいとの話であった。
そして、驚愕していた彼の元に来たのが。件の謎の存在、「FLH」からのコンソールによる導きのための呼びかけ。
それにあっては細かくは異なるが、大筋は星宇宙等にあった呼びかけと同じ。漠然とクエストを進め「次を目指す」事を促す、大雑把なものであったと言う。
「……俺だけじゃ、なかったのか……」
「ほぇー……」
「自分も同じく、驚愕しているよ」
そこまでを聞き、驚きの言葉を零す星宇宙とモカに。ヴォートは同意の言葉をしかし静かに返す。
「じゃあ、彼女も同じ……?」
「あぁ、そうだ」
続けて、ヴォートの背後で立つヨロズの姿を見て探る言葉を零した星宇宙に。ヴォートは肯定の一言で返す。
ヨロズにあっては、星宇宙側のモカの事情とおおよそは同じ。
元よりヴォート(寿有亜)の所有するPCにインストールされていたのが彼女。それが、ヴォートがこのTDWL5で目覚めた時には、その姿と自我といくらかの記憶知識を携え、一緒に在ったらしい。
そして、彼がこのゲーム世界に転移して以来の数週間。行動を共にしてきたのだと言う。
「自分一人では、もっと動揺して二進も三進もいかなくなっていただろう。彼女には救われたよ」
「はんっ、こっ恥ずかしい事を平気でよく言う」
淡々とヨロズに向けての感謝の意を述べて見せるヴォート。
それに背後のヨロズは少しぶっきらぼうに、そして面映ゆそうに発する。
「……」
《マジか……》
《驚き……》
判明した事実を飲み込みつつ、しかしこのゲーム世界に自分と異なる「プレイヤー」がまた存在していた事に、驚きを隠せない星宇宙。
そしてそれに同調するように、コメント欄に視聴者の皆のコメントが続々と流れる。
「そちらのコメント欄は、賑やかそうだな」
「え?」
そこへヴォートがそんな言葉を挟んだのはその時であった。
不思議に思う声を上げた星宇宙に。ヴォートはその意図を行動で回答するように、手元指先を軽く動かす。
ヴォートの手元に、小さなウィンドウスクリーンが投影されたのはその瞬間だ。
「ウチの方はメンバー、ある程度知っている人限定で。状況報告的に使ってるだけだから、静かなモンでね」
そう、投影されたウィンドウはコメント欄。
《ヴォートさん以外にもう一人のプレイヤー登場とは、びっくり》
《まぁ、可能性としてはあったよね》
《星宇宙さん、かわいいね》
ヴォートが翳し見せてくれたそこには、「向こう側の視聴者」のコメントがポツポツと流れている。
「……」
それを見て、ヴォートと自分の境遇の共通性から、また驚きの思いを内心に浮かべる星宇宙だった。
それから。ヴォートからの「良ければ君等についても聞かせてほしい」という要請に答え。
星宇宙は自分の身にあった事、ここまでの経緯・旅路をかいつまんでヴォートに説明。
合わせて、お互いの状況・都合の確認、すり合わせを行った。
「――成程。やはり示された指針は同じか」
一連の流れを聞き、それからヴォートは零す。
言及されたのは、お互いに呼び掛けて来た謎の存在――FLH。その彼(彼女?)によって示された、このゲーム世界での行動指針について。
星宇宙、ヴォートのどちらも。そのFLHによって示された指針は、漠然とゲームクリアを目指すよう導くものであった。
「この世界はただのゲーム世界じゃないみたいだ、色々イレギュラーがある。想像でしかないけど――そのFLHは、そんなこの世界で俺等に「何か」を解決させたいんじゃないかな……?」
星宇宙は、自分でも漠然とした推察と分かりながらも。そんな想像の言葉を紡ぐ。
「推察できるのは、そんな所だろう」
それにヴォートも、考えを同じくする言葉を返した。
「――君との邂逅は、予期せぬ事だった。偶然が必然かは知る由も無いが――」
それからヴォートは少し居住まいを正し、そして。
「君さえよければ、私は君の力を借りたいと考えている――」
星宇宙を見つめ、そう言葉を切り出した。
思わぬ、いや実は少なからずの想像はしていたが。しかしそれでも驚くべきヴォートからの発言に、星宇宙は少なからず困惑する。
「クロンス・タウンを通過しようとしていた所を見るに、〝メインクエストに沿って〟RPと合流しようとしていた所かな?」
その星宇宙の様子を見ながらも、ヴォートはさらに言葉を続ける。
「〝MOD〟装備が充実しているね。私はいくらか整理して減らしてしまった状態で〝この世界に飛ばされた〟から、うらやましいよ」
「あ、あなたは……」
さらに続けられた、「ゲーム中のキャラクター」であれば知りえない事に触れる言葉。
それに星宇宙は驚愕しつつ、探る言葉を返す。
「ヴォート ドーン少佐――というのは、〝この体、キャラクターになった時〟にすでにあった名前だった」
それに、ヴォートは静かに明かす言葉を紡ぐ。
「越結 寿有亜――というのが自分の本名だ。日本人で、君と同じTDWL5のプレイヤーだよ――」
そしてヴォート――寿有亜の口から紡がれたのは、そう明かす言葉であった――
驚く星宇宙等に、詳細が語られた。
ヴォート ドーン少佐――と言うキャラクターとなった、本名は越永 寿有亜という人物が彼のその正体だと言う。(以降もヴォート表記で継続)
聞くに、星宇宙(星図)より2~3つ程年上の三十路越えの男性。容姿は、彼にあっては今に見える姿と全く同じとの事。
彼がこのTDWL5の世界に転移したのは、ゲーム中時間で今より数週間前。現実時間でおそらく一週間ほど前。
なかなかのヘヴィユーザーであるらしき彼は、その日はまた新たな周回プレイを始めようとTDWL5を起動。
しかしその際に、星宇宙の身にあった時の動揺、意識が遠のき。
次に意識が覚醒した時には、このゲーム中世界に身を置き。そしてヴォートの姿に、その身分背景の記憶を伴いなっていたらしい。
これにあっては、元よりプレイヤーの初期の身分出自・ゲームスタート地点を変更する大型拡張MODを導入しており。その効果・設定が反映されたものらしいとの話であった。
そして、驚愕していた彼の元に来たのが。件の謎の存在、「FLH」からのコンソールによる導きのための呼びかけ。
それにあっては細かくは異なるが、大筋は星宇宙等にあった呼びかけと同じ。漠然とクエストを進め「次を目指す」事を促す、大雑把なものであったと言う。
「……俺だけじゃ、なかったのか……」
「ほぇー……」
「自分も同じく、驚愕しているよ」
そこまでを聞き、驚きの言葉を零す星宇宙とモカに。ヴォートは同意の言葉をしかし静かに返す。
「じゃあ、彼女も同じ……?」
「あぁ、そうだ」
続けて、ヴォートの背後で立つヨロズの姿を見て探る言葉を零した星宇宙に。ヴォートは肯定の一言で返す。
ヨロズにあっては、星宇宙側のモカの事情とおおよそは同じ。
元よりヴォート(寿有亜)の所有するPCにインストールされていたのが彼女。それが、ヴォートがこのTDWL5で目覚めた時には、その姿と自我といくらかの記憶知識を携え、一緒に在ったらしい。
そして、彼がこのゲーム世界に転移して以来の数週間。行動を共にしてきたのだと言う。
「自分一人では、もっと動揺して二進も三進もいかなくなっていただろう。彼女には救われたよ」
「はんっ、こっ恥ずかしい事を平気でよく言う」
淡々とヨロズに向けての感謝の意を述べて見せるヴォート。
それに背後のヨロズは少しぶっきらぼうに、そして面映ゆそうに発する。
「……」
《マジか……》
《驚き……》
判明した事実を飲み込みつつ、しかしこのゲーム世界に自分と異なる「プレイヤー」がまた存在していた事に、驚きを隠せない星宇宙。
そしてそれに同調するように、コメント欄に視聴者の皆のコメントが続々と流れる。
「そちらのコメント欄は、賑やかそうだな」
「え?」
そこへヴォートがそんな言葉を挟んだのはその時であった。
不思議に思う声を上げた星宇宙に。ヴォートはその意図を行動で回答するように、手元指先を軽く動かす。
ヴォートの手元に、小さなウィンドウスクリーンが投影されたのはその瞬間だ。
「ウチの方はメンバー、ある程度知っている人限定で。状況報告的に使ってるだけだから、静かなモンでね」
そう、投影されたウィンドウはコメント欄。
《ヴォートさん以外にもう一人のプレイヤー登場とは、びっくり》
《まぁ、可能性としてはあったよね》
《星宇宙さん、かわいいね》
ヴォートが翳し見せてくれたそこには、「向こう側の視聴者」のコメントがポツポツと流れている。
「……」
それを見て、ヴォートと自分の境遇の共通性から、また驚きの思いを内心に浮かべる星宇宙だった。
それから。ヴォートからの「良ければ君等についても聞かせてほしい」という要請に答え。
星宇宙は自分の身にあった事、ここまでの経緯・旅路をかいつまんでヴォートに説明。
合わせて、お互いの状況・都合の確認、すり合わせを行った。
「――成程。やはり示された指針は同じか」
一連の流れを聞き、それからヴォートは零す。
言及されたのは、お互いに呼び掛けて来た謎の存在――FLH。その彼(彼女?)によって示された、このゲーム世界での行動指針について。
星宇宙、ヴォートのどちらも。そのFLHによって示された指針は、漠然とゲームクリアを目指すよう導くものであった。
「この世界はただのゲーム世界じゃないみたいだ、色々イレギュラーがある。想像でしかないけど――そのFLHは、そんなこの世界で俺等に「何か」を解決させたいんじゃないかな……?」
星宇宙は、自分でも漠然とした推察と分かりながらも。そんな想像の言葉を紡ぐ。
「推察できるのは、そんな所だろう」
それにヴォートも、考えを同じくする言葉を返した。
「――君との邂逅は、予期せぬ事だった。偶然が必然かは知る由も無いが――」
それからヴォートは少し居住まいを正し、そして。
「君さえよければ、私は君の力を借りたいと考えている――」
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