約束の果てに

秋月

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*深まる想い

深まる想い#4

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結局その日は祐哉さんの居る病院を見つけることは出来なかった

蓮「ふわぁ…流石に疲れた…
こんなに電話かけまくったの初めてだよ…」

桜「お疲れ様蓮
ごめんね、私ももっと手伝えたらいいんだけど…
1人で電話するの大変でしょ?
それに私にも出来たらもっと早く見つけられてたかも知れないのに…」

落ち込む桜
桜が電話をかけることは実は可能なんだけど、やっぱり霊だから相手にその声を届ける事が出来ない
どんなに桜が必死に訴えても、霊感がない人には只の無言電話や悪戯電話になってしまう

蓮「そんなことないよ
桜が病院の電話番号調べてくれるだけで結構楽だから
そんな細かい文字ずっと見てたら目が疲れそうだもん」

桜「これくらい御安いご用だって」

そうはにかみながら桜が私の頭を撫でてくれた

蓮「桜がこんな風に頭撫でてくれたの久し振りかも」

桜「頑張った子はいたわってあげないとね」

蓮「ありがとう桜」

桜「てゆうか当の本人が一番何もしないってどうゆうことよ!?
あんた!面倒な事は全部私達に丸投げして何、自分の部屋のようにくつろいでんの!?」

祐哉「だって俺にできること無さそうだし?
それに意外と漫画が面白くてつい没頭しちゃった♪」

自分の事なのにこの人危機感無さすぎ…
正直桜と同じ様にこの人の態度には…少しだけイラッとする…
まぁ、でも漫画に没頭していてくれたお陰で静かで良かったけど…

桜「今日はこのくらいにしておこ?」

蓮「そうする~」

祐哉「蓮ちゃん俺の為にお疲れ様♪
俺もいいこいいこしてあげるよ♪」

蓮「結構です」

桜「蓮に近づいたら容赦しないから!」

睨みを利かす桜に祐哉さんは少ししょんぼりしていた
そして20時過ぎに琉から電話がかかってきた

桜「あんた今度は黙ってなさいよ
蓮達の電話の邪魔したら喋った文字の数だけ殴ってやるから」

祐哉「桜ちゃん怖…」

桜が祐哉さんを押さえ付けてくれてるのを確認して私は少し安心して電話に出た

蓮「もしもし」

琉「今やっと務めも果たして落ち着いたとこ
もう少し早く連絡しようと思ったんだけど悪いな、遅くなって」

蓮「ううん、連絡くれただけで嬉しい
お務めお疲れ様」

琉「ん、そっちはどうなった」

蓮「片っ端から病院に電話かけてみたんだけど見つからなかった…
こんなに沢山電話かけたの初めてで少し疲れたかな」

琉「大丈夫なのか?体調は?」

蓮「今の所、全然平気
桜も手伝ってくれてるし、明日も頑張るよ」

琉「…お前が責任負うことはないんだ
どうしても無理なら投げ出していい
俺がそっちに帰ったら解決してやるから」

琉…

蓮「ありがとう琉…
それより…なんか琉も疲れてる?」

喋り方というか声のトーンというか…なんか疲れているような気がする

琉「あー…、まぁ初日から結構な数を相手にしたからな
それなりに疲れたな」

え、初日からそんなに過酷だったの…!?

蓮「琉こそ大丈夫なの?怪我してない?」

琉「そんなやわじゃないって
俺1人でやってる訳じゃないし、心配ない」

蓮「そ、そっか…良かった」

琉「俺ももう休む
お前もしっかり休めよ
体への負担はなるべくかけないようにしろ」

蓮「うん」

琉「…そいつは今そこにいるのか?」

蓮「え?うん、一応…桜に睨まれて萎縮してるけど…」

琉「桜と変われるか?」

蓮「え?分かった…
桜、琉が変わってって」

桜「え?私?」

私が携帯を渡して、琉と話し始めた桜
何か用事でもあったのかな…

祐哉「君のお姉さん怖すぎるよ…」

蓮「祐哉さんがおふざけするからですよ」

何話してるのかな…

桜「あ、ちょっと琉…!?」

蓮「どうしたの桜?」

桜「琉ってば蓮にお休みくらい言えば良いのに切りやがったわ」

ぷんぷんと怒る桜

蓮「琉と何話してたの?」

桜「ん?うーん…簡単に言うと蓮の事任せたぞって話♪」

蓮「それだけ?」

桜「それだけ♪」

なんかやたらニコニコしてるけど…?
まぁ、いっか

蓮「琉、心配しすぎな気がする…」

桜「するに決まってるでしょ~
さ、明日も捜索しなきゃいけないんだし、さっさと寝るよ」

蓮「うん」

祐哉「蓮ちゃん寝るの?
じゃあ安心して眠れるように俺が添い寝してあげるよ♪」

調子よく話す祐哉さんの頭を桜がとうとうひっぱたいた

祐哉「痛いよ桜ちゃん!暴力反対!」

桜「可愛い子ぶらないでよ、気持ち悪い
大体安心出来るわけないでしょ!?
蓮が眠ってる間は一切蓮に近づけさせないし、蓮の寝顔だって見せないんだから!
あんたは朝まで私と部屋の外で待機!
蓮、こいつは私が責任もって見張っておくから安心して休みなさいよ?」

祐哉「え、何?もしかして桜ちゃんが俺の相手してくれるの?
これは熱~い夜になっちゃうかも?」

その一言に強気の桜も思わずゾワッと鳥肌がたったみたいだった

蓮「桜に手を出したら…怒る」

祐哉「あ…蓮ちゃんマジギレっぽそう…」

蓮「祐哉さんの体が見つかったら、体に戻る前にお見舞い渡さなきゃね」

私が笑顔を見せてそう言うと祐哉さんは嬉しそうな顔をした

祐哉「えっ、お見舞いって蓮ちゃん何かくれるの?」

わくわくしてる祐哉さんに私は笑顔で答えてあげた

蓮「うん、口いっぱいにわさびのお土産あげるね」

祐哉「え」

桜「蓮を怒らせると怖いんだからね?」

蓮「それじゃぁ、祐哉さん、朝まで大人しくしててくださいね」

桜「ゆっくり休みなさいね、お休み」

蓮「おやすみなさーい」

脅しのお陰か桜のお陰か、私はぐっすり安心して朝を迎えることが出来た
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