うちの妻はかわいい~ノンケのガチムチ褐色が食われる話~

うめまつ

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第一章※本編

18

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患者の引き取りと聞いてはっとした。

「もしかして、子供の患者。移民の子のことか?」

「ああ、旦那様から手紙でな。領内で引き取れないかと問い合わせが来て、引き取りに来た。今から会えるか?」

「いや、少し離れた役所に預けてる。今からじゃ遅い。」

急いで出発しても昼勤務の所長がいない。

勝手に引き取りはできない。

「じゃあ、明日な。暇はあるか?」

「いや、仕事だ。すまない。」

「まあ、いい。勝手に行くよ。紹介を書いてくれ」

「わかった。少し待っててくれるか。部屋で書いてくる。」

「ムスタファ、座っててください。大丈夫ですよ。」

マックスが持ち運びの羽ペンとインク、便箋をテーブルに並べた。

「ここで良いぞ。」

ドルが顎をしゃくる。

「用意が良い。」

「マックスは賢いからな。」

感心すると自慢気にドルが微笑んだ。

「さすが、俺の弟弟子だ。」

肩を叩くと恥ずかしそうに笑った。

「マックスはすごいもんね?私の自慢のお医者様だよ。」

笑うお嬢様は頭を撫でると、恥ずかしそうにしていた。

「だぁい好き。」

目を細めて笑うお嬢様につられて自分もだと答えた。

四人でチョコレートを摘まんで談笑したのち、宿まで送った。

「出発は?」

「お嬢様がいるから急ぎ戻りたい。あとは患者の容態次第だな。お前も最後に挨拶をしたいだろ?」

微笑みを浮かべて頷く。

「引き取るにしても、あの子の将来は?」

大事なことだというのに、失念していた。

ドルに任せれば大丈夫と気が大きくなっていた自分に恥じる。

「さあな。だが、何かしらある。お前くらいの能力があるなら俺の侍従にしてもいい。」

「私のお友だちにするの。ねー、マックス?」

「ふふ、それも良いかもしれませんね。お嬢様。」

やはり、まだ二人とも幼い。

「…夢物語だよな。現実的じゃない。」

「ん?大丈夫だろ?」

「あ?なんで?身分とか無理だろう?」

色も。

あの子は俺と同じ色。

行く宛が狭まるはずだ。

「今は別邸がある。そこで領内の病人の治療で人手はいくらでもほしい。世話人も必要だ。そちらで下働きも出来る。心配するな。安心して送り出せ。また困ったらこっちに送れ。」

心強い言葉に目頭が熱い。

「ありがとう。」

「お前は医者だ。悩まず治療すれば良い。気にするな?」

「ぐす、はい。」

また泣けてきた。

「ムスタファ、安心してね。私がお仕事いーっぱいがんばるから。たくさん雇ってあげる!いっぱい助けてあげてよ?」

「ふ、く、頼もしい。」

「うちの家族も雇ってもらってます。面倒見が良いので、ちゃんと可愛がりますよ。」

「お前なら信用できる。すごいよ、マックスは。世話が上手だから。」

幼いお嬢様のお相手はこいつしか出来なかったろう。

きっとどの子にも優しく接する。

メソメソして申し訳ない。

だが、往来の人目も気にならず、泣きながら3人に頭を下げて感謝した。

下げていたらお嬢様が頬に頬を当てて抱き締めてくれた。

「ムスタファはね、一人の命を救ったんだ。私の自慢のお医者様。大好きだよ?」

「ああ、本当に。…光栄でございます、お嬢様。…私は幸せです。」

帰る前にまた会う約束をして寮に戻った。

幸せだと思った。

食堂でアルグスとコンドラットに顔の腫れに気づかれて、目が赤いと絡まれた。

「女にでもフラれたか?はは、色男が台無しだな。」

笑うアルグスと睨むコンドラットを一瞥して、笑った。

「いや、告白されたよ。」

大切なお嬢様に。

今も自慢のお医者様と。

大好きだと。

初めてこいつらに柔らかく笑った。

ちょっかいかけられても気にならないほど舞い上がってる。

「は?」

怪訝に見つめられても口許がにやける。

さっと口許を手で覆って隠した。

「無駄だ。今は機嫌が良い。」

手を振って二人から離れた。

目を丸くしていただけで引き留められなかった。

フノーにもドルの来訪を伝えた。

ドルと親しくて仲が良かったと聞いている。

伝えるようにドルからも言われていた。

明日は休みだそうで宿に伺うそうだ。

「久々にドルに会いたいですね。相変わらず筋肉ダルマでしたか?」

自分の腕や腹回りをポンポンと叩いて、このくらいと見せて遊びながら伝える。

「はは、君も機嫌が良い。初めてそんな茶化してますね。」

「年下に合わせると、ですね。はは、は。」

「ああ、もしかしてヘーゼルの子も来てたんですか?」

「はい、大きくなってました。」

手で身長を見せると驚いていた。

「へえ、追い越されそうですね。」

「ええ、悔しいですがね。あは、は。」

追い越されても良い。

嬉しいくらいだ。

食堂で飯を食べてると知り合いの団体に囲まれた。

「雰囲気が違う!本当だったんだ!」

「おい!本命に告白されたって本当か?!」

「聞いてないぞ!だれだ?俺達の仲なのに!」

「いや、違うって。そうじゃない。はは、」

何を言われても顔が笑う。

驚くコイツらに詳しく話せと捕まる。

新しく何の話だと人が集まる。

「もう、やめろ。放っておけ。」

それでも口許がゆるい。

「おーい!ムスタファが笑ってるぞぉ!」

「はあ!!?おい、見せろ!」

「褐色の君が?!見たい!」

どやどやと囲まれて騒ぎになり、入り口から隊長らの怒鳴り声も。

「お前ら!喧嘩ならやめろ!」

「何事だ!」

「違いますよ!」

「鉄面皮のムスタファがご機嫌なんです!」

「笑ってます!」

「はあ?」

「本命の恋人が出来たそうです!」

隊員を分けいったうちの隊長が目の前に来た。

「本当だ。笑ってるぞぉ!」

わあーっと食堂が余計に騒がしくなった。

「もう笑ってませんよ。」

「口許がにやけてるぞ。」

慌てて口を手で覆うが、それでも目が笑ってると囃し立てられた。

その様も可笑しくて笑った。

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