うちの妻はかわいい~ノンケのガチムチ褐色が食われる話~

うめまつ

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第一章※本編

27

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朝早くに起きて書類を整える。

あとは受付が開くのを待つだけだ。

書き終わるとイルザンが起きて後ろから覗きこんできた。

「退役の許可が降りたのか?」

耳の横からイルザンの驚いた声がする。

背中にのしかかっていた。

「ああ。」

「聞いてない。」

「昨日、部屋に戻る前に聞いた。」

後ろから顔を両手で挟まれたと思ったら、上を向かされた。

「イルザン、痛い。」

喉が仰け反って苦しい。

「帰るのか?」

「帰る。」

掠れた声しか出ない。

嫌でやめさせようと手を掴むが強く引っ張られた。

「ぐ、」

痛みで呻いた。

「ん、」

荒っぽくキスをされる。

唇を塞がれて文句を言う隙がない。

髪を掴んで引き剥がす。

首をねじってほぐす。

「痛い。やめろ。」

情けない顔を見せるのでため息をついた。

「キスはしていい。痛いのはやめろ。」

そう言うと唇を寄せてきた。

「ん、」

ぺちゃ、とお互いの舌を絡めて遊ぶ。

そろそろ朝飯の時間だと、早めに切り上げた。

「もう行く。」

「早くない?」

「フノーの所へ寄る。飯は先に行け。」

「ああ、場所取っとくよ。」

部屋を出るイルザンを見送る。

「頼む。」

俺は書類を持って医務室へ向かった。

イルザンは気づいてない。

書類を部屋に置きたくなかった。

俺の退役を嫌がるイルザンが信用出来なかった。

最近、何を考えてるのかわからない。

フノーに事情を伝えて提出を頼んだ。

「帰りに出しておきますよ。」

夜勤明けだ。

昼前に帰るはずだ

「お世話になります。」

頭を下げる。

「早く帰った方がいいです。」

「はい。」

「…団長達も、いずれ仕返ししておきます。」

「あ?」

何で知ってる?

何を知ってるのか。

体が強張る。

「見れば分かりますよ。医者ですから。」

ぽいっと小さな軟膏入れを渡された。

「体の重心がずれてます。声も歩き方も。昨日、仕事のあとに団長らに呼ばれたと話していたでしょう?」

「…はい。」

確かに昼にフノーの所へ寄ってから団長の所へ行った。

「今、様子を見ていたら分かるものがありました。…あの、下半身ども。」

めらっと怒りで目付きが変わる。

「これも飲みなさい。喉の腫れに効きます。」

「…はい。」

ずず、と薬湯を飲む。

「軟膏は体の腫れたところに塗りなさい。」

「はい。」

乳首と股間。

腫れてる。

擦れて痛い。

「君が率先して参加したとも思えません。」

「はい。」

「もう少し胸を張って重心の位置を沈めて歩きなさい。体が丸くなってます。恐らくドルなら分かります。…あとは、そう分かる人はいないでしょうね。」

「気を付けます。」

見ただけで分かるのか。

俺には無理そうだ。

食堂で飯を持ってイルザンの隣に座った。

座ると少し腫れた尻に違和感がある。

まわりと話をしていても、時折いつもより低い掠れ声が出る。

こういう気配にバレるのかと考えた。

二、三日して団長らに粉をかけられた。

無下にあしらうがしつこい。

「さっさと退役の承認が出ればやる気になるかもですね。」

「任せろ。」

代償の先払いを求められ、イルザンを理由にその場はさっさと逃げた。

いらんことを言ったかもしれんと後悔した。

イルザンはいら立っている。

「最近、団長達の呼び出し多くない?」

「書類の不備らしい。」

適当に誤魔化す。

「へぇ、…わざわざ団長が?」

「さあな、知らん。」

こっちのしつこさもうんざりした。

退役の話からしつこい。

キスを求める回数もヤりたがるのも増えた。

だが、腹一杯だ。

鬱陶しい。

巡回中に路地に連れ込まれた時は殴った。

「往来でやめろ。」

「痛いぃ。」

「痛くした。」

頬を押さえてるのを睨み付けながら応えた。

「したい。」

懲りずにまだ抱き付いてきた。

頭を掴んで力を込める。

「いだだだ!」

「仕事中だ。やめろ。」

やっと大人しくなって路地から出る。

後ろをとぼとぼと付いてきた。

「部屋でしろ。」

それは止めてない。

好きにさせてる。

なのに外で最近したがるから迷惑だった。

「だって、帰るんだろ。」

「だからなんだ。」

ヤり溜めのつもりなら構う気が失せる。

もごもごと口ごもっている。

知らんふりして足を動かした。

「辞めるなよ。」

「いやだ。絶対に帰る。」

「寂しくなる。」

ばっと振り返って睨む。

「だから、ここにいろってのか。こんなところに。」

犬と呼ばれて身の危険を感じながらか。

冗談じゃない。

「二度と言うな。」

どんな顔していたかはわからない。

見るつもりなどなかった。

どうでもいい。

帰ったら医務室へ行き、またしばらく寝泊まりさせてもらった。

あまり泊まりすぎて副団長に見咎められた。

医務室に向かう途中で止められた。

「また喧嘩か?」

「帰るなとうるさいので。」

「恋人より退役の方がいいか。なんでもいいが部屋でちゃんと寝ろ。」

「申し訳ありません。」

口先だけだ。

言うことを聞くつもりはない。

今夜も医務室を借りるつもりだ。

「それか俺達の仮眠室に来る?ベッドは広いよ。」

顔を寄せて小さくて囁く

「いえ、ケツが大事なんで。」

「喜ばせる自信はあるんだがね。イルザンとは使ってないんだろ。」

「お互い趣味じゃないんですよ。もう行きます。」

嫌になって逃げようとしたが壁に手をついて進行方向を遮られた。

後ろに下がっても腕がある。

黙って睨む。

副団長は俺より少し背が高い。

内心、舌打ちをする。

「通路です。やめてもらえますか?」

「キスでもしたら許してもいいかな。」

「ちっ。」

顔が近づいてくる。

下から逃げたいが、爪先を踏んづけられて動けない。

パウエルとドルの頭突きを思い出した。

減給か、素行不良の減点だ。

やってやろうかと頭をよぎる。

すぐ近くの医務室の扉が、ばんっと強く開いてフノーが出てきた。

「この、下半身が!」

驚く副団長のがら空きの脇腹に拳を叩き込んだ。

「いっ!」

「うちの弟弟子だ!いらんちょっかいをかけんじゃねえ!」

襟首を掴んで派手な音をたてて壁に張り付けている。

「今夜の当直はフノーだったか。ぐっ、」

ぎゅうっと強く絞めている。

苦しがってる。

「怪我して前線を引退したがまだ衰えてねぇぞ。おお?やるか?しばらく大人しくしてたからウズウズしてんだ。」

引っ張って揺さぶる。

その度にガンガンと後頭部が壁に当たっている。

見たことない光景にぽかんと口を開けたまま見つめた。

「減給も減点も怖かねぇぞ。そんなの気にしねぇの知ってんだろーが。おら、おらぁ!」

「ちょ。ちょっと待て!」

「ふざけんなよ。てめえ、こいつに何しやがった?知らねぇと思うか?」

「い、てて!」

前髪を掴んで乱暴に引きずる。

「フ、フノー!ちょ、ちょっと、副団長相手にやり過ぎですよ!」

慌てて肩を掴むとパッと手を離してこっちに向き直った。

目が合うとびびって怯んだ。

「仕返しですよ。このくらい。」

憮然とした様子でいつもの口調。

「あ、ああ。悪かった。そう怒るな。」

「はん、命拾いしたな。ムスタファが辞めたあとに仕掛けるつもりだったんだ。」

「マジかよ、やばかった。」

「団長も機会があれば。若い奴等に発情するなと釘刺しておけ。いいな?」

「分かった。もうしないよ。その、あげた拳を下げてくれ。」

「な、なんでフノーの方が偉そうなんですか?」

「もと、教育係り兼、俺達の先輩だ。しかも、機嫌を損ねると治療を突っぱねられる。」

「治療はしてやる。痛くなるようにな。」

がっと肩を掴んだと思ったら、副団長が痛みで悶えた。

「いて!いててて!やめ!それは!」

「ムスタファ、君も覚えときなさい。急所以外でもこうやって相手の自由を奪う方法があります。…ここの骨の窪み。」

副団長を悶えさせたまま、指で自身の肩へ当てて位置を教えてくれた。

「あ、はい。」

俺も自分の肩を撫でて確認する。

ドル達も、野盗を捕まえた時は実践だからとこうやって教えられていた。

「ここですかね?」

つい、昔の流れで副団長の肩の位置を握った。

「いだだだ!二人がかり!ちょっと待てぇ!」

「あ、すいません。つい昔の流れで。」

パッと手を離して謝る。

それ以来、大人しくなり承認はフノーを通して受け取った。
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