伯爵令嬢、溺愛されるまで

うめまつ

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15、延期

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もうすぐ演奏会でしたが、延期となりました。

社交シーズンに合わせて王都で改めて開催する為、今日もお姉様とお母様が忙しくされてます。

どうやら高位貴族のご令嬢の演奏参加が増えて予定が変わったとか。

お見合いを兼ねて若い貴族子息も沢山招待されるとメイドが話していました。

お姉様が高位貴族の中に混じり演奏するという名誉に、夢物語のようだと感動します。  

「素敵ねぇ…」

本棚に置いている少ない恋愛小説の中から、主人公が初めてのパーティーに感動する場面を何度も読み返しました。

「パーティーってこの本に書いてあるように素晴らしいの?」

側にいたメイドたちに本を見せて問いかけました。
屋敷のパーティーや夜会など私より見聞きしているので、身ぶり手振りを交え、それぞれ話を聞かせてくれました。

「お嬢様もパーティーへ参加されたいですか?」

「もちろん。見てみたいもの。」

まだデビュー前の私は、お母様に連れられて奥様方のお茶会に参加することはありますが、恋愛小説に出てくるようなパーティーに縁はありません。

「お嬢様もそろそろ殿方が気になるお年頃ですものね。」

その一言でメイドたちの熱気が濃くなりました。
好みを聞かれても、お父様や屋敷の者たちしか親しくありませんし、孤児院の男の子たちはお兄さんか弟ような感じがします。
子供の頃から好きなのはタットですが、絵本のドワーフにそっくりだったから、絵に似せてツルツル頭に花冠を乗せたりドワーフの髭みたいに三つあみやリボンを付けたり。
屋敷の中で遊んでくれるタットになついてました。

私の話にメイドたちは納得し、ロットバルト夫人の提案を実践しましょうと意気込んでいます。
今日の午後から行うそうです。

「お嬢様は本当にどんな方と結婚されるのかしら。きっと穏やかな方がお似合いです。」

「でも乗馬がお好きだから騎士の方々みたいに溌剌としたタイプがよろしいのでは?」

「旦那様のように王都でお勤めの方は?」
 
最後にはお嬢様を大事にしてくださる方が1番です、と締めくくりました。

そうですね、私もこんなお転婆を大切にしてくださる方なら嬉しいです。


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