伯爵令嬢、溺愛されるまで

うめまつ

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王都に向かう馬車の中で私ははしゃいでました。

お母様とお姉様、ヨナと複数の侍女は別の馬車に乗って、私は小型の馬車にサラとディーナ3人で乗っています。

お母様たちの馬車より小型というだけで、3人で乗るには十分な広さです。

足を伸ばしたりたまに横になったり寛げました。

こんなに遠くへ出掛けるのは初めてだったので、始終サラとディーナに話しかけます。

「そんなにはしゃいでたら疲れてしまいますよ。」

「無理もありません。リリィ様は初めてですものね。」

「本当は馬に乗っていきたかったのよ。ヨルンガがさすがに無理だって。」

「無理です。おしりが腫れます。」

「デビュタントで恥をかくことになりますよ。」

「あはは、同じことを言われたわ。その代わりに王都に着いたら、ヨルンガが遠乗りに連れていってくれるって。」

「えー!馬は苦手なのに。私は留守番ですか?」

不満げなサラがぷうっとふくれます

「私は行きますからね。私も得意ではありませんが…」

ディーナはやる気があります。

「わかったわ。サラも行かない?護衛が一緒に乗るから大丈夫よ。」

「無理ですよ。私は大きい生き物が怖いんです。」

サラは馬に好かれやすいのですが、すぐかじられるのが嫌で側に寄りません。
ディーナは噛まれそうな時は気配で避けます。
ハムハムの甘噛みくらいなら私は歓迎です。

「リリィ様、そろそろ休憩です。」

お喋りしていたら、馬車の外から声をかけられました。
ヨルンガが馬を並走させて知らせに来たのです。

「わかったわ。」

小窓を開けて返事を返し、脱いだ靴を履いて身支度をします。

「ああ~、ヨルンガ様は本当にカッコいいですねぇ。馬がよくお似合いですぅ。」

「そのヨルンガ様が『貴方のために戻りました。』ですって。おとぎ話ですか。最高ですか。」

「最高ですよー!純愛です!」

きゃーっと二人が騒ぐのを慌てて外に聞こえるからとやめさせます。

「申し訳ありません。ああ!でもヨルンガ様とリリィ様の絡みを見ると興奮してしまいます!」

「ダンスの時も、ヨルンガ様がリリィ様の為に痛みを堪えるお顔が素晴らしくて!」

「いや、あなた。それは変態よ。リリィ様のお耳に妙なことを入れないで。」

急に冷静になったディーナがサラを叱ります。
いつもお互いを、ディーナは恋愛脳でサラは変態と言い合ってます。
あまり聞かない方が良い話らしいですけど。
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