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43、歴史
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「やぁ、リリィ。友達と過ごしているところいいかな。」
「ウォルおじい様。」
ひい御祖母様が従軍した先の大戦で看護を受けた一人です。
ひい御祖母様と所縁のある方で、お年を召しても大きな体躯と鋭い眼差しをお持ちです。
今は好好爺然と穏やかに話しかけてこられました。
先代陛下の側近の一人として参加され、陛下を庇って負傷された聞いております。
戦後は外務大臣として活躍されていたそうです。
引退されてからは年に1度、夏になるとサンマルク領のひい御祖母様のお墓へお参りに来てくださいます。
もうずいぶん前に引退されているので、キース様とご令嬢たちは誰か分からない様子でした。
「今日はぜひお祝いを言いたくてね。」
何人か挨拶したら帰るのでまた後日、屋敷においでとだけ告げて帰られました。
他にも数人、ひい御祖母様と所縁のある方々からお祝いの言葉をいただき、逆に令嬢らしからぬ娘のひい孫と暗に卑しめる方々も少なからずお会いしました。
良し悪しは人のお心1つで変わると考えておりますので、特に気になりません。
ただお一人、ひどい物言いをされる方がおりました。
わざわざ取り巻きをつれて私どもに話しかけ、貴族令嬢の身分で不特定の男の肌に触れたあばずれとひい御祖母様の行動を貶すご令嬢がおられました。
婚姻もしてない殿方の肌にふれるなど私ならゾッとしますと穢らわしいものを見る目付きで蔑みます。
あまりな言い方に周りが唖然となっておりました。
ずいぶん前に亡くなったとはいえ、王家より褒賞を与えられた人物を否定することは不敬に当たるのではないかしらと一人考えていました。
人には向き不向きがありますからと答えれば、男の尻を追いかける才能があるようだと揶揄します。
アンビー様とキース様が諌めますが、相手は私たちより高位のご令嬢でしたので、逆に誰にものを言ってるのかと大変お怒りになりました。
私としては興味深い着眼点なので王家の歴史編纂を行う教授にお知らせするとお伝え致しました。
お姉様の昔の家庭教師であり、私とも面識がございます。
定期的にひいお祖母様の手紙を戦争の研究資料として教授にお届けしています。
ひいお祖母さまのご友人が亡くなられると遺族が遺品整理で発見されたお手紙を我が家に届けられることがあるのです。
ひいお祖母様がお言葉通りのあばずれであれば王家より承認された歴史を覆す大発見でございましょう。
正しい歴史を尊ぶ王家からはお褒めの言葉を頂くかもしれません。
臣民として陛下に事実を述べる義務がございますので、ぜひ証拠は研究資料として提出し、ないのであれば歴史編纂の職員からの調査を受けるように求めました。
もちろん、こちらから口添えをしますと付け足して。
そうつらつらと並べ立てますと、お相手が考えを改めて下さいました。
もし本当なら歴史的大発見に立ち会えたとのにと残念な素振りをしておきました。
万にひとつの可能性もないただ蔑みですし、禍根が残らないようにこのくらい惚けた対応でよろしかと思います。
それにしても本人に関係のない家族を引き合いに非難するのは領内でもよく見る光景ですが、社交界でも同じなのですね。
アンバー様との絡みは恋愛小説のようで興奮しましたが、あのご令嬢は何が目的だったのでしょう?
真意が図りかねて今ひとつ、心踊りません。
「ウォルおじい様。」
ひい御祖母様が従軍した先の大戦で看護を受けた一人です。
ひい御祖母様と所縁のある方で、お年を召しても大きな体躯と鋭い眼差しをお持ちです。
今は好好爺然と穏やかに話しかけてこられました。
先代陛下の側近の一人として参加され、陛下を庇って負傷された聞いております。
戦後は外務大臣として活躍されていたそうです。
引退されてからは年に1度、夏になるとサンマルク領のひい御祖母様のお墓へお参りに来てくださいます。
もうずいぶん前に引退されているので、キース様とご令嬢たちは誰か分からない様子でした。
「今日はぜひお祝いを言いたくてね。」
何人か挨拶したら帰るのでまた後日、屋敷においでとだけ告げて帰られました。
他にも数人、ひい御祖母様と所縁のある方々からお祝いの言葉をいただき、逆に令嬢らしからぬ娘のひい孫と暗に卑しめる方々も少なからずお会いしました。
良し悪しは人のお心1つで変わると考えておりますので、特に気になりません。
ただお一人、ひどい物言いをされる方がおりました。
わざわざ取り巻きをつれて私どもに話しかけ、貴族令嬢の身分で不特定の男の肌に触れたあばずれとひい御祖母様の行動を貶すご令嬢がおられました。
婚姻もしてない殿方の肌にふれるなど私ならゾッとしますと穢らわしいものを見る目付きで蔑みます。
あまりな言い方に周りが唖然となっておりました。
ずいぶん前に亡くなったとはいえ、王家より褒賞を与えられた人物を否定することは不敬に当たるのではないかしらと一人考えていました。
人には向き不向きがありますからと答えれば、男の尻を追いかける才能があるようだと揶揄します。
アンビー様とキース様が諌めますが、相手は私たちより高位のご令嬢でしたので、逆に誰にものを言ってるのかと大変お怒りになりました。
私としては興味深い着眼点なので王家の歴史編纂を行う教授にお知らせするとお伝え致しました。
お姉様の昔の家庭教師であり、私とも面識がございます。
定期的にひいお祖母様の手紙を戦争の研究資料として教授にお届けしています。
ひいお祖母さまのご友人が亡くなられると遺族が遺品整理で発見されたお手紙を我が家に届けられることがあるのです。
ひいお祖母様がお言葉通りのあばずれであれば王家より承認された歴史を覆す大発見でございましょう。
正しい歴史を尊ぶ王家からはお褒めの言葉を頂くかもしれません。
臣民として陛下に事実を述べる義務がございますので、ぜひ証拠は研究資料として提出し、ないのであれば歴史編纂の職員からの調査を受けるように求めました。
もちろん、こちらから口添えをしますと付け足して。
そうつらつらと並べ立てますと、お相手が考えを改めて下さいました。
もし本当なら歴史的大発見に立ち会えたとのにと残念な素振りをしておきました。
万にひとつの可能性もないただ蔑みですし、禍根が残らないようにこのくらい惚けた対応でよろしかと思います。
それにしても本人に関係のない家族を引き合いに非難するのは領内でもよく見る光景ですが、社交界でも同じなのですね。
アンバー様との絡みは恋愛小説のようで興奮しましたが、あのご令嬢は何が目的だったのでしょう?
真意が図りかねて今ひとつ、心踊りません。
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