しがない電気屋のおっさん、異世界で家電召喚ライフしてたら民から神格化され魔王から狙われる

長月 鳥

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おっさんビックリす

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 ステラの元へと案内するインスーラは、無言で不機嫌なままだ。
 正直言って、悪乗りし過ぎた感が否めない。
 俺があいつの立場だったら、好きな人が結婚するってだけで滅入るのに、その結婚相手に“実はお前も好きなんじゃないのか?”なんて言われたら、しばらく立ち直れないだろう。

 「謝るよインスーラ、ちょっと度が過ぎた。本当にすみませんでした」
 「黙れ下郎。私はなにも気にしていない」
 声が怖い……どうすりゃ許してくれるんだろう。
 「そうだぜ、おっさん、まだ完全に魔王様と結婚できると決まったわけじゃないからな」
 「そ、そうなのか?」
 シービーの言葉に、ハッとした。確かに、まだ籍も入れていないし、シービーのことがあってからルクスは顔を見せなくなったし……自分でも恥ずかしいくらい有頂天ってやつだったな、自重しよう。

 「あそこだ」
 シービーの話しが続いている間に、インスーラが遠くを指差した。
 そこを薄目で見ると、確かにステラの姿が確認できる。その隣に居るのはオークっぽい魔物か? あんなのに捕らわれて来たのか……怖かったろうに。

 「だからよ、おっさんと魔王様は釣り合ってないんだって」
 シービーも相変わらず俺とルクスの結婚には反対のようだ。
 「まぁ俺もそう思うんだけどよ……でも、ルクスは本気なんだぜ? 魔王領のために……」
 考えてみれば、俺のことが好きなんじゃなくて、魔王領を立て直したいからなんだよな……手助けはしたいけど、やっぱり無理がある気がする……急いで結婚しなくても俺に出来ることならなんでも手伝うのに。

 「電次郎さんっ」
 「ようステラっ、元気だったか? つーかなんでこんな所来たんだよ」
 「そ、それは……」
 ステラが隣のオークを見て口籠んだ。
 
 「うわっ、おっさんやっぱりロリなんとかってヤツじゃねぇかよ」
 「黙れビーシー、ステラは学友だ」
 「そんなこと言ってよぉ、やっぱおっさんと魔王様の結婚は反対だな。こんな変態に任せられるわけがねぇ」

 「電次郎殿が結婚だとっ」

 俺とシービーの会話に、聞き覚えのある声がどこからともなく紛れ込んできた。

 「バカっ、お前、まだ動くなっ」
 この野太い声も聞きおぼえがあるぞ。

 「しかし、電次郎殿は私の夫となる身だ。誰にも渡せん」
 「知らねぇよ」
 間違いない。この声はクレアとサンダルだ。
 姿が見えないのに声だけ聞こえる。

 幻聴かと思ったが、インスーラにも聞こえたらしく、腰に据えた長剣に手を添えて身構えた。

 「姿を現せっ、さもなくばオーク諸共皆殺しだ」
 インスーラが俺とシービーを背にして叫んだ。
 味方のオークを犠牲にして、ステラの居る付近を全て攻撃対象にする気か?

 「くっ、これまでか」
 「お前、俺様にあんだけ自重しろっつっといてコレかよ」
 「……電次郎殿の結婚と聞いて黙っていられるか」
 「しかたねぇ、目的の電次郎も見つけた。隠密は終わりだ。インスーラをぶっ倒してココを離れるぞ」
 「うむっ、電次郎殿をここへは置いてゆけぬ理由がもう一つできた。ここは強硬派のお前に賛同しよう」
 「お前が先に身バレしたっていうのによぉ……まぁいいか、確か透明化を解除する方法はっと」
 サンダルがそう言い放った瞬間、ステラの背後に懐かしい二人が現れた。

 「クレア、サンダルっ、久しぶりだなぁ……ってお前たち、何しにここへ?」
 流石に、ミカちゃんなら俺が攫われたことに気付いているか……でも、自分の意志で留まっているんだよな。
 
 「助けに来ましたよ電次郎さんっ」
 なぜかまったく関係のないオークが、俺の名前を読んだ。と思ったら、オークの姿が徐々に薄くなり、代わりに現れたのはジェダくんだ。

 「どうなってんだこりゃ……」
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