しがない電気屋のおっさん、異世界で家電召喚ライフしてたら民から神格化され魔王から狙われる

長月 鳥

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おっさん奮起す

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 ──クラス対抗、魔法競技大会。
 春、夏、冬。年三回の恒例行事が開催されることを最近知らされた──というか、一年が十二ヵ月で季節も元の世界と変わらないってのも初めて知った。
 各クラスから七名を選抜し、魔法を使った競技で競い合う祭典。開催期間は驚きの五日間……まぁ魔法を学ぶ場所だから、その能力を存分に出し合って競うのは理にかなってる。
 しかも、成績次第ではクラスのランクが上がるらしい。
 これは好都合だ。なんてったって、うちのZクラスは最下位。上がる未来しかないわけで。
 ランクが上がれば、学習環境や生活面で色々とグレードアップするらしい。自習ばっかの講師じゃなく、マンツーマン指導が当たり前。寮も一人部屋、食事は売店飯じゃなくて栄養バランスを考えた学食が使えるようになる。
 上のランクになれば、専属のシェフが付くこともあるとか。これは本気で取りにいく価値がある。
 きっとクラスメイト達のやる気も……

 「はぁ~またこの時期か~、憂鬱だな~」  「わたし、今回は絶対に出ないからね」  「俺も出ない。つか一週間学校休む」
 ……テンション爆上がりどころか、地の底まで沈んでた。

 「もしかして、前回の大会の成績って?」
 俺は前の席のスイランの肩を叩いた。
 「電次郎さん、僕らがZクラスってことは……そういうことですよ」
 「……なるほどな」
 「この競技大会では、上位十五クラスと下位十五クラスの対抗戦形式です。表向きは切磋琢磨ですが、下位クラスが勝ち上がれる仕組みではありません」
 「でも、やってみないと分かんねぇだろ?」
 「上位クラスの半数はエルフ族。他にも半魔と呼ばれる魔族のハーフもいます。魔力量、精度、全てが段違いです。努力だけではどうにもならない領域なんです」
 スイランの口調は淡々としていたが、その目には悔しさが滲んでいた。

 「にゃーは出るにゃ」
 ライミが勢いよく手を挙げた。さすが獣人族、血気盛ん……でも。
 「大丈夫なのか、ライミ。戦うの、嫌なんじゃ?」
 「ん~、そうだけど、やっぱり血が騒ぐにゃ」
 「そうか……お父さんも喜びそうだな」
 「にゃ」
 ライミは照れたように小さく拳を握った。

 「おーっほっほっほ! 早速参りましたわね、この最下位からの大躍進イベント! これぞ、わたくしが欲しかった学園生活。ボルトリア王女の力、見せてあげましょう!」
 エネッタの高笑いが教室に響く。姫様、ちょっとテンション高めだけど……ほんとに大丈夫か?

 「他に出る奴いないのか?」
 ライミとエネッタ以外は、誰一人顔を上げようとしなかった。
 「お前ら……諦めたら、そこで試合終了だぜ?」
 思わず、人生で一度は言ってみたかったセリフが出てしまった。けど、それくらい本気で言いたかった。
 やるからには、勝ちたい。  Zクラスの空気を、ここで変えてみせたい。
 俺の“電力”でも、何かの役に立てるかもしれない。
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