42 / 130
おっさん奮起す
しおりを挟む
──クラス対抗、魔法競技大会。
春、夏、冬。年三回の恒例行事が開催されることを最近知らされた──というか、一年が十二ヵ月で季節も元の世界と変わらないってのも初めて知った。
各クラスから七名を選抜し、魔法を使った競技で競い合う祭典。開催期間は驚きの五日間……まぁ魔法を学ぶ場所だから、その能力を存分に出し合って競うのは理にかなってる。
しかも、成績次第ではクラスのランクが上がるらしい。
これは好都合だ。なんてったって、うちのZクラスは最下位。上がる未来しかないわけで。
ランクが上がれば、学習環境や生活面で色々とグレードアップするらしい。自習ばっかの講師じゃなく、マンツーマン指導が当たり前。寮も一人部屋、食事は売店飯じゃなくて栄養バランスを考えた学食が使えるようになる。
上のランクになれば、専属のシェフが付くこともあるとか。これは本気で取りにいく価値がある。
きっとクラスメイト達のやる気も……
「はぁ~またこの時期か~、憂鬱だな~」 「わたし、今回は絶対に出ないからね」 「俺も出ない。つか一週間学校休む」
……テンション爆上がりどころか、地の底まで沈んでた。
「もしかして、前回の大会の成績って?」
俺は前の席のスイランの肩を叩いた。
「電次郎さん、僕らがZクラスってことは……そういうことですよ」
「……なるほどな」
「この競技大会では、上位十五クラスと下位十五クラスの対抗戦形式です。表向きは切磋琢磨ですが、下位クラスが勝ち上がれる仕組みではありません」
「でも、やってみないと分かんねぇだろ?」
「上位クラスの半数はエルフ族。他にも半魔と呼ばれる魔族のハーフもいます。魔力量、精度、全てが段違いです。努力だけではどうにもならない領域なんです」
スイランの口調は淡々としていたが、その目には悔しさが滲んでいた。
「にゃーは出るにゃ」
ライミが勢いよく手を挙げた。さすが獣人族、血気盛ん……でも。
「大丈夫なのか、ライミ。戦うの、嫌なんじゃ?」
「ん~、そうだけど、やっぱり血が騒ぐにゃ」
「そうか……お父さんも喜びそうだな」
「にゃ」
ライミは照れたように小さく拳を握った。
「おーっほっほっほ! 早速参りましたわね、この最下位からの大躍進イベント! これぞ、わたくしが欲しかった学園生活。ボルトリア王女の力、見せてあげましょう!」
エネッタの高笑いが教室に響く。姫様、ちょっとテンション高めだけど……ほんとに大丈夫か?
「他に出る奴いないのか?」
ライミとエネッタ以外は、誰一人顔を上げようとしなかった。
「お前ら……諦めたら、そこで試合終了だぜ?」
思わず、人生で一度は言ってみたかったセリフが出てしまった。けど、それくらい本気で言いたかった。
やるからには、勝ちたい。 Zクラスの空気を、ここで変えてみせたい。
俺の“電力”でも、何かの役に立てるかもしれない。
春、夏、冬。年三回の恒例行事が開催されることを最近知らされた──というか、一年が十二ヵ月で季節も元の世界と変わらないってのも初めて知った。
各クラスから七名を選抜し、魔法を使った競技で競い合う祭典。開催期間は驚きの五日間……まぁ魔法を学ぶ場所だから、その能力を存分に出し合って競うのは理にかなってる。
しかも、成績次第ではクラスのランクが上がるらしい。
これは好都合だ。なんてったって、うちのZクラスは最下位。上がる未来しかないわけで。
ランクが上がれば、学習環境や生活面で色々とグレードアップするらしい。自習ばっかの講師じゃなく、マンツーマン指導が当たり前。寮も一人部屋、食事は売店飯じゃなくて栄養バランスを考えた学食が使えるようになる。
上のランクになれば、専属のシェフが付くこともあるとか。これは本気で取りにいく価値がある。
きっとクラスメイト達のやる気も……
「はぁ~またこの時期か~、憂鬱だな~」 「わたし、今回は絶対に出ないからね」 「俺も出ない。つか一週間学校休む」
……テンション爆上がりどころか、地の底まで沈んでた。
「もしかして、前回の大会の成績って?」
俺は前の席のスイランの肩を叩いた。
「電次郎さん、僕らがZクラスってことは……そういうことですよ」
「……なるほどな」
「この競技大会では、上位十五クラスと下位十五クラスの対抗戦形式です。表向きは切磋琢磨ですが、下位クラスが勝ち上がれる仕組みではありません」
「でも、やってみないと分かんねぇだろ?」
「上位クラスの半数はエルフ族。他にも半魔と呼ばれる魔族のハーフもいます。魔力量、精度、全てが段違いです。努力だけではどうにもならない領域なんです」
スイランの口調は淡々としていたが、その目には悔しさが滲んでいた。
「にゃーは出るにゃ」
ライミが勢いよく手を挙げた。さすが獣人族、血気盛ん……でも。
「大丈夫なのか、ライミ。戦うの、嫌なんじゃ?」
「ん~、そうだけど、やっぱり血が騒ぐにゃ」
「そうか……お父さんも喜びそうだな」
「にゃ」
ライミは照れたように小さく拳を握った。
「おーっほっほっほ! 早速参りましたわね、この最下位からの大躍進イベント! これぞ、わたくしが欲しかった学園生活。ボルトリア王女の力、見せてあげましょう!」
エネッタの高笑いが教室に響く。姫様、ちょっとテンション高めだけど……ほんとに大丈夫か?
「他に出る奴いないのか?」
ライミとエネッタ以外は、誰一人顔を上げようとしなかった。
「お前ら……諦めたら、そこで試合終了だぜ?」
思わず、人生で一度は言ってみたかったセリフが出てしまった。けど、それくらい本気で言いたかった。
やるからには、勝ちたい。 Zクラスの空気を、ここで変えてみせたい。
俺の“電力”でも、何かの役に立てるかもしれない。
20
あなたにおすすめの小説
神様転生~うどんを食べてスローライフをしつつ、領地を豊かにしようとする話、の筈だったのですけれど~
於田縫紀
ファンタジー
大西彩花(香川県出身、享年29歳、独身)は転生直後、維持神を名乗る存在から、いきなり土地神を命じられた。目の前は砂浜と海。反対側は枯れたような色の草原と、所々にぽつんと高い山、そしてずっと向こうにも山。神の権能『全知』によると、この地を豊かにして人や動物を呼び込まなければ、私という土地神は消えてしまうらしい。
現状は乾燥の為、樹木も生えない状態で、あるのは草原と小動物位。私の土地神としての挑戦が、今始まる!
の前に、まずは衣食住を何とかしないと。衣はどうにでもなるらしいから、まずは食、次に住を。食べ物と言うと、やっぱり元うどん県人としては……
(カクヨムと小説家になろうにも、投稿しています)
(イラストにあるピンクの化物? が何かは、お話が進めば、そのうち……)
異世界に転生したので幸せに暮らします、多分
かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。
前世の分も幸せに暮らします!
平成30年3月26日完結しました。
番外編、書くかもです。
5月9日、番外編追加しました。
小説家になろう様でも公開してます。
エブリスタ様でも公開してます。
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~
きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。
前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。
ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者
哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。
何も成し遂げることなく35年……
ついに前世の年齢を超えた。
※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。
※この小説は他サイトにも投稿しています。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる