ジャンプ

ルチカ

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ジャンプ

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皆さんは、もしも大きな大きな海に住んでいる小さな小さな魚だったとしたら、どうしますか?

この物語は、小魚の中でも最もジャンプ力があると言われているトビウオが、肉食魚のクロマグロに食べられない様に、同じ小魚のカワハギやメジナ等と協力しながら生き抜いていくというお話しだ。


俺は、皆から“リーダー゛と呼ばれているトビウオ族のトンビだ。よろしくな。
今日は、俺の取って置きのひらめきの話を聞いてくれ。
おっと~、まずは俺がリーダーと呼ばれる理由を話さないとな。
俺は、まぁ自慢じゃないが、小魚の中でも特に頭が良く、正義感が物凄く強く、ジャンプの能力は桁外れに優れている、これがリーダーと呼ばれる理由だ。
かなり自慢しているなぁ~。勘弁してくれ。


俺達が暮らしている須磨川湾の中には、俺達トビウオ族やカワハギ族を始め、沢山の小魚達が協力し合い暮らしていた。
しかし、その須磨川湾には俺達小魚を狙う海の暴れん坊のクロマグロのジャックも住んでいた。
その為、俺達小魚は順番に須磨川湾の中をクロマグロのジャックの行動を偵察し、居場所を常に確認しなければならなかった。

そんなある日、この日はトビウオ族が偵察する順番だった。俺が岩影に隠れながらクロマグロのジャックの行動を見張っていた時だった。
突然、ダツと呼ばれる獰猛な肉食魚に後から襲われてしまい、そのせいで俺は、クロマグロのジャックに見つかってしまった。
“このままではクロマグロのジャックに食べられてしまう゛と思った俺は得意なジャンプを活かし高く高くジャンプをしてクロマグロのジャックの攻撃を交わし、須磨川湾から近くを流れる須磨川に逃げた。
しかし、まぁ~クロマグロのジャックって奴はしぶとい奴でして、俺が須磨川から須磨川湾に戻って来るのを今か今かと息を殺して待ち続けていたのだ。
俺とクロマグロのジャックとの我慢比べだなぁ~。
俺もクロマグロのジャックの気配が無くなるまでひたすらじーっと待ち続けた。

それからしばらくして、クロマグロのジャックが諦めたのだろうか気配が無くなったすきに俺は思いっきりジャンプをして、須磨川湾に戻った。
その後の俺は、須磨川湾の住んでいる小魚達がいつかクロマグロのジャックに食べつくされてしまうと思い、寝る間も惜しんでクロマグロのジャックから逃れる方法を考えた。
その時、俺はひらめいた。
“須磨川湾から思いっきりジャンプをして須磨川に逃げるしかない゛そう思った俺は、俺達トビウオ族と昔から助け合って来たカワハギ族やメジナ族等を呼び集め、その日からジャンプの猛特訓を始めた。
その猛特訓の成果で小魚の大人達は、ジャンプが出来る様になり、ジャンプが出来ない子供達は俺達トビウオ族の大人達がおんぶしてジャンプをする事が決まった。

そんなある夜、クロマグロのジャックが寝た事を確認し、起こさない様にそーっと須磨川湾と須磨川が一番近い所に行き、俺の
「尾びれに力を入れろ~」の掛け声で小魚達は一斉にジャンプして、須磨川湾から須磨川に逃げた。
須磨川湾に小魚達がいなくなってしまった為にクロマグロのジャックは、空腹で意識がもうろう。ついには、小魚に似ている小魚岩をガブッとかんでしまい歯がボロボロ。とうとう栄養失調になってしまった。
クロマグロのジャックは“このまま須磨川湾に住んでいたら死んでしまう゛と思ったのだろう須磨川海流に乗って太平洋に渡った所で運悪くマグロ漁船の網にかかってしまった。

その後のクロマグロのジャックは、人間族に切り身にされてお魚市場の店先に並べられ、買いに来られた人間族がその日の夕食に刺身にされ食べられたそうだ。
俺達小魚達は、クロマグロのジャックが人間族に食べられたという噂を聞き、安心して須磨川から須磨川湾に以前と同様ジャンプして戻った。

そして、今もなお俺達小魚達は協力して暮らし続ける、クロマグロ族の新たなる敵が現れない事を心から祈り続けているのだった。
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