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一章 学園のヘタレ

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 先ずは詳しいドラゴンの情報を聞く為に、彼らが現在世話になっているという宿に足を運んだ。二人の部屋は別々となっており、ダンテの部屋へとやって来た。


「では、いくつか質問させて下さい。あなた方がこの町に辿り着いた時、ドラゴンは何処に?」


「ちょうど、町の上空を滑空していました。先程、町を歩いた時にも感じられたかと思いますが、町に特に被害はありません」


「あんたらが退けたんだよな?」


「確かに我々もドラゴンを迎撃しようと魔法を放つ準備はしていた。だがというのが正しい」


「何かに反応していなくなった?」


 その何かとは何か、ルーナは更に二人に質問を続けた。


「分からないのだ。ドラゴンが何に対して反応したのか」


 これは不可解だった。ドラゴンとはこの世界で敵なしと言って良いほどの力を備えている。彼らは気高く、逃げるという事はない。


「何かに反応ねえ……」


 ここでレイトの頭の中に思い浮かんだのは、ドラゴンを使役する事が出来ると言われているの存在だった。龍神族は、人前に姿を見せるという事はほぼ無いと言っても良い種族だ。レイトもその姿形を見た事はない。


「レイトさん、何か心当たりが?」


「確定ってわけじゃねえけど、何かに反応してドラゴンが居なくなったわけだろ? そうだとしたら、俺が思い浮かぶのは龍神族だけだ」


「龍神族ってあの……」


「幻の種族だ。俺も見た事ねえから分からねえけどな。でも、可能性があるっていったらそれしか思い付かねえ」


 ここでふと、椅子に腰を下ろしていたレイトが立ち上がった。三人は同時に立ち上がった彼を見たが、ルーナだけはこれから彼が何をしようとしているのかすぐ理解出来た。


「とりあえず、龍神族に会いに行ってみるわ」


「な、何を言っているんだ。そんな幻の種族に会いに行ってみるで会えるわけがないだろう!」


「それはやってみない事には分からねえだろ。それに、近くにドラゴンの魔力があるからそれを追ったら出て来るかも知れねえしな?」


 冗談で言っているのではない、声を荒げたダンテも理解出来た。彼は本気で龍神族に会いに行こうとしているのだと。


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