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座敷童子
27話:つかさの一人勝ち
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取材メモをリュックに詰めたつかさは、最低限の礼儀として世良田一家に深々とお辞儀をする。
「時間をとってもらってありがとうございます。それじゃ俺はこれで失礼します」
そう言ってリビングを出て行こうとするが、そこへ勇治が素早く足払いをかける。
「うわッ!」
体勢を崩して机の角に頭を打ちつけそうになるつかさを守るため、美園が素早くあんこを抱き上げて目の前に突き出した。
つかさは机の角に頭をぶつける前に、美園によって差し出されたあんこの柔らかい体にパフッと気の抜けた音をたててぶつかるに留まった。
あんこは、突然降り懸かった災難に「キャイ~ン」と、情けない声をあげて美園の腕から滑り落ちる。
「危ないじゃないですか!」
つかさが振向いて勇治を睨む。
「いや、悪い。足が長くて」
「―――」
なんとか怒りを呑み込んだだつかさは、美園を一瞥して再び部屋を出て行こうとするのだが、咳をしたと同時に飛び出たケンジの入れ歯が、すごい飛距離でつかさの顎に直撃した。
つかさは痛みとおぞけで再び足を止めた。
「ひゅはんふぉ、ふぉしふぉふぉるふぉふゅひふぁふゅるふふぁっふぇ(すまんの、年をとると口が緩くなって)」
と、ケンジが笑う。
「あらやだ、おじいちゃんたら」
いつもなら顔を顰める栄子だが、今日ばかりはナイスフォローとばかりにウィンクを返した。
「何なんですか。俺に何か用があるんですか?」
さすがに故意であることに気付いたつかさが、世良田一家を睨む。
「ねぇ、悪いんだけど別離に関する記事はボツってことでお願いできない?」
美園が素直に頭を下げる。
「俺を専属記者にしていただけるのなら、考えてもいいですよ」
「何バカな事言ってんだよ。お前金は払えるのかよ」
「お金ですか?」
勇治の横柄な言葉に、つかさはぴくりと眉をあげる。
「そうだよ。取材する側はそれ相応の金を払うんだ。専属になるんだったら先に前金をもらわないと」
嫌らしい笑みを浮かべて、勇治がつかさをねめつけた。
その視線を涼しい顔で受け止めたつかさは、
「高校生の身ですから、お金は無理ですね。毎月のお小遣いが5千円だから、それを全額払う、ってのじゃ足りないでしょ?」
と答える。
そのぬるい返答に、勇治はフンと鼻で笑った。
勇治のその態度を見て、つかさは小さくため息をつく。
「仕方ないですね。交渉決裂ということで……」
再び立ち上がろうとすると、勇治が慌ててつかさの服を掴む。
「だ~か~らぁ。さっきから何なんですか」
「いや……その、こ……交渉決裂はマズイんじゃないか? な?」
若干物腰を柔らかくして、勇治は微笑む。
「専属契約は無理だけど、ただで3回までインタビューに答えてあげる券、でどうだ?」
「そんなカスみたいな券いりません」
「カ……」
目が血走ってきた勇治を横目に、つかさは口を開く。
「無料での専属契約。それがダメなら交渉決裂。こっちはこっちで好き勝手に記事を書かせてもらいます」
――――。
再び世良田一家を包み込む沈黙。
誰の頭にも専属契約を覆すほどの交換条件はなかった。
当然それを分かっていたつかさは、涼しい顔で微笑んだ。
「――まぁ、こういう訳ですんで、専属契約の件、了解してもらえますよね」
「時間をとってもらってありがとうございます。それじゃ俺はこれで失礼します」
そう言ってリビングを出て行こうとするが、そこへ勇治が素早く足払いをかける。
「うわッ!」
体勢を崩して机の角に頭を打ちつけそうになるつかさを守るため、美園が素早くあんこを抱き上げて目の前に突き出した。
つかさは机の角に頭をぶつける前に、美園によって差し出されたあんこの柔らかい体にパフッと気の抜けた音をたててぶつかるに留まった。
あんこは、突然降り懸かった災難に「キャイ~ン」と、情けない声をあげて美園の腕から滑り落ちる。
「危ないじゃないですか!」
つかさが振向いて勇治を睨む。
「いや、悪い。足が長くて」
「―――」
なんとか怒りを呑み込んだだつかさは、美園を一瞥して再び部屋を出て行こうとするのだが、咳をしたと同時に飛び出たケンジの入れ歯が、すごい飛距離でつかさの顎に直撃した。
つかさは痛みとおぞけで再び足を止めた。
「ひゅはんふぉ、ふぉしふぉふぉるふぉふゅひふぁふゅるふふぁっふぇ(すまんの、年をとると口が緩くなって)」
と、ケンジが笑う。
「あらやだ、おじいちゃんたら」
いつもなら顔を顰める栄子だが、今日ばかりはナイスフォローとばかりにウィンクを返した。
「何なんですか。俺に何か用があるんですか?」
さすがに故意であることに気付いたつかさが、世良田一家を睨む。
「ねぇ、悪いんだけど別離に関する記事はボツってことでお願いできない?」
美園が素直に頭を下げる。
「俺を専属記者にしていただけるのなら、考えてもいいですよ」
「何バカな事言ってんだよ。お前金は払えるのかよ」
「お金ですか?」
勇治の横柄な言葉に、つかさはぴくりと眉をあげる。
「そうだよ。取材する側はそれ相応の金を払うんだ。専属になるんだったら先に前金をもらわないと」
嫌らしい笑みを浮かべて、勇治がつかさをねめつけた。
その視線を涼しい顔で受け止めたつかさは、
「高校生の身ですから、お金は無理ですね。毎月のお小遣いが5千円だから、それを全額払う、ってのじゃ足りないでしょ?」
と答える。
そのぬるい返答に、勇治はフンと鼻で笑った。
勇治のその態度を見て、つかさは小さくため息をつく。
「仕方ないですね。交渉決裂ということで……」
再び立ち上がろうとすると、勇治が慌ててつかさの服を掴む。
「だ~か~らぁ。さっきから何なんですか」
「いや……その、こ……交渉決裂はマズイんじゃないか? な?」
若干物腰を柔らかくして、勇治は微笑む。
「専属契約は無理だけど、ただで3回までインタビューに答えてあげる券、でどうだ?」
「そんなカスみたいな券いりません」
「カ……」
目が血走ってきた勇治を横目に、つかさは口を開く。
「無料での専属契約。それがダメなら交渉決裂。こっちはこっちで好き勝手に記事を書かせてもらいます」
――――。
再び世良田一家を包み込む沈黙。
誰の頭にも専属契約を覆すほどの交換条件はなかった。
当然それを分かっていたつかさは、涼しい顔で微笑んだ。
「――まぁ、こういう訳ですんで、専属契約の件、了解してもらえますよね」
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