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動き始めた闇
69話:マツムラの正体
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ピカピカに磨きあげられた廊下を誠はのんびり歩く。
病気療養中とはいってもトワにはやらなくてはならない仕事があるらしい。誠は一足先に部屋へ戻ることにした。
お腹いっぱい美味しい料理を食べたものだから、体が重い。今なら少し眠れそうだ。
さっきのふかふかベットでおもいっきり昼寝することを考えると、幸せな気分になれた。
けれど、重い扉をちょっと開けてみると、マツムラが電話で誰かと会話している最中だっだ。
部屋を出るべきか、声をかけるべきか躊躇していると、妙な会話が耳に飛び込んできた。
「キロッスによる王子誘拐計画については承知している。本来宿泊予定だったホテルの警備は万全だったが、ここは急遽泊まることになった所だ。予定外とはいえ、どちらにとっても好都合な結果じゃないか、だろう?」
誠は静かに部屋に入り、ベッドの下に体を潜り込ませた。
「ああ、そうだ。そのまま死んでくれれば民衆の同情をかえる。そうすれば、私が次の王座につけるはずだ。万が一にも王子が無事に救出されでもしたら、分かっているな。そうだ、キロッスには派手に立ち回ってもらわないとな。そうすれば、あのオペラハウスも真の意味を持って国民に受け入れてもらえるはずだ」
オペラハウス? 真の意味?
誠には理解できない部分も多かったが、マツムラが思ったほど善良な男ではないことは理解できる。
それどころか、王子暗殺に関わる悪人なのかもしれない。
「ああ。来るなら恐らく今日だろう。一番警備が手薄だ。ああ……ちょっと待て」
ふいに会話が途切れ、マツムラが誠の隠れているベットに近づいてきた。
ばれた!?
唾を飲むことさえ我慢し、誠はさらに息を潜めた。
けれど、マツムラは誠が持ってきていた鞄の中身を物色し、すぐに電話口に戻っていく。
「ああ、すまない。いや、今ガキが一人紛れ込んでるんだ。奴らの仲間なのかもしれないと思ったんだが考えすぎのようだ。それで奴らの身元は分かっのか?」
マツムラはしばらく電話口に耳を当てていたが、急に声音を低くし詰問口調になる。
「何? 馬鹿な。確かにリーダーは若い男らしいが、あいつが生きているはずはない。いや、しかし……。そうか、分かった。にわかには信じられん話だがないとは言い切れない。よし、よく聞け。もし奴が生きているのなら、決して殺さず生け捕りにしろ。いいな」
そう言って受話器を置いたマツムラは、静かに窓の外に目を向けた。
誠が恐る恐るベットの下から顔を出すと、ちょうどマツムラの横顔が目に入る位置だった。
「生きている……あいつが。まさか……だが、もしそれが本当なら……」
欲望がそのまま顔に表れたような残忍で醜悪な笑み。それは見るものをゾッとさせるに事足りるものだった。
誠はこれほどまでに汚らわしい笑みを見せる人間がこの世に存在することを、初めて知った。
病気療養中とはいってもトワにはやらなくてはならない仕事があるらしい。誠は一足先に部屋へ戻ることにした。
お腹いっぱい美味しい料理を食べたものだから、体が重い。今なら少し眠れそうだ。
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けれど、重い扉をちょっと開けてみると、マツムラが電話で誰かと会話している最中だっだ。
部屋を出るべきか、声をかけるべきか躊躇していると、妙な会話が耳に飛び込んできた。
「キロッスによる王子誘拐計画については承知している。本来宿泊予定だったホテルの警備は万全だったが、ここは急遽泊まることになった所だ。予定外とはいえ、どちらにとっても好都合な結果じゃないか、だろう?」
誠は静かに部屋に入り、ベッドの下に体を潜り込ませた。
「ああ、そうだ。そのまま死んでくれれば民衆の同情をかえる。そうすれば、私が次の王座につけるはずだ。万が一にも王子が無事に救出されでもしたら、分かっているな。そうだ、キロッスには派手に立ち回ってもらわないとな。そうすれば、あのオペラハウスも真の意味を持って国民に受け入れてもらえるはずだ」
オペラハウス? 真の意味?
誠には理解できない部分も多かったが、マツムラが思ったほど善良な男ではないことは理解できる。
それどころか、王子暗殺に関わる悪人なのかもしれない。
「ああ。来るなら恐らく今日だろう。一番警備が手薄だ。ああ……ちょっと待て」
ふいに会話が途切れ、マツムラが誠の隠れているベットに近づいてきた。
ばれた!?
唾を飲むことさえ我慢し、誠はさらに息を潜めた。
けれど、マツムラは誠が持ってきていた鞄の中身を物色し、すぐに電話口に戻っていく。
「ああ、すまない。いや、今ガキが一人紛れ込んでるんだ。奴らの仲間なのかもしれないと思ったんだが考えすぎのようだ。それで奴らの身元は分かっのか?」
マツムラはしばらく電話口に耳を当てていたが、急に声音を低くし詰問口調になる。
「何? 馬鹿な。確かにリーダーは若い男らしいが、あいつが生きているはずはない。いや、しかし……。そうか、分かった。にわかには信じられん話だがないとは言い切れない。よし、よく聞け。もし奴が生きているのなら、決して殺さず生け捕りにしろ。いいな」
そう言って受話器を置いたマツムラは、静かに窓の外に目を向けた。
誠が恐る恐るベットの下から顔を出すと、ちょうどマツムラの横顔が目に入る位置だった。
「生きている……あいつが。まさか……だが、もしそれが本当なら……」
欲望がそのまま顔に表れたような残忍で醜悪な笑み。それは見るものをゾッとさせるに事足りるものだった。
誠はこれほどまでに汚らわしい笑みを見せる人間がこの世に存在することを、初めて知った。
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