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動き始めた闇
72話:次期国王は誰?
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――君が死ねばいい
トワにその言葉を理解する暇も与えず、誠は勢いよく話し続ける。
「マツムラは君が死んだ後、国王になるつもりだよ。その為に君には死んでもらいたいみたいだ」
「まさか、ハハハ。将来国王になるのは僕だよ、そんなことあり得ないよ」
「でも、ちょっと考えてみてよ。もし君に何かあったら、次は誰が一番?」
「誰がって……」
トワは言い淀んだ。
国王も王妃も、兄も死んだ。王族はトワが最後の生き残りである。
王位継承順位で考えれば他にも何人か候補は存在するが、すでに国を出たもの、高齢で激務に耐えられないもの、王位継承権を放棄しているものなど、次にバトンタッチできる存在がいない。
トワが成人して子を成せば問題は解決するが、現状ではトワが死ねば王室は途絶える。
おそらく次の国王は一般の人間から選ばれることになる。
誠の言う通りそれに一番近い位置にいるのはマツムラだろう。
彼がユグドリアの血を引かぬ日本人だということに不満が出るだろうが、トワと同じく絶大な人気を誇っていることから、そうした心配も無用のはず。
マツムラはアンドレ国王の代から国の繁栄に力を注いでおり、それは誰もが知るところだ。
国を脅かすテロリスト集団キロッスに対しても、断固たる抵抗姿勢を見せており、国民の絶大な支持を得ている。屈服よりも制裁を、それがが彼の主義主張だ。
しかし、トワにしてみれば強硬姿勢をとる前に、一度対話の場を設けたいというのが本音だ。
キロッスのテロ行為により負傷者こそ出ているものの、死者はゼロ。偶然というよりも、あえて誰も傷つかないように計算しての行動に思えるのだ。
その負傷者にしても一般人ではなく政府関係者というところが余計にそう思わせられる。
キロッスの要求が現政権の退陣ということを考えれば、トワとマツムラを快く思っていない人間達なのだろう。
どこの国でも政権に反対する勢力は存在する。何もおかしいことではない。
誠はトワのだんまりを答えと受け取ったらしい。
「やっぱりマツムラが国王になる可能性が高いんだね。だったらこうしちゃいられない」
誠は勢いよく立ち上がり、トワの手を引いて部屋から連れ出そうとする。
驚いたトワは誠の手を払いのけ、首を振る。
「どうしたの誠くん。さっきから何を言ってるの、なんだかまるで夢物語だよ」
「夢じゃない。確かに聞いたんだ」
「だったらそれはタチの悪い冗談だね」
「冗談? 君が死ぬなんてこと冗談でも僕が言うと思ってるの?」
誠の目はあまりにも真剣で、ともすればトワの方がその剣幕に飲み込まれてしまいそうだった。
だからトワも必死にその場に留まろうと言葉を探す。彼も必死だった。
もし誠から聞いた話が現実だったとしたら、トワの幼い心では受け止めきれない現実なのだから。
「誠くん……もしかして羨ましいの?」
「え?」
「僕が皆に愛されているから、だからもしかして僻んでるの?」
「何言ってるの? トワ」
「君は僕が一人ぼっちだと思ってたけど、実際は多くの国民に愛され、父親代わりのマツムラがいて、皆が僕のこと気にかけてくれてる。それに腹を立ててるんだろ?」
誠は信じられないものを見るような目でトワを見た。
トワにその言葉を理解する暇も与えず、誠は勢いよく話し続ける。
「マツムラは君が死んだ後、国王になるつもりだよ。その為に君には死んでもらいたいみたいだ」
「まさか、ハハハ。将来国王になるのは僕だよ、そんなことあり得ないよ」
「でも、ちょっと考えてみてよ。もし君に何かあったら、次は誰が一番?」
「誰がって……」
トワは言い淀んだ。
国王も王妃も、兄も死んだ。王族はトワが最後の生き残りである。
王位継承順位で考えれば他にも何人か候補は存在するが、すでに国を出たもの、高齢で激務に耐えられないもの、王位継承権を放棄しているものなど、次にバトンタッチできる存在がいない。
トワが成人して子を成せば問題は解決するが、現状ではトワが死ねば王室は途絶える。
おそらく次の国王は一般の人間から選ばれることになる。
誠の言う通りそれに一番近い位置にいるのはマツムラだろう。
彼がユグドリアの血を引かぬ日本人だということに不満が出るだろうが、トワと同じく絶大な人気を誇っていることから、そうした心配も無用のはず。
マツムラはアンドレ国王の代から国の繁栄に力を注いでおり、それは誰もが知るところだ。
国を脅かすテロリスト集団キロッスに対しても、断固たる抵抗姿勢を見せており、国民の絶大な支持を得ている。屈服よりも制裁を、それがが彼の主義主張だ。
しかし、トワにしてみれば強硬姿勢をとる前に、一度対話の場を設けたいというのが本音だ。
キロッスのテロ行為により負傷者こそ出ているものの、死者はゼロ。偶然というよりも、あえて誰も傷つかないように計算しての行動に思えるのだ。
その負傷者にしても一般人ではなく政府関係者というところが余計にそう思わせられる。
キロッスの要求が現政権の退陣ということを考えれば、トワとマツムラを快く思っていない人間達なのだろう。
どこの国でも政権に反対する勢力は存在する。何もおかしいことではない。
誠はトワのだんまりを答えと受け取ったらしい。
「やっぱりマツムラが国王になる可能性が高いんだね。だったらこうしちゃいられない」
誠は勢いよく立ち上がり、トワの手を引いて部屋から連れ出そうとする。
驚いたトワは誠の手を払いのけ、首を振る。
「どうしたの誠くん。さっきから何を言ってるの、なんだかまるで夢物語だよ」
「夢じゃない。確かに聞いたんだ」
「だったらそれはタチの悪い冗談だね」
「冗談? 君が死ぬなんてこと冗談でも僕が言うと思ってるの?」
誠の目はあまりにも真剣で、ともすればトワの方がその剣幕に飲み込まれてしまいそうだった。
だからトワも必死にその場に留まろうと言葉を探す。彼も必死だった。
もし誠から聞いた話が現実だったとしたら、トワの幼い心では受け止めきれない現実なのだから。
「誠くん……もしかして羨ましいの?」
「え?」
「僕が皆に愛されているから、だからもしかして僻んでるの?」
「何言ってるの? トワ」
「君は僕が一人ぼっちだと思ってたけど、実際は多くの国民に愛され、父親代わりのマツムラがいて、皆が僕のこと気にかけてくれてる。それに腹を立ててるんだろ?」
誠は信じられないものを見るような目でトワを見た。
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