すまん、いちばん最初の使い魔のわしがいらない子ってマジ?

小択出新都

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わしと主(あるじ)とバトロワ 10

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 後ろから放たれた灼熱をまとったフェニックスの突撃。

「空食剣オフィス!加速剣グラム!」

 わしはふたつの魔剣を発動させ、フェニックスの体を十字に切り裂くと一気に逆方向へ加速させる。
 フェニックスの体はバラバラになりながら、向こうへ吹き飛んでいった。

 しかし、吹き飛んだ先に炎が集まりだし、すぐに体が再生する。
 体を再生させたフェニ子は、こちらを恨みがましい瞳で睨みながらヒステリックに騒ぎ始めた。

「ひどいです!ひどいです!長(おさ)さま!なんでわたしだけ攻撃するんですか?!ほかの子が攻撃してもぜんぜん反撃しなかったじゃないですか!」
「ぬしは不死身じゃろうが!」
「ずるいです!ひどいです!さべつです!わたしだってほかのみんなみたいにやさしく攻撃しないで接して欲しいです!」
「なら飛び掛ってくるな!」

 2000℃を超える炎の突撃などかまされた日には、どうしても防がざるを得ない。
 フェニ子の場合、死なないので攻撃して止めるほうがやりやすい。

「よくもフェーニを殺ったっすね!」
「やっとらんわ!そもそもネコのわしがフェニックスを殺せるか!」
 
 それにしても……。 

「しかし、ムー子はともかく、なぜフェニ子がいるんじゃ?」

 フェニ子はゴブリン退治にいっていたはずだった。
 できれば、わしがいきたかったのに……。

「長さまが浮気してると聞いて、一分で終わらせて飛んできました」

 確かにフェニ子の実力なら、ゴブリン退治など一分もかからんじゃろうが。

「浮気?さっきからまたわけのわからぬことを……」

「そんな格好をしてるのにまだしらをきるつもりですか!?浮気じゃないというなら、この場で証明してみてください!」
「そんな格好?」

 別に変な格好はしてない。逃げるために、ミーフィアを抱えているだけじゃ。

「そのお姫さまだっこです!」
「そうっす!信用ならないっす!お姫さまだっこしてるのに、ぜんぜんまったく信じられないっす!」

 なぜそんなにもお姫さまだっこにこだわる……。
 抱えなければ、ミーフィアが危険なのだから当然じゃろう。

 しかし、このままでは埒が明かない。
 わしは落ち着いて、あくまで冷静に理論的に、彼女たちにわしが浮気などしてないこと証明することにした。

「よかろう。証明してやろう。えー、こほん。
 浮気というものはまず本命の恋人が必要じゃ。本命がいなければ、浮気は成り立たん。
 わしは誰かと恋仲だったわけではないじゃろう?本命の相手など、どこにもおらん。
 だからわしが浮気なんて話は、ぜったいに成り立たないのじゃ。
 どうじゃ、完璧じゃろう」

 ふふん。
 きわめて正しい証明をしたわしだったはずじゃが、言い切った途端、なぜか背筋に悪寒がはしった。

「あの……、クロトさん……、さすがにそれはあんまりなんじゃ……」

 なぜかミーフィアまで、ちょっと呆れた瞳でわしを見てくる。

「わし……なにか間違えたじゃろうか……?」
「間違えたというか……その……」

「死んで……クロト……。それから一緒になろ……ね……?」
「ころっすっす!ぶっころすっすっす!このアホネコ!」
「あはは、そうですよね。わたしと長さまは別に何かあったわけじゃないですもんね……。
 そのまま全部燃やして、存在ごと何もなくしてやりますよ!」

 うむ……、なんかまずかったようじゃのう……。

 齢1000年を越えるわしが、今日学んだこと。
 女の子に理論的に話をしてはいけない……。

 わしは怒り狂った三人から、ミーフィアを抱え脱兎のごとくにげだした。



※お知らせ (2015/07/15)
読んでくださってる方ありがとうございます。
なんかもうちょっと薄味に話を進める予定だったのが、考えていたより濃い感じになってきました。
普段は書き直したりするのですが、この小説は実験的な部分も多いので、とりあえずこのまま投稿してみようと思います。
本題ですが、8月20日まで更新がかなり落ちる予定です。
本来ならゼロ更新の予定なのですが、書くほうにも書かないほうにも意志が薄弱なので、更新があったら「ああ作者が自分に負けてるんだな」と思っていただけたらと思います。
拙作にお付き合いいただいてる方に本当に感謝です。
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