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Ep.1
第5話 海の世界は謎だらけ
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七時ちょうどに部屋の扉がノックされて、廊下に出るとデルフィーノがおはようございますと丁寧な挨拶をする。朝食の用意が出来たとのことなので、彼女に続いて一階の部屋へと向かった。
「ナギサ様のお好みが分かりませんでしたのでこの国の一般的な朝食をご用意致しましたが、もしお気に召さないものがございましたら遠慮なくお申し付けくださいませ」
「ありがとうございます、デルフィーノさん」
テーブルの上にはクロワッサンやビスケット、ラスクのようなものが並んでいて、その隣にハムやチーズ、ジャムといったそれらに合いそうなものが用意されていた。
適当に近くの席に座ると、デルフィーノがカップにカプチーノを注いでくれた。
「こちらは泡乳珈琲でございます。お口に合わないようでしたら柑橘系の飲料や紅茶など、すぐに別のものをお持ちいたしますので」
「はい、いただきます」
まずは淹れたてのカプチーノを一口啜る。泡立ったミルクの濃厚な甘さとコーヒーのほのかな苦味が口の中に広がる。
続いてクロワッサンを一つ手に取り、スプーンで赤いジャムを塗った。
食べてみると、練り込まれたバターの風味にジャムのイチゴの味が合わさって絶妙なハーモニーが生まれた。
「お味など如何でしょうか?」
そばに立つ使用人から質問されて、凪沙は少し言葉を選んでから答える。
「そうですね……。美味しいんですけど、全体的にちょっと甘すぎますかね……」
カプチーノもクロワッサンもどちらも一級品の味わいではあるのだが、何というか。朝から食べるにはなかなかに甘ったるい。その上アスリートである凪沙は普段からお菓子を控えているので、余計に甘いものを食べ慣れていないというのもあるかもしれない。
意見を聞いたデルフィーノはポケットからメモ帳とペンを取り出すと何かを書き留めて、それから頷いて口を開いた。
「なるほど、承知致しました。明日以降は砂糖やバターの使用を減らした甘さ控えめのものを手配いたします」
「いえ、すみません。お気遣いありがとうございます」
わざわざ特別なものを自分のためだけに用意させるのは申し訳ないなと感じたが、これが彼女の仕事なのだと割り切って素直にお言葉に甘えることにした。
ある程度お腹も満たされ、のんびりとカプチーノを飲み進めていると。
「……おはよう、デルフィーノ。ああナギサ、もう起きていたのね」
右手の甲で目をこすりながら、上品なシルクのネグリジェ姿の女王が部屋に入ってきた。
艶やかな黒髪は所々はねていて、目の下には透明な肌にうっすらとクマが浮かび上がっている。まだ眠気が取れていないのだろうか。
「おはようございます、オトさん」
声をかけると、ようやく彼女の純白の瞳がこちらをはっきりと捉えた。
向かいの椅子に座りながら、静謐な声音で言う。
「あなた、随分と早起きなのね。朝型人間?」
「まあ、夜更かしはしないようにしていたので、どちらかと言われると」
「そう。私は夜型だから、本当は昼まで寝ていたいのだけれどね」
デルフィーノが差し出したカップを無言で受け取って、そのままカプチーノを口に含むオト。それからビスケットを一枚つまむと、小さくかじった。
昨日見た玉座での女王の雰囲気と比べると、今の彼女はかなり気を抜いているように思える。こんな姿、私は見ていいのだろうか? なぜだか妙な背徳感を抱いてしまう。
「陛下、髪が乱れております」
「梳かしてちょうだい」
使用人に櫛で寝癖を直してもらいながら、オトは改めて凪沙に視線を向ける。
「ナギサがこれからここで生活していくためには、まずはこの世界の知識が必要でしょう? だから夜のうちに書庫からいくつか役立ちそうな本を選んでおいたの。後でデルフィーノに部屋まで運ばせるわ」
「え? オトさんが寝不足なのって、私のためだったんですか?」
驚いて訊き返すと、彼女はカプチーノを啜ってから首を左右に振った。
「いいえ、違うわ。寝るのはいつも二時とか三時よ。あなたのために遅くまで起きていた訳じゃない」
「でも、わざわざ時間を割いて下さったんですよね?」
「書庫には古くから受け継がれる貴重な書物が沢山収められている。万が一盗まれでもしたら大変だから、私以外の誰も、たとえデルフィーノやアーシムであっても立ち入れないように鍵をかけてあるの。あくまで私が他の人に触ってほしくないから自分で本を選んだ。それだけのことよ」
女王自身がそうしたかっただけだから別に気にすることではないと。
確かにそういう理由もあるのだろうが、凪沙にはそこに彼女なりの優しさが含まれているようにも感じられた。
オトはビスケットの最後の一欠片を口に運び、それをカプチーノで流し込んでから言葉を続ける。
「多分ナギサなら一週間もあれば最低限の知識は覚えられると思う。そうしたら一度、街に出てみなさいな。リューグ王国自慢の美しい景色と美味しい料理があなたを待っているわよ」
「街に、ですか……」
どう反応すべきか迷って、曖昧な笑みを浮かべてしまう。
城の外に出ることには正直かなりの抵抗がある。
今の自分の見た目は銀髪碧眼。この国では忌み嫌われているオセアーノと同じ外見。
そんな私が街に出たら、昨日のようにまた海族と蔑まれるのではないか。
もしそうなってしまったら、どう対処すべきか分からない。
しかも今度は一人きりで、守ってくれる人もいない。
この場で結論を出すには、判断材料も勇気も足りなくて。
本を読んでみてから考えても遅くない、と返事を先延ばししようと決めたと同時。
まるで凪沙の心の中を読んだかのように、女王は微笑んで言った。
「そんなに不安がらなくても大丈夫よ。出かける時は王室の紋章入りのフーデッドケープを貸してあげるから。それに、いきなり一人で行けなんてさすがの私も言わないわ」
一人じゃない?
「えっと、護衛とか付けてくれるんですか?」
「護衛でもいいけれど、知らない軍人に付き纏われても落ち着かないでしょう?」
まあ、確かにそれは。
「本当は私が一緒に行ければベストなのだけれど、立場上抜け出すのは難しくてね……。だから代わりにアーシムと行ってきなさい。彼にはその日を休みにしてもらうから」
「アーシムさんと、ですか?」
まさか。予想外の急展開に、思わず驚きの声を上げてしまう。
城へと移動する道中、水上バスから王都の街並みを眺めている時に今度案内してあげるとは言われたが、こんなに早く実現しようとは。
「あら、アーシムじゃ不満だったかしら?」
「いえ、そうじゃなくて。何でもないです」
慌てて頭を振ると、オトは一つ頷いて目を細めた。
「じゃあ決まりね。もし彼が仕事に逃げようとしても、女王権限で強制的にシフトは組み替えておくから」
そんなことに女王の権限を行使していいのだろうか?
だが、女王の後ろ盾があるなら確実にアーシムに街を案内してもらえる。それはとても安心だし、何より楽しみだ。
やがて立ち上がったオトは飲み終えたカップを使用人に渡すと、足早に部屋を後にした。
女王が自ら選んでくれた本は歴史の図鑑や世界地図帳など計十冊。どれも大きくて分厚く、一冊だけでも結構な重量がある。デルフィーノは台車のようなものに載せて部屋まで運んできてくれたが、オトは昨晩書庫から持ち出す時どうしていたのだろうか。
しかし、そんな疑問は些細なことで。
最大の謎は本に書いてある文字、言語だ。
本来なら異世界の本など凪沙が読めるはずもない。それなのに、当たり前のように内容が理解できる。その理由は単純明快で、だからこそ謎なのだ。
「これ、全部日本語で書いてある……」
図鑑の解説も地図帳の国紹介も、漢字とひらがなとカタカナ、アラビア数字とアルファベットという馴染みのある文字のみで構成されている。そこに日本語的な不自然さは一切無い。下手な迷惑メールやフィッシングサイトより、よほど正確な文章だ。それはもう日本人が書いたとしか思えないほどに。
「…………」
この世界についての知識を得るための本で、更に謎が増えてしまった。
しかし、読めない文字ばかりで絵や図だけを頼りにするよりはこちらの方が断然読みやすい。
その後は毎日、朝から晩までひたすらに本を読み耽った。
基本的には教科書のように内容を頭に入れる作業だったのだが、その中には目を疑った、大きな衝撃を受けたものがある。
それは、この世界には魔法が存在するということ。
隣国であるカイビトス公国や世界の南西部に位置するテイクトーリ=ルーナ教信国の上位階級の家系には魔法を扱える人間が存在し、その者たちの多くは国に仕えているのだという。
またその他にもごく稀にスキルという異能を持つ人がいたり、神の力が宿る武器、神器なるものが発見された例もあるらしい。
そして各個人にはステータスと適性、生命値なる数値が与えられているみたいだが、ここまで専門用語を並べられては凪沙にはもう何が何だか分からない。
別にテストに出るわけじゃあるまいし、とりあえず言葉だけ覚えておこう。
そんなこんなで気が付けば、あっという間に一週間。ついにアーシムに王都を案内してもらう日がやって来た。
「ナギサ様のお好みが分かりませんでしたのでこの国の一般的な朝食をご用意致しましたが、もしお気に召さないものがございましたら遠慮なくお申し付けくださいませ」
「ありがとうございます、デルフィーノさん」
テーブルの上にはクロワッサンやビスケット、ラスクのようなものが並んでいて、その隣にハムやチーズ、ジャムといったそれらに合いそうなものが用意されていた。
適当に近くの席に座ると、デルフィーノがカップにカプチーノを注いでくれた。
「こちらは泡乳珈琲でございます。お口に合わないようでしたら柑橘系の飲料や紅茶など、すぐに別のものをお持ちいたしますので」
「はい、いただきます」
まずは淹れたてのカプチーノを一口啜る。泡立ったミルクの濃厚な甘さとコーヒーのほのかな苦味が口の中に広がる。
続いてクロワッサンを一つ手に取り、スプーンで赤いジャムを塗った。
食べてみると、練り込まれたバターの風味にジャムのイチゴの味が合わさって絶妙なハーモニーが生まれた。
「お味など如何でしょうか?」
そばに立つ使用人から質問されて、凪沙は少し言葉を選んでから答える。
「そうですね……。美味しいんですけど、全体的にちょっと甘すぎますかね……」
カプチーノもクロワッサンもどちらも一級品の味わいではあるのだが、何というか。朝から食べるにはなかなかに甘ったるい。その上アスリートである凪沙は普段からお菓子を控えているので、余計に甘いものを食べ慣れていないというのもあるかもしれない。
意見を聞いたデルフィーノはポケットからメモ帳とペンを取り出すと何かを書き留めて、それから頷いて口を開いた。
「なるほど、承知致しました。明日以降は砂糖やバターの使用を減らした甘さ控えめのものを手配いたします」
「いえ、すみません。お気遣いありがとうございます」
わざわざ特別なものを自分のためだけに用意させるのは申し訳ないなと感じたが、これが彼女の仕事なのだと割り切って素直にお言葉に甘えることにした。
ある程度お腹も満たされ、のんびりとカプチーノを飲み進めていると。
「……おはよう、デルフィーノ。ああナギサ、もう起きていたのね」
右手の甲で目をこすりながら、上品なシルクのネグリジェ姿の女王が部屋に入ってきた。
艶やかな黒髪は所々はねていて、目の下には透明な肌にうっすらとクマが浮かび上がっている。まだ眠気が取れていないのだろうか。
「おはようございます、オトさん」
声をかけると、ようやく彼女の純白の瞳がこちらをはっきりと捉えた。
向かいの椅子に座りながら、静謐な声音で言う。
「あなた、随分と早起きなのね。朝型人間?」
「まあ、夜更かしはしないようにしていたので、どちらかと言われると」
「そう。私は夜型だから、本当は昼まで寝ていたいのだけれどね」
デルフィーノが差し出したカップを無言で受け取って、そのままカプチーノを口に含むオト。それからビスケットを一枚つまむと、小さくかじった。
昨日見た玉座での女王の雰囲気と比べると、今の彼女はかなり気を抜いているように思える。こんな姿、私は見ていいのだろうか? なぜだか妙な背徳感を抱いてしまう。
「陛下、髪が乱れております」
「梳かしてちょうだい」
使用人に櫛で寝癖を直してもらいながら、オトは改めて凪沙に視線を向ける。
「ナギサがこれからここで生活していくためには、まずはこの世界の知識が必要でしょう? だから夜のうちに書庫からいくつか役立ちそうな本を選んでおいたの。後でデルフィーノに部屋まで運ばせるわ」
「え? オトさんが寝不足なのって、私のためだったんですか?」
驚いて訊き返すと、彼女はカプチーノを啜ってから首を左右に振った。
「いいえ、違うわ。寝るのはいつも二時とか三時よ。あなたのために遅くまで起きていた訳じゃない」
「でも、わざわざ時間を割いて下さったんですよね?」
「書庫には古くから受け継がれる貴重な書物が沢山収められている。万が一盗まれでもしたら大変だから、私以外の誰も、たとえデルフィーノやアーシムであっても立ち入れないように鍵をかけてあるの。あくまで私が他の人に触ってほしくないから自分で本を選んだ。それだけのことよ」
女王自身がそうしたかっただけだから別に気にすることではないと。
確かにそういう理由もあるのだろうが、凪沙にはそこに彼女なりの優しさが含まれているようにも感じられた。
オトはビスケットの最後の一欠片を口に運び、それをカプチーノで流し込んでから言葉を続ける。
「多分ナギサなら一週間もあれば最低限の知識は覚えられると思う。そうしたら一度、街に出てみなさいな。リューグ王国自慢の美しい景色と美味しい料理があなたを待っているわよ」
「街に、ですか……」
どう反応すべきか迷って、曖昧な笑みを浮かべてしまう。
城の外に出ることには正直かなりの抵抗がある。
今の自分の見た目は銀髪碧眼。この国では忌み嫌われているオセアーノと同じ外見。
そんな私が街に出たら、昨日のようにまた海族と蔑まれるのではないか。
もしそうなってしまったら、どう対処すべきか分からない。
しかも今度は一人きりで、守ってくれる人もいない。
この場で結論を出すには、判断材料も勇気も足りなくて。
本を読んでみてから考えても遅くない、と返事を先延ばししようと決めたと同時。
まるで凪沙の心の中を読んだかのように、女王は微笑んで言った。
「そんなに不安がらなくても大丈夫よ。出かける時は王室の紋章入りのフーデッドケープを貸してあげるから。それに、いきなり一人で行けなんてさすがの私も言わないわ」
一人じゃない?
「えっと、護衛とか付けてくれるんですか?」
「護衛でもいいけれど、知らない軍人に付き纏われても落ち着かないでしょう?」
まあ、確かにそれは。
「本当は私が一緒に行ければベストなのだけれど、立場上抜け出すのは難しくてね……。だから代わりにアーシムと行ってきなさい。彼にはその日を休みにしてもらうから」
「アーシムさんと、ですか?」
まさか。予想外の急展開に、思わず驚きの声を上げてしまう。
城へと移動する道中、水上バスから王都の街並みを眺めている時に今度案内してあげるとは言われたが、こんなに早く実現しようとは。
「あら、アーシムじゃ不満だったかしら?」
「いえ、そうじゃなくて。何でもないです」
慌てて頭を振ると、オトは一つ頷いて目を細めた。
「じゃあ決まりね。もし彼が仕事に逃げようとしても、女王権限で強制的にシフトは組み替えておくから」
そんなことに女王の権限を行使していいのだろうか?
だが、女王の後ろ盾があるなら確実にアーシムに街を案内してもらえる。それはとても安心だし、何より楽しみだ。
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女王が自ら選んでくれた本は歴史の図鑑や世界地図帳など計十冊。どれも大きくて分厚く、一冊だけでも結構な重量がある。デルフィーノは台車のようなものに載せて部屋まで運んできてくれたが、オトは昨晩書庫から持ち出す時どうしていたのだろうか。
しかし、そんな疑問は些細なことで。
最大の謎は本に書いてある文字、言語だ。
本来なら異世界の本など凪沙が読めるはずもない。それなのに、当たり前のように内容が理解できる。その理由は単純明快で、だからこそ謎なのだ。
「これ、全部日本語で書いてある……」
図鑑の解説も地図帳の国紹介も、漢字とひらがなとカタカナ、アラビア数字とアルファベットという馴染みのある文字のみで構成されている。そこに日本語的な不自然さは一切無い。下手な迷惑メールやフィッシングサイトより、よほど正確な文章だ。それはもう日本人が書いたとしか思えないほどに。
「…………」
この世界についての知識を得るための本で、更に謎が増えてしまった。
しかし、読めない文字ばかりで絵や図だけを頼りにするよりはこちらの方が断然読みやすい。
その後は毎日、朝から晩までひたすらに本を読み耽った。
基本的には教科書のように内容を頭に入れる作業だったのだが、その中には目を疑った、大きな衝撃を受けたものがある。
それは、この世界には魔法が存在するということ。
隣国であるカイビトス公国や世界の南西部に位置するテイクトーリ=ルーナ教信国の上位階級の家系には魔法を扱える人間が存在し、その者たちの多くは国に仕えているのだという。
またその他にもごく稀にスキルという異能を持つ人がいたり、神の力が宿る武器、神器なるものが発見された例もあるらしい。
そして各個人にはステータスと適性、生命値なる数値が与えられているみたいだが、ここまで専門用語を並べられては凪沙にはもう何が何だか分からない。
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