碧き世界のサルバトーレ

横浜あおば

文字の大きさ
25 / 46
Ep.2

第25話 大切だからこそ頼らない

しおりを挟む
 玉座の間に軍の幹部や貴族の面々が一堂に会する様は圧巻の光景だ。何度経験しても慣れることはないが、女王に就任した直後よりは幾分か緊張しなくなったとオトは思っている。

「お待たせしました、女王様」
「すみません、遅れました」

 会議開始予定時刻の五分前。部屋の入り口の観音開きの大扉が押し開けられ、海伐かいばつ騎士軍王都警衛隊大佐のロンボと遠洋遊撃隊大佐のアーシムが慌てた様子で席に着く。

「大丈夫よ、まだ時間にはなっていないから」

 私は二人にそう声を掛ける。
 でもこれで呼び集めた全員が揃った。少し早いけれど会議を始めてしまっても問題はないだろう。
 オトは玉座から立ち上がると、おもむろにスタンドマイクの前まで移動する。参加者全員の視線がこちらに向くのを感じながら、堂々と顔を上げて口を開いた。

「皆様、本日はお忙しい中、突然の召集に応じて頂き感謝申し上げます。私が今回皆様を急遽お呼び立てした理由と致しましては、大きく分けて二つございます。まず一つ目。こちらは嬉しいご報告です。海伐騎士軍総司令官、ラ=フォーカ大将。前へお願いします」

 女王が下がるのと同時、特徴的な口髭を生やした大柄な男性がマイクの前へ。
 彼は海伐騎士軍の全部隊を統率する制服組トップ、ラ=フォーカ。南西洋地域に位置する宗教国家テイクトーリ=ルーナ教信国の東部進出抑止作戦や海異かいい出現時の混乱収拾の実績が認められ、一兵卒からここまで這い上がってきた生粋の騎士である。もちろん最終的にフォーカを大将として承認したのはオトだ。

「騎士軍大将のフォーカである。神暦しんれき九八九年一月五日、我が軍はマリジア群島沖にて巨大蛸型海異の討伐に成功。これにより、遂に念願であったカイビトス公国との航路が開通した」

 この発表を受けて玉座の間にどよめきが起こる。
 当然の反応だろう。だってこの国は十年もの間、海異によって他国との貿易や交流が途絶えてしまっていたのだから。

「まだしばらくは以前のように民間船が往来するのは難しいであろう。だが、我が軍やカイビトス衛士団の護衛付きでの運航は恐らく近いうちに可能となる。国民の大きな不安をようやく解消出来たことを誇りに思う。以上、騎士軍大将フォーカからの報告だった」

 司令官が深く一礼すると室内に拍手が響き渡った。
 鳴り止むのを待って、オトは再びマイクを握る。

「ということで。カイビトス航路がまもなく再開通する運びとなりました。これにより食糧不足や資源問題の解消、産業の発展なども見込まれます。財界や企業家の皆様は是非ともこの好機を逃さず、国と共に更なる成長を目指して頂ければと思います。ただ、他国との交流の再開は現在のリューグ王国にとって喜ばしいことばかりではありません。二つ目、こちらが本題です。この国には今すぐに解決しなければならない大きな問題があるのを忘れてはいないでしょうか?」

 女王の投げかけに、多くの人が分からないと首を傾げた。
 そんな中、立派な髭を蓄えた白髪混じりの老紳士が手を挙げる。

「アングイッラ卿、座ったままで構いませんのでお答えをどうぞ」

 アングイッラ卿は足が悪く普段から杖を使用しているため、先に立たなくて良いと伝えておく。
 発言を許可されて、培養肉メーカー国内最大手の創業者が解答を述べる。

「女王陛下様が仰りたいのはやはり、オセアーノ差別のこと、ですかな?」

 アングイッラ卿は元々差別を嫌う人だ。農神祭のうしんさいのパーティーでナギサへの集団暴行未遂の現場に居合わせた時も、弱った身体で暴徒化した人たちを止めようとしてくれていたのを覚えている。
 私は頷いてから話を続けた。

「ええ、流石はアングイッラ卿。正解です。リューグ王国の国民は当たり前のようにオセアーノを差別しているようですが。人種差別は国際条約に違反する行為であり、そもそも人としてやってはいけないものです。もしもこれからも国民によるこのような蛮行が続いた場合、最悪はテイクトーリやサークアンと同じ結末、国交断絶ということになりかねません。せっかく航路が開通しても、そうなってしまっては意味がない。それ以上に、その二国と同等だと見做されたくはない。私は今すぐにオセアーノへの差別を禁止する法律を制定すべきだと考えますが、皆様はどうでしょうか?」

 リューグ王国の中で人種差別を問題と認識している人は少数派。これだけ大勢の人の前でオセアーノ差別の禁止を訴えるのは、あの時のナギサのように襲われる可能性もあり、女王の私にとっても相当リスクが高い。
 でも、言わなければ始まらない。これはこの国の長である私が絶対に主張しなければならないことなのだ。

 貴族らが近くの人同士でひそひそと話し始める。いくつかの集団が形成されているようだが、見たところオセアーノを海族かいぞくと蔑み、彼らを海異の仲間だと流布している人間ばかり。きっと適当な理由を付けて反対するために打ち合わせているのだろう。
 やがて意見がまとまったのか、一人の女性が挙手もせずに声高に叫んだ。

「女王様、貴方は確か農神祭の宴で海族の女の味方をしていましたわよね? ということは貴方はすでにあの女に洗脳されているんじゃありませんの? だからこんな訳の分からないことを言い出したのです。間違いありませんわ!」

 メガフロート建設やガス田開発で富と地位を築いた財閥家の娘メルルツォ。どこまでも自分勝手で傲慢な令嬢なのだが、その身分と美貌にはそれなりに人を集める力があるらしく。彼女には意外と味方が多い。
 続けてメルルツォと親しげにしていた男性二人が口を開く。

「そうですよ! 目を覚ましてください女王!」
「おいそこの軍人、陛下を早く病院へお連れして差し上げろ!」

 なるほど。オトはナギサのせいで頭がおかしくなっている。そういう流れ、雰囲気を作り出そうという訳か。

 最高権力者である私が正常な精神状態でなければこの会議は強制的に終了となり、洗脳が解けるまでは再び会議を開くことも出来ない。つまり、オセアーノ差別禁止法案の審議をいつまでも先延ばしにさせられる。全く、この短時間でよく考えたものね。
 性悪お嬢様の邪知深さに感心しつつ、オトは冷静に反論する。

「待って下さい。私は洗脳なんてされていません。それにオセアーノには異能があるというメルルツォ嬢の主張ですが、そのような事実が確認されたこともありません。もしも虚偽情報によって会議の進行を妨害した場合には処罰が下される可能性もありますが、あなたはまだその主張を続けられますか?」

 これで引き下がってくれたらいいのだけれど。
 やや脅しのニュアンスを含んだ女王の問いに、しかしメルルツォは苛立たしげに眉根を寄せると勢いよく立ち上がって言った。

「あらあら女王様、このメルルツォに向かって処罰と仰いましたか? 随分と調子にお乗りのようですわね。私が父上に言いつければ、この城が建つ浮島を沈めることだって出来ますのよ? そんな馬鹿げた法案、さっさと破棄して下さいまし。そうすれば私への脅迫も無かったことにしてあげますわ」

 こちらに向かって人差し指をびしっと突きつけ、そんな要求をしてくるお嬢様。
 このやり方は悪役令嬢相手には完全に逆効果だった。しかもオトが下手に出たのをいいことに、自らが優位に立った気になっている。

 ふ~ん、いい度胸じゃない。分からせてあげるわ。
 私はマイクから離れ、数歩前へと進み出た。

「失礼致しました、今の発言は撤回しましょう。ではその代わりに言わせて下さい。……頭がおかしいのはあなたの方よ、メルルツォ」
「なっ!」

 オトの突然の豹変ぶりに、財閥令嬢は衝撃のあまり言葉を失い口をぱくぱくさせる。
 その間に更に捲し立てる。

「私が調子に乗っているですって? それはあなたの方でしょう? 『無かったことにしてあげる』だなんて上から目線な言葉、今すぐに取り消しなさいな」

 月の白の瞳で真っ直ぐにメルルツォを見据える。
 しばらくして、歯噛みしていた彼女は怒り狂った様子で言い放った。

「ぐぬぬっ。よくも私に恥をかかせてくれましたわね! ご覧なさい、これが女王様の本性ですわ!」

 この令嬢の一言を皮切りに、他の貴族たちもここぞとばかりに口撃を始める。

「我々貴族に対して何たる態度だ! 女王としての立場を弁えたまえ!」
「女王気取りの生意気な小娘め! 所詮お前はお飾りなんだよ!」
「辞めちまえ! 辞任だ辞任!」

 あなた達も本性を現したわね。
 紛糾する玉座の間。飛び交う批判は暴言へと変わり、罵倒に侮辱に『辞めろ』コールの大合唱。

「さてと。茶番は終わりにしましょう」

 誰にも聞こえない声量で呟きつつ、オトは右手の人差し指で空中に波線を描いた。するとその波線が光りながら上下に広がり、半透明の画面が浮かび上がる。
 異世界人とその血を引く者だけが扱える特別な能力、〈水霊すいれいの窓〉。
 他の人間には見えないその画面を慣れた手つきで操作して、目的のタブ〈アイテムストレージ〉を開く。そして、その中から一つ武器を選択し実体化させる。

 これは玉座の間の観音扉にも彫られている二本の伝説の剣の片方、黒の英雄の伴侶であるサクィア=ハイムが持っていた最強スペックのレイピアだ。

「黙りなさい! 今からオセアーノへの差別を禁止する法案の採決を行うわ。反対に票を投じても構わないけれど、その時は……説明しなくても理解出来るわよね?」

 女王が細剣を高く掲げた途端、一瞬にして場が静まり返った。すかさずに決を採る。

「ではまず、賛成の人は手を挙げて」

 アーシムとロンボに加え、アングイッラなど差別を嫌う人だけが挙手をする。その人数は十人にも満たない。
 つまり、この場にいる大多数が反対に票を投じるということか。

「次に、反対の人は手を挙げて」

 色の無い、感情の無い瞳で、ゆっくりと室内を見回す。
 だが、手を挙げている人間は一人もいなかった。先ほどまで威勢よく騒いでいた貴族らは、怯えた表情で黙ってこちらを見つめている。

「どちらにも手を挙げなかった人はどういうつもりかしら? 棄権と解釈するわよ? ……よって、賛成が8、反対が0で法案は可決成立となります。以上をもちまして、今会議は解散と致します。本日は急遽お集まり頂きましてありがとうございました」

 レイピアを腰の鞘に納めながら、オトは柔らかく微笑んだ。
 それを見てメルルツォは、誰よりも先に扉へと向かうと逃げるように玉座の間を後にした。


 会議が終了して一人残された女王の下に、何故かロンボが戻ってきた。
 私は玉座に腰掛けたまま、足を組みながら問いかける。

「どうしたのロンボ? もしかして忘れ物かしら?」

 すると彼は首を左右に振った。

「いや、そういうんじゃなくて。えっと……」
「じゃあ何かしら。遠慮せずに言ってみなさいな」

 ロンボは僅かに逡巡する素振りを見せたが、すぐに口を開いた。

「さっき、女王様が悪役を演じたのはどうしてだ? 俺やアーシムに指示して静めることだって出来ただろうに。女王様は何でも一人で抱え込みすぎだ。困った時は無理せず、もっと俺たちを頼ってくれ」

 なるほど、気遣ってくれたのね。

「ありがとう、気持ちは嬉しいわ。だけど、私はたとえ自分が悪役になってでもやらなければならないことがあるの。だからこれでいいのよ」
「やらなければならないことって、それは国の長としての……?」
「いいえ、あくまで個人的なものよ。これはあなたには関係の無いことだし、誰かを巻き込むつもりもない」
「……そうか、分かった」

 納得はいっていない様子だが、ロンボがそれ以上この話を掘り下げてくることはなかった。

 彼が出て行くのを見送って再び一人になったオトは、水霊の窓を開くとストレージから一枚の写真を取り出した。そこに写っているのはまだ幼い頃のオトと、オトと同じ月白の目をした黒髪の女性。母親だ。
 リューグ王国の前女王である母は七年前、私が十歳の時に何者かに暗殺された。あの日からずっと、私はその犯人を探し続けている。この手で殺し、仇を討つために。

「こんなことに大事な仲間を巻き込む訳にはいかない。そうよね、母さん?」

 写真をストレージに収納したオトは、当時の感情を思い出して両拳をぎゅっと強く握った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

万物争覇のコンバート 〜回帰後の人生をシステムでやり直す〜

黒城白爵
ファンタジー
 異次元から現れたモンスターが地球に侵攻してくるようになって早数十年。  魔力に目覚めた人類である覚醒者とモンスターの戦いによって、人類の生息圏は年々減少していた。  そんな中、瀕死の重体を負い、今にもモンスターに殺されようとしていた外神クロヤは、これまでの人生を悔いていた。  自らが持つ異能の真価を知るのが遅かったこと、異能を積極的に使おうとしなかったこと……そして、一部の高位覚醒者達の横暴を野放しにしてしまったことを。  後悔を胸に秘めたまま、モンスターの攻撃によってクロヤは死んだ。  そのはずだったが、目を覚ますとクロヤは自分が覚醒者となった日に戻ってきていた。  自らの異能が構築した新たな力〈システム〉と共に……。

氷河期世代のおじさん異世界に降り立つ!

本条蒼依
ファンタジー
 氷河期世代の大野将臣(おおのまさおみ)は昭和から令和の時代を細々と生きていた。しかし、工場でいつも一人残業を頑張っていたがとうとう過労死でこの世を去る。  死んだ大野将臣は、真っ白な空間を彷徨い神様と会い、その神様の世界に誘われ色々なチート能力を貰い異世界に降り立つ。  大野将臣は異世界シンアースで将臣の将の字を取りショウと名乗る。そして、その能力の錬金術を使い今度の人生は組織や権力者の言いなりにならず、ある時は権力者に立ち向かい、又ある時は闇ギルド五竜(ウーロン)に立ち向かい、そして、神様が護衛としてつけてくれたホムンクルスを最強の戦士に成長させ、昭和の堅物オジサンが自分の人生を楽しむ物語。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜

KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞 ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。 諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。 そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。 捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。 腕には、守るべきメイドの少女。 眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。 ―――それは、ただの不運な落下のはずだった。 崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。 その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。 死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。 だが、その力の代償は、あまりにも大きい。 彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”―― つまり平和で自堕落な生活そのものだった。 これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、 守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、 いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。 ―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。

俺だけ“使えないスキル”を大量に入手できる世界

小林一咲
ファンタジー
戦う気なし。出世欲なし。 あるのは「まぁいっか」とゴミスキルだけ。 過労死した社畜ゲーマー・晴日 條(はるひ しょう)は、異世界でとんでもないユニークスキルを授かる。 ――使えないスキルしか出ないガチャ。 誰も欲しがらない。 単体では意味不明。 説明文を読んだだけで溜め息が出る。 だが、條は集める。 強くなりたいからじゃない。 ゴミを眺めるのが、ちょっと楽しいから。 逃げ回るうちに勘違いされ、過剰に評価され、なぜか世界は救われていく。 これは―― 「役に立たなかった人生」を否定しない物語。 ゴミスキル万歳。 俺は今日も、何もしない。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

唯一無二のマスタースキルで攻略する異世界譚~17歳に若返った俺が辿るもう一つの人生~

専攻有理
ファンタジー
31歳の事務員、椿井翼はある日信号無視の車に轢かれ、目が覚めると17歳の頃の肉体に戻った状態で異世界にいた。 ただ、導いてくれる女神などは現れず、なぜ自分が異世界にいるのかその理由もわからぬまま椿井はツヴァイという名前で異世界で出会った少女達と共にモンスター退治を始めることになった。

処理中です...